第22話 「新章突入——黒幕の“本体”を追った先で、世界の真実に触れてしまいました」
「……終わった、のよね」
リリアが空を見上げながら呟く。
黒い霧は、完全に消えていた。
⸻
「ああ」
俺は静かに頷く。
「とりあえずは、な」
⸻
だが——
終わった気は、まったくしない。
⸻
「“末端”って言ってたわよね」
リリアが顔をしかめる。
⸻
「ああ」
俺は拳を握る。
⸻
「つまり、あれより強いのがまだいるってことだ」
⸻
「しかも“本体”」
リリアがため息をつく。
「スケールおかしくない?」
⸻
「今さらだろ」
軽く笑う。
⸻
フェンが空を見上げる。
「ワン……」
⸻
「……気になるか?」
「ワン」
小さく頷くように鳴いた。
⸻
「だよな」
俺も同じ気持ちだ。
⸻
「追うしかないな」
⸻
リリアがこちらを見る。
「本気で言ってるの?」
⸻
「ここまで来て引く理由あるか?」
⸻
「……ないわね」
苦笑しながらも、しっかり頷く。
⸻
「じゃあ、どうやって探すの?」
⸻
「それなんだよな」
俺は少し考える。
⸻
その時だった。
⸻
フェンが、急に反応した。
「ワン!」
⸻
「どうした?」
⸻
フェンは一点を見つめている。
遺跡の奥——
さっきまでは何もなかった場所。
⸻
「……あれ、何?」
リリアが目を細める。
⸻
空間が、歪んでいた。
まるで、そこだけ現実がずれているように。
⸻
「さっきはなかったわよね?」
「ああ」
⸻
「……行くぞ」
俺は迷わず踏み出した。
⸻
歪みに近づく。
空気が変わる。
⸻
「ちょっと、レイン!」
リリアが止めようとする。
⸻
「大丈夫だ」
振り返らずに言う。
⸻
「こういうのは——」
⸻
手を伸ばす。
⸻
「入るしかないだろ」
⸻
その瞬間。
⸻
——ガッ
空間に触れた。
⸻
次の瞬間。
視界が、反転する。
⸻
「なっ——!?」
リリアの声が遠くなる。
⸻
光。
闇。
そして——
⸻
「……ここは」
⸻
見知らぬ場所。
⸻
空は暗く。
空気は重く。
⸻
「……なんか、嫌な感じね」
リリアが警戒する。
⸻
「ワン……」
フェンも低く唸る。
⸻
「……間違いないな」
俺は周囲を見渡す。
⸻
「ここ、“あいつらの領域”だ」
⸻
その時。
⸻
「侵入者、確認」
⸻
冷たい声が響いた。
⸻
振り向く。
⸻
そこにいたのは——
黒い霧をまとった存在が、複数。
⸻
「……増えたな」
俺は軽く笑う。
⸻
「歓迎してくれてるみたいだ」
⸻
「冗談じゃないわよ……」
リリアが剣を構える。
⸻
フェンが前に出る。
「グルルル……!」
⸻
「ちょうどいい」
俺は拳を握る。
⸻
「新しい力——試す相手ができた」
⸻
黒い存在たちが、一斉に動く。
⸻
「行くぞ」
⸻
新たな世界。
新たな敵。
⸻
そして——
“本当の戦い”が、始まる。




