#9胃絡宙
一つずつ手に取って中身を出す。
からを取り皿に盛っていく。時間と比例して皿の上で山ができる。
これ美味しいですよ、ほら。
枝豆の殻たちは、唐揚げによって横にずらされた。
唐揚げは、元からそこに置かれていたのだと主張するように、照明の光を受けて光っている。
油を纏っているのが臭いを嗅がなくてもわかる。
胃が油ものを拒否してくるが、構わずに箸を手に取り先の方でつまむ。
一息に口に放り込んだ。
気を抜いたら顎が外れてしまいそうなくらい大きい。
ガリガリと硬い衣を噛み砕く。
共鳴するように、端の片方を上下させる。
どこを向いていればわからなかったので、枝豆の殻が乗っている皿を見ていた。
内側の熱が歯の神経を通して伝わってくる。
徐々に小さくなった塊を飲み込む。
最後に、ウーロン茶で勢いよく流し込んだ。
からになったグラスを箸と一緒にテーブルに置いた。
視線を上げるのと同時に、彼と目が合った。
美味しいですよね。
共感を求めてきたが味は覚えていなかった。
テーブルの上にある皿が、どんどん重ねられていく。
彼は、その間にグラスを2個追加していた。
自分は、彼が進めるがままに食材を口に運んでいた。
半強制的に胃に落とし込むため、その度に口内が水分を求めていた。
しきりに団体が店の中に入ってくる音が聞こえてくる。
彼が箸を置いたときには、
店内の忙しさはピークを迎えていた。
あー美味しかった、
せやけど、まだ入りたい言うとりますわ、
そんだらぶぶ漬けいっぱい出されないと帰れませんわ、
こんだらぐらいのやっちゃ、
顔が真っ赤に染まって、箸を置いたのに忙しなく口が動いている。
口調もさっきとは違っている。
笑いを含めながら、落ち着きを装っている。
これは完全に酔っている人だ。
置いて帰りたくなるが、奢ってもらう立場として、それはよくないと自分に残された小さな良心がつぶやいた。
お疲れ様です。タケノハラです。
色々ギリギリで飛ばしかけましたがいつも通りに投稿できました。
よかったです。




