第26話 「全力解放——領域を破った俺、幹部との本気バトルで限界を超える」
「……対等、か」
黒い存在が静かに呟く。
先ほどまでの余裕は、もうない。
⸻
「やっとだな」
俺は拳を握る。
体が軽い。
力が、完全に戻っている。
⸻
「ここからが本番だ」
⸻
「ワン!!」
フェンが神獣の姿で並ぶ。
⸻
「いいだろう」
黒い存在が構える。
⸻
「その慢心——叩き潰してやる」
⸻
次の瞬間。
同時に動いた。
⸻
——ドンッ!!
⸻
衝突。
衝撃が、空間を震わせる。
⸻
「……速い!」
リリアが息を呑む。
⸻
目で追えない。
音だけが響く。
⸻
——ドドドドドッ!!!
⸻
拳と影が交差する。
⸻
「いいぞ……!」
俺は笑う。
⸻
「さっきとは違うな!」
⸻
「当然だ」
黒い存在が応える。
⸻
「これが本来の力だ」
⸻
一撃が、ぶつかる。
⸻
——ドゴォン!!
⸻
互いに距離を取る。
⸻
「……互角ね」
リリアが呟く。
⸻
「いや」
俺は首を振る。
⸻
「まだ上がある」
⸻
フェンを見る。
⸻
「行けるか?」
⸻
「グルルルッ!!!」
⸻
応えるように、力が膨れ上がる。
⸻
「……来るか」
黒い存在が警戒する。
⸻
「だったら——」
⸻
黒い霧が集まり始める。
⸻
「こちらも見せてやる」
⸻
空気が、さらに重くなる。
⸻
「これが——」
⸻
姿が変わる。
より濃く、より禍々しく。
⸻
「本来の姿だ」
⸻
「……なるほど」
俺は笑った。
⸻
「やっと本気か」
⸻
「後悔するなよ」
⸻
「しねえよ」
⸻
踏み込む。
⸻
「フェン!!」
「ワンッ!!」
⸻
完全に同調する。
⸻
力が、さらに一段階上がる。
⸻
「……っ!」
黒い存在が初めて驚く。
⸻
「その力……!」
⸻
「まだまだだ」
⸻
拳に、力を集中する。
⸻
「これで——」
⸻
何かが、弾ける。
⸻
「……!?」
⸻
今までとは違う感覚。
力が一点に収束する。
⸻
「これが……」
⸻
理解する。
⸻
「新しい力か」
⸻
黒い存在が構える。
⸻
「来い」
⸻
「行くぞ」
⸻
踏み込む。
⸻
「はああああああっ!!!」
⸻
拳を叩き込む。
⸻
——ドゴォォォォォンッ!!!!!
⸻
今までで最大の衝撃。
⸻
黒い存在が、大きく吹き飛ぶ。
⸻
「……ぐっ!」
初めて、明確なダメージ。
⸻
「効いてる……!」
リリアが叫ぶ。
⸻
「……面白い」
黒い存在が立ち上がる。
⸻
だが、その体には確かな傷。
⸻
「だが——」
⸻
まだ、倒れていない。
⸻
「ここからだ」
⸻
互いに構える。
⸻
力と力が、ぶつかり合う。
⸻
——決着は、次の一撃。
⸻
その予感が、確かにあった。




