第19話 「覚醒後の俺、強すぎて試し撃ちが大惨事になりました」
「……外、か」
遺跡の出口を抜けた瞬間、眩しい光が差し込んだ。
長い試練を終え、ようやく戻ってきた現実。
だが——
「なんか、感覚がおかしいな」
俺は手を開いたり閉じたりする。
体が軽い。
いや、それだけじゃない。
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「……空気が“見える”?」
自分でも意味が分からない感覚。
周囲の流れ、気配、力の動き。
すべてが、はっきりと認識できる。
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「それ、完全におかしいわよ」
リリアが呆れたように言う。
「普通はそんな感覚ないから」
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「だよな」
苦笑する。
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「でも……確実に変わった」
拳を軽く握る。
力が、溢れている。
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「試してみる?」
リリアが少し距離を取る。
「軽くでいいから」
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「軽く、な」
俺は前方の岩に視線を向ける。
人の背丈ほどの大きさ。
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「これくらいなら……」
軽く拳を振る。
ほんの少しだけ、力を乗せて。
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——ドンッ
鈍い音。
次の瞬間——
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「……は?」
岩が、消えた。
粉々どころじゃない。
跡形もなく、吹き飛んでいる。
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「ちょっと!? 今の軽くよね!?」
リリアが叫ぶ。
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「……軽くのつもりだった」
俺もさすがに驚く。
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「威力おかしいでしょ……」
リリアが額に手を当てる。
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「……調整、必要だな」
これは本気で危ない。
街中でやったら大惨事だ。
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「ワン!」
フェンが楽しそうに鳴く。
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「お前は楽しそうだな」
苦笑しながら頭を撫でる。
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「でも——」
リリアが真剣な顔になる。
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「これなら、あいつに……」
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「ああ」
言葉の先は同じだった。
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「勝てる可能性、見えてきたな」
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あの黒い存在。
圧倒的だった差。
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「次は——」
拳を握る。
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「やり返す」
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その時だった。
フェンが、ピクリと反応する。
「ワン……」
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「どうした?」
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「……気配」
リリアも同時に振り向く。
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空気が、変わる。
さっきまでとは違う。
重く、冷たい——
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「……来たか」
俺は静かに構えた。
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森の奥。
ゆっくりと、黒い霧が集まる。
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「まさか……こんなに早く?」
リリアの声が震える。
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霧の中から、声が響く。
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「ほう……」
聞き覚えのある声。
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「随分と、面白い力を手に入れたようだな」
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黒い存在が、姿を現す。
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「また会ったな」
俺は笑った。
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「今度は——」
一歩踏み出す。
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「逃がさねえぞ」
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フェンが並ぶ。
「グルルル……!」
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リリアも剣を構える。
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「いいだろう」
黒い存在が、わずかに笑う。
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「では——続きを始めよう」
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——決戦の幕が、再び上がる。




