第25話 「絶望の領域を突破せよ——無効化された力でも俺たちは止まらない」
——ドドドドドッ!!!
無数の攻撃が、途切れることなく襲いかかる。
「くっ……!」
俺はギリギリでかわし続ける。
だが——
「重い……!」
体が思うように動かない。
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「レイン、限界よ!」
リリアの声。
彼女も必死に防いでいるが、明らかに押されている。
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「ここは我の領域」
黒い存在が、淡々と告げる。
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「お前たちの力は——半減する」
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「……やっぱりか」
俺は息を整える。
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「ワン……!」
フェンも苦しそうに唸る。
神獣の力も、抑えられている。
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「このままじゃ——」
リリアが歯を食いしばる。
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「ジリ貧ね……!」
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「いや」
俺は小さく笑った。
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「突破口はある」
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「え?」
リリアが驚く。
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「さっきから見てた」
俺は周囲に視線を走らせる。
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「この領域、完全じゃない」
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黒い存在が、わずかに目を細める。
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「……ほう?」
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「力を削がれてるのは確かだ」
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「でも——」
拳を握る。
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「全部じゃない」
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「……!」
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「一点だけ、流れが歪んでる」
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フェンも気づいたように反応する。
「ワン!」
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「そこが“核”だ」
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「……見抜いたか」
黒い存在が低く呟く。
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「だが——」
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「辿り着けると思うな」
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次の瞬間。
攻撃がさらに激しくなる。
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「チッ……!」
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「レイン!!」
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「分かってる!」
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俺は一歩踏み出す。
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「フェン、合わせろ!」
「ワン!!」
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完全に意識を重ねる。
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「行くぞ!!」
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攻撃をかいくぐる。
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一歩。
二歩。
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「まだ遠い……!」
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リリアが援護する。
「今よ!」
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敵の一撃を弾く。
その隙に——
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「そこだぁぁぁ!!」
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拳を振り抜く。
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——ドゴォン!!
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空間に、ヒビが入る。
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「……っ!」
黒い存在の表情がわずかに変わる。
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「やっぱりな」
俺は笑う。
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「ここが弱点だ」
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「ワン!!」
フェンも追撃。
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——ドゴォォォンッ!!
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ヒビが広がる。
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「くっ……!」
黒い存在が初めて焦りを見せる。
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「壊されるわけには——」
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「止められるかよ」
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さらに踏み込む。
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「これで終わりだ!!」
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力を一点に集中する。
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フェンと完全に重なる。
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「はああああああっ!!!」
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——ドゴォォォォォォンッ!!!!!
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轟音。
閃光。
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次の瞬間——
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バキィィィンッ!!!
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領域が、砕けた。
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「……なっ」
黒い存在が目を見開く。
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重圧が、一気に消える。
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「……軽い」
体が、元に戻る。
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「これで——」
俺は拳を構える。
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「対等だ」
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フェンが並ぶ。
「グルルルッ!!」
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リリアも剣を構える。
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「やっと本番ね」
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黒い存在が、静かに言う。
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「……面白い」
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だが、その声には——
わずかな焦りが混じっていた。
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「ここからが、本当の戦いだ」
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完全な力。
完全な状態。
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——決着は、近い。




