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27 生産職と戦闘職と

1/6 文書の不自然な箇所を修正しました。

1/12 一部表現を変えました。

「・・・リクト君。君子危うきに近寄らずって知ってる?」

「アヤさーん、ごめんなさーい。」


格好良く飛び出したはいいけど、これからどうしよう僕。

だってあれだよ?いかにも山賊です、みたいなプレイヤー(PK)の集団に喧嘩売っちゃったんだよ?しかも僕たち2人で。相手はえーっと、うん、11人いるね。あ、これ絶対死ぬパターンだ。


「随分なめくさった態度取りやがって・・・。じわりじわりと嬲り殺しにしてやる!お前らっ!かかれ!」


ロッカーが叫ぶと、武器を手にした山賊(にしか見えないプレイヤーさん)が襲い掛かって来た。


「ちょっと、僕生産職なんだけどー!?」


襲い掛かってくる剣をしゃがんで回避し、そのままダッシュ。剣を振り下ろした状態で固まってるPKプレイヤーに体当たりをする。


「ぐえっ!?」


体当たりをされたプレイヤーは軽くよろめいただけだ。ダメージも殆ど入ってないはず。だけど、僕の狙いはダメージじゃない。よろめいた隙にこの包囲網から脱出する事だ。


「よっと。甘いよ山賊君。」


いつの間にかアヤさんも、僕の隣で短剣を構えたまま楽しそうに立っている。

多分だけど、《神速回避》でここに来たんだろう。


あのまま包囲されたまま戦うよりは、脱出して集団と対峙した方がまだマシだ。

プレイヤー達は僕たちを睨みながら、僕たちに向かって構える。だけど。


「まぁ、リクト君には今度埋め合わせでもしてもらおっかなー!これでも食らえ山賊君!」


アヤさんが一気に集団に対して間合いを詰めると、腰から短剣を引き抜く。

あまりの速さに対処しきれないPKプレイヤーを尻目に、アヤさんはスキルを発動する。


「『シーカーダガー!』


スキル発動と同時に黒く染まった短剣を、集団のうちの1人に向けて容赦なく突き刺す。

突き刺さったと同時にHPが2割程減り、刺されたのPKプレイヤーが顔を顰める。


「調子に乗ってんじゃねえぞッ!」


スキルを発動し終えて無防備になってるアヤさんに向けて、別のPKプレイヤーが手斧を投げようと構える。おっと、そうはいかない。


「くらえ――うっ!?」


突如飛来した弓矢に襲われたプレイヤーは手斧の投擲をキャンセルし、寸前の所で回避に成功した。

弓矢が飛来する方にはリクトが居た。その腕には、弓矢が装填されたクロスボウがある。


「・・・クロスボウか?あんな武器は見た事ないが・・・?」

希少武器レアウェポンじゃねえのか?出来れば奪いたいモンだな。」


PK集団の目線が、一気にリクトへ向けられる。

おぞましい目線に「あー助けるんじゃなかった・・・!」とリクトは内心半泣きになりながら思った。

集団の中から一人のプレイヤーが姿を現す。あ、あれは確かロッカーだっけ。カシラ。


「ちっ、ちょこまかとネズミみてぇに動き回りやがって。男なら正々堂々、正面からかかって来い。」

「いや、僕生産職なんで。バリバリの戦闘職の人と正面切って戦う度胸はありません。」

「ボクは女だからねー。」

「お前の事なんざ聞いてねえよ!」


大斧を持った山賊のカシラ・・・じゃなかった、リーダー格のロッカーが僕たち2人を睨みつける。

ロッカーは大斧を構えると、振りかぶった状態でこっちに向かって速い速度で突っ込んできた。――僕に向かって。


「えっ、僕!?」

「この女もムカつくが、まずはお前だ生産職の野郎ッ!」


ロッカーが中々に速い速度で僕に向かって突っ走ってくる。挑発してたのアヤさんだよね!僕に向かってくるんですかー!?

