悲劇的サプライズ
一年前に両親を死に追いやった男を目の前にして、一太と雫は当然穏やかでいられるはずもない。
一太は怒りと恐怖で全身を震わせた。雫はその場に座り込み、涙をながした。陽子はそんな二人のそばに寄り抱きしめた。
「健、テレビを消して!」と陽子が言う。
健がテレビのリモコンを取り消そうとすると一太が
「消すな!」
と怒鳴った。
「この男からは絶対に逃げちゃダメなんだ。最後まで見させて。」
その言葉に、誰も言い返すことはできなかった。
黒尽くめの男は少し興奮気味に話を続けた。
「いやぁ、この一年で東京も随分変わりましたねぇ。20歳そこそこの青少年が大人を殴り殺しちゃったりしちゃうんですもん。でも、凄いですよねぇ。大人が束になって取り押さえようとしても、逃げちゃうんですから。とても普通の人間とは思えないなぁ。皆さんもそうお思いなんじゃないでしょうか!はい!そうです!何を隠そう彼らは皆、一年前のミレニアム君から生き残った選ばれ者たちなんです!まあ、詳しい事は皆さんで調べてもらうとして。話を変えまーす!今私はどこにいるでしょーかっ!!はい!!そうです!大阪府の行政の中枢、大阪府庁です!そして、隣にいるのが歴代最年少府知事の中島知事でーす!」
中島知事はまるで、選挙カーから手を振っている時のような笑顔をしながら話し始めた。
「大阪府並び、日本国民の皆様。明けましておめでとうございます。現大阪府知事の中島真太郎です。この度は、皆様にお伝えしたいことがあります。私は何を隠そう、昨年の元日に起きましたミレニアム事件の実行グループのメンバーであります。」
そう言うと、今度は真顔で話し始めた。
「皆様はさぞや不思議に感じておられることでしょう。私たちが何者で、そして何故このようなことをするのか。世間は私たちのことをテロリストだと認識している。ただ、それは違う。私たちこそがこの日本を治めるに値する。本来はそうであるべきなのです!そして、その頂点に立つ人間こそ、今私の隣にいるこの方!十一代目ヒデヨリ様なのです!」
中島が興奮気味に言うと、今度は隣にいる十一代目ヒデヨリが話を始めた。
「どうも。黒尽くめの男改め、十一代目ヒデヨリです。いやぁ、中島知事ってば、興奮して勝手に自己紹介しちゃうんだもんなぁ。こういうのは僕発信でやりたいのに。」
中島は申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「中島知事が熱くなっちゃて、色々お話してくれたと思いますけど、これからは僕たちが日本を治めちゃうので、国民の皆さんはよろしくね。ちなみに、もう大阪はもう僕たちのものだから。あと、鹿児島もね。これからどんどん領土広げちゃいますね。あ!最後に一つ!僕たちの組織名とかグループ名って言うのかな?マスコミが勝手に黒尽くめの男みたいなダサい名前をつけたら嫌だから、発表しちゃうね。僕たちは、真西軍だー!!じゃあまた近いうちに。バイバイ。」
画面が真っ暗になりその後すぐに砂嵐になった。
テレビを見ていた一太はじめ家族たちは、何も話すことができず、それぞれが一点を見つめて固まっていた。




