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26 PKとの対峙

ふと気が付いたら、10万PVと24000ユニークを達成しておりました。

ありがとうございます、更新は亀ですが、引き続きFWOをよろしくお願いします。

「それにしても、リクト君って凄いよねー。」

「え?何がですか?」

「お姉さんの制御役。」


アヤさんが唐突にそんな事を言って来た。


「もう慣れましたよ。」

「家でもあんな調子なの?」

「ですね。色々大変ですよ。例えば―」


モンスターに警戒し、アヤさんと会話をしながら火山入り口までの道を戻った。

アヤさんの索敵能力は中々の物で、「こっちの道なら大丈夫だよー。」とか言って誘導してくれる。おかげで、モンスターと遭遇しずに順調に戻ってこれていた。


「あはは、そうなんだ。やっぱりカエデはゲーマーだったんだね。」

「ああいうのこそ廃人っていうやつだと思いますよ。僕も何回もゲームに誘われましたし。」


姉さんはちょっとでも気に入ったタイトルを見つければ、「陸人!一緒にやるわよ!」とかいいながら(ほぼ強引に)プレイを勧めてくるしね。


今までは半分振り回されながらのプレイだったけど、FWOに関していえば姉さんに感謝してるくらいだ。

このゲームなら僕の好きなようにプレイできるし、何よりVRゲームって何か新鮮だし。


「それにしても、生産職ね・・・。縁の下の力持ちっていう意味では、リクト君にピッタリかも知れないね。」

「そう言われると納得できそうです。」


と言うと、アヤさんは「それだけじゃないよ?」と言う。


「このゲームってさ、自分が主人公みたいになりきって動ける、初めてのVRゲームじゃない?」

「ええ、そうですけど。」

「その初めてのVRゲームがMMOで、剣と魔法で戦うタイプのゲームなんだよ?誰もが、格好良くプレイしたい!って思うのが普通だと思うんだー。」


そう言われてみれば、確かにそうかもしれない。

僕だって、道具師としてFWOの世界に降り立った時こそ、剣を使って敵を倒す事だけに執着してたっけ。


「それでいきなり生産職の・・・しかも大ハズレって言われてるジョブをピンポイントで狙い撃つリクト君って、やっぱり変わってるなって」

「アヤさん、売られた喧嘩は買いますよ。」


アヤさんにじとっとした目線を送ると、冗談だってーと笑いながら手を振った。


「さてと、そんな事よりもう出口だよーって・・・」


とアヤさんが口にした所で黙り込む。


「アヤさん?どうし・・・って。」


アヤさんの目線を追ったリクトは目を見開いた。


そこは火山の入り口だった。このまま行けば火山地帯から脱出できるだろう。

だが、その入り口付近にプレイヤーの集団が居た。

いや、正確には冒険者風のプレイヤー2人を、多数のプレイヤーが取り囲んでいる、といった方が正しいか。


陸人は、家で楓が言った言葉を思い出す。


『火山地帯に、MPKプレイヤーが居るらしいのよ。しかも一人や二人じゃなくて、結構な数が。』


リクトは、それがPKの集団じゃないか?という疑問に変わる。

だけど、MPKは確かモンスターを引き連れて、なすりつけるような形でプレイヤーをキルするといった行為だ。あれはどうみてもMPKではない。むしろ――


「様子が変だね。」

「ええ、あれは何でしょう?僕、最初MPKかと思ったんですが・・・」

「MPKにしては違うね。でも、あれは私たちが近寄っていい相手じゃないね。」


アヤさんは「ここでしばらく待っとこうよ。」と近くにあった大きな岩の影を指さした。

そこに隠れて置いて、あの騒動が収まったらここから出ていくつもりだろう。


「それじゃあ、そうしま――」


とリクトは言いかけた所で固まった。

その目線の先には、入り口の集団に向けられていた。


怯えて縮こまるプレイヤーの一人に、囲っているプレイヤーが剣を突き刺したのだ。

瞬時にHPのバーが0になり、刺された側のプレイヤーは光の粒になって消滅した。

PK。プレイヤーキル。その現場を初めて見た。

何で殺さなきゃいけなかったのか。あんなに怯えて無抵抗なプレイヤーをあんな多人数で寄ってたかって。これじゃあまるでイジメじゃないか。


「ちょ、ちょっとリクト君!?」


気づいたときにはもう走っていた。入り口付近までダッシュし、目の前の集団に向かって叫ぶ。


「何やってんだよ!集団で寄ってたかって、その子が可哀想だろ!?」

「あ?何だこのガキ。」


リクトが叫ぶと、集団のプレイヤーがこっちを一斉に見た。うわっ、怖い顔がズラリだ。勢い付けて来たはいいけど、これからどうしよう。


「おいガキ。俺らに顔を覚えられる前にとっとと消えな。そうすりゃ今後も楽しいFWOライフを送れるぜ?」


ニヤニヤと笑うのは、短く切った黒髪にゴツイ顔、レザーアーマーを着こんだ男で、背中に大きな斧を背負っていた。うわ、いかにも山賊っぽいなこいつ。山賊のカシラです。と挨拶されたら素直に受け入れられそうだ。


「はぁ、はぁ、全くもー。・・・ねえそこの山賊さん。その子が一体何をしたって?」


アヤさんが追いついて来て山賊さんに言った。


「俺のどこが山賊に見えるんだよ!?俺にはロッカーという名前があるんだ!」

「いや、どう見ても山賊でしょその恰好。ジョブも山賊じゃないの?」

「喧嘩売ってんのかこのクソアマ!俺は斧戦士ってジョブだ!」


アヤさんがニヤニヤ笑いながら山賊さん・・・じゃなかった、ロッカーという人をからかってた。

確か、斧戦士は二次職だったはずだ。戦士からの派生だった筈だから、攻撃力が高いジョブなんだろう。


「おーおー、その斧戦士様が何でこんな初心者プレイヤーさんを苛めてるのよ?」

「はっ、俺達は初心者だから苛めてるって訳じゃねえぞ?」

「?それってどういう―」


アヤさんが言葉を言い切る前に、へたり込んだプレイヤーを囲んでいた男たちが僕たちの周りを囲い始める。

僕は冷や汗を流した。まずい、こいつらは・・・。


「俺達は・・・ギルド『ピーケー・ラバーズ』の先鋭部隊だぜ?けけっ、ちょっと憂さ晴らしの相手になってくれや!」


背中の斧の柄を握りつつ、ロッカーがニヤリと笑う。

ピーケー・ラバーズ・・・名前から察すると、こいつらは純粋なPKの集団か・・・。


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