アヤさんよりは遅いけど、僕よりは断然早い。ちくしょう、唯一悪くないステータスの素早さでも負けてるんじゃないかなこれ。


向かって来るロッカーにクロスボウの照準を定める。トリガーが引き、数本の矢を立て続けに発射する―が。


「効かねえよぉこんな脆い矢ァ!」


ロックは走りながら斧をブンッと振り回す。

斧に当たった矢は砕け、当たらなかった矢も斧が生じさせた風圧で狙いをそれてどこかへ飛んでいく。

ダメだ。矢が軽すぎて威力が低い上に矢の速度も遅い!


「くっ、なら!」


腰から剣を抜き、ロッカーと対峙する。僕の背後には大きな岩がある。逃げようにも逃げられない。


勝ち目のない戦い―大斧を持って突撃してくるロッカーに、店売りの武器に加えて戦闘がまるでできない生産職のリクト。まともにぶつかったら勝てる訳がない。

次の瞬間には、剣ごとその身体を叩き割られる生産職のマヌケがいる―と、誰もが思った。


「おらぁッ、『ブレイクアックス』!」


ロッカーはスキル『ブレイクアックス』を発動し、容赦なくリクトに斬りかかる。


ロッカーは勝ちを確信していた。

自身の発動したスキル『ブレイクアックス』は、威力だけでいえば盾持ちの壁役ですら致命傷を与える威力を持つ。その上、防具で防御しようものなら、その耐久値を大きく減らす特殊効果を持っている。


―目の前のガキは軽装だ。特殊効果は意味ねえだろうが、威力だけでコイツを殺るのには十分だ。


迫り来る斧は、容赦なくリクトの首付近を狙っている。少年の力と装備では、どうあがいても男の斧の一撃を受け止められる筈がない。


そして、ガンッという音と共に、リクトの身体は両断された―かのように見えた。


「んなっ!?」


ロッカーの目が見開かれる。

彼自身、何が起こったのかよく分からなかった。

確かに衝撃を感じた。構えた剣に刃が直撃するのを感じた。ただ、それだけだ。

生産職のガキは――殺せていなかった。それだけじゃなく。


バキンッという音と共に、俺の斧が柄から折れていた。




(・・・うえぇ、どうしよう。このままじゃ僕ミンチになっちゃうって絶対)


目の前にいる山賊ロッカーさんはもうあれだ、あれだよ。猛牛。あれにそっくり。僕は赤い布ね。しかもあれだよ?僕の逃げ道正面しかないじゃないですかー。

牽制になると期待したクロスボウによる射撃も全く効果が無かった。

何もしずにこのまま激突すれば、圧倒的な攻撃力の差で僕は消し炭になるのは目に見えている。


「くっ、なら!」


リクトは剣を構える。

迫り来るロッカーを睨みながら、リクトは頭の中で考えを張り巡らせた。


あいつは僕たちがPKを止めさせた事にムカついてる。そして、僕が生産職っていうのも分かってる。

ちまちま戦わずに、圧倒的な攻撃力の差に物を言わせて一気に勝負を付けに来る筈だ。

そうなれば、あいつが取る行動は―


「おらぁッ、『ブレイクアックス』!」


ロッカーがスキルを発動し、ロッカーの持つ斧が赤く光る。


(・・・来た!)


リクトは赤く光った斧を見る。ブレイクアックスって名前だから、多分威力は高いだろう。多分、ガチガチに固めた装備の人でもただでは済まないだろうね。

だけど――


(・・・いける!)


ロッカーがスキルのモーションに入ろうとした瞬間、リクトはスライディングをするようにロッカーの足元に飛び込んだ。それに気づかず、ロッカーはそのままブレイクアックスを発動させ―


ガァンッ


リクトの背後にあった大きな岩に斧の刃が当たる。

そして、その瞬間に。


(届けーッ!)


リクトはスライディングの体勢のまま、持っていた剣をとある場所に突き上げた。

その場所は、ロッカーの身体ではなく、彼の持つ斧。その中で、最も脆くなってる場所。

大斧の柄の部分に剣を突き刺す。


そして―


バキンッ。


金属が砕ける音がして、ロッカーの持つ大斧が砕け散った。








リクト「ねえ、僕生産職だよ!?戦闘職じゃないよ!?えっ、剣での戦闘に憧れてたじゃないか、だって?いや、まあそうなんだけど!」

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