第23話 「敵の領域で無双開始——覚醒した俺、新種の魔物すら圧倒してしまう」
「侵入者、排除」
黒い存在たちが、一斉に動いた。
その動きは——速い。
今までの“末端”とは、明らかに違う。
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「……数も多いわよ!」
リリアが叫ぶ。
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「関係ねえ」
俺は一歩前に出る。
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「まとめて来い」
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「ワン!!」
フェンが神獣の姿へと変わる。
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次の瞬間——
敵が一斉に襲いかかってきた。
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「速っ……!」
リリアが反応する。
だが——
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「遅い」
俺には、はっきり見えている。
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一体目。
拳で迎え撃つ。
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——ドゴォン!!
一撃で吹き飛ばす。
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「……っ!?」
リリアが目を見開く。
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二体目、三体目。
連続で迫る。
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「甘い」
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踏み込み、すれ違いざまに叩き込む。
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——ドドドドドッ!!
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まとめて吹き飛ぶ。
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「やば……」
リリアが思わず呟く。
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「覚醒後って、ここまで変わるの……?」
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「まだ余裕あるな」
俺は軽く首を回す。
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「ワン!!」
フェンが横で暴れ回る。
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神獣の爪が閃くたびに——
敵が次々と消し飛んでいく。
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「グルルルッ!!!」
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「……こっちも規格外ね」
リリアが苦笑する。
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だが——
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「……ちょっと待って」
リリアの声が変わる。
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「これ、おかしい」
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「何がだ?」
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「倒しても——」
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その瞬間。
吹き飛ばしたはずの敵が——
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「……再生してる?」
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黒い霧が集まり、元の形に戻っていく。
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「チッ……」
俺は舌打ちした。
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「無限湧きかよ」
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「違うわ……」
リリアが首を振る。
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「この空間自体が、あいつらを“維持”してる」
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「……つまり?」
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「ここにいる限り——」
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「倒しても意味がない」
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「……面倒だな」
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フェンが低く唸る。
「グルルル……!」
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「じゃあ——」
俺は周囲を見渡す。
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「壊すか」
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「……は?」
リリアが固まる。
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「この空間ごと」
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「ちょっと待って!?」
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だが、俺はすでに構えていた。
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「フェン、合わせろ」
「ワン!!」
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力を集中する。
この空間の“核”を探る。
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「……あそこか」
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遠くに感じる、歪みの中心。
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「まとめて吹き飛ばす」
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敵が再び襲いかかる。
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だが——
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「邪魔だ」
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一瞬で薙ぎ払う。
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「行くぞ!!」
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フェンと同時に力を解放する。
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「はああああああっ!!!」
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——ドゴォォォォォォンッ!!!!!
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爆発的な衝撃。
空間そのものが、軋む。
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「……割れた!?」
リリアが叫ぶ。
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ヒビが広がる。
黒い空間が崩れていく。
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敵たちが、次々と消滅する。
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「やっぱりな」
俺は息を吐く。
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「元を断てば終わる」
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静寂。
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崩壊していく世界の中で——
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「……とんでもないことするわね」
リリアが呆れたように言う。
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「手っ取り早いだろ」
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フェンが元の姿に戻る。
「ワン!」
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「……でも」
リリアの表情が引き締まる。
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「これで終わりじゃないわよね」
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「ああ」
俺も頷く。
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崩れゆく空間の先。
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さらに奥に——
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「本命がいる」
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その気配は、明らかに今までとは違った。
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「行くぞ」
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俺たちは、さらに深く踏み込む。
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——本当の戦いは、ここからだ。




