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18 豹と道をふさぐ巨木。

11/13 誤字修正。

ウォーターパンサーは文字通り、豹のモンスターだ。よく考えたら、パンサーは豹だよね。虎はタイガーだね、うん。

あちこち走り回り、前衛の姉さんやガロウさんに側面から攻撃を仕掛けようと頻繁に位置を変える。


「・・・チッ、逃げんな!」


ガロウさんの大振りの斧が振り降ろされるが、ウォーターパンサーはサッと横に飛んで躱す。無防備になったガロウさんに襲い掛かろうとする。


「『スパークショット!』」

『グオオオッ!?』


カイさんの雷属性の魔法が直撃し、ウォーターパンサーのHPが大きく削れた。

あ、そっか。相手は水属性だから、弱点は雷属性なのか。


「あっまいよー!ボクの速さについてこれるかなー?」


アヤさんはと言うと、ウォーターパンサーの周りをくるくる回って、攻撃を回避しつつヘイトを取っていた。

いくら相手が素早いといえども、アヤさんのスピードは相当なもので、豹の方も動きを目線で追うのが精一杯なようだ。


「よそ見厳禁!」


と、アヤさんを追っていた豹を、シルヴァストさんが弓で攻撃する。

カイさんの魔法に比べたら微々たるダメージだけど、着実に傷を負わせている。


遠距離攻撃組のシルヴァストさんとカイさんは、順調に豹のHPをゴリゴリ削ってるけど、姉さんとガロウさんの接近攻撃組はあまりダメージを与えられていない。

ウォーターパンサーのスピードが速すぎるのと、2人の武器が剣と斧という近接バリバリな武器なので攻撃するまでに時間がかかり、簡単に回避されてしまうのだ。


それでも、姉さん達のパーティーは危なげなく豹を相手に戦えてるのだ。この分なら、大した攻撃も受けずにすぐに倒れるだろうね。


「や、やる事がない・・・。」


僕は、たまにくる豹の突進を避ける事くらいしかやる事が無かった。

無理に攻撃に参加しても、攻撃力不足で碌にダメージを与えられそうにないし、攻撃を受けよう物なら一撃で瀕死になる確率が高いからだ。


「・・・何か、こう攻撃できるアイテムを作る必要があるなぁ。」


エリアスパイダーの巣でのレベル上げの時、ヴァイス君が爆発するポーションで攻撃してたのを思い出した。あれみたいな奴を作れたら、多少は戦いやすくはなるだろうね。今度ヴァイス君に会ったら教えてもらおうかな?


「これでトドメッ!」


と、弱った豹に姉さんが横薙ぎに剣を叩きつけ、豹が豪快に後ろに吹っ飛んだ。

HPが0になり、地面に横たわったままピクピクと痙攣して動かなくなる豹。うわぁ、ヤケにリアルだなこの絵。


「よし、とりあえず中ボスはクリアしたわね。」

「ダメージも殆ど受けてないし、運が良かったよねー。」


とアヤさん。多少突進とかのあおりをうけて前衛の2人がダメージを受けたけど、HPの1割前後だから全然大丈夫だろう。


「アヤがタゲ取ってたのに、たまにリクト君に目線行ってたのは何ででしょうね?」

「弱いから格好の獲物として目に映ったんじゃない?」


姉さん、当たり前のように言わないで!


豹を撃破したパーティーだが、そうゆっくりと準備をする時間も無い。

この先のエリアがフォレストレントのいるエリアらしいので、急いで空腹ゲージの回復と各種ポーションの分配をする。

聞くと、中ボスは撃破後数分で復活するらしいのだ。その時に前回討伐したパーティーが居ると、常時『激昂』状態になって全ステータスが上昇するらしい。ゆっくり準備はさせてくれない、って事だね。


こうして準備を終え、先のエリアに進んだリクト達が見たのは、今までの景色とは全く違ったエリアだった。

日光が差し込まない、霧が立ち込めた森。あちらこちらに沼があり、視界も霧のせいで良くない。

僕たちの討伐すべきボスは、先へ続く道のど真ん中に居た。


思わず見上げるくらい大きな枯れ木のモンスターで、幹の部分に目と口らしきくぼんだ穴が開いている。

名前の部分には神秘の森BOSS:フォレストレント、と書かれていた。名前の色はオレンジ。僕のレベルが21だから、適正レベルは25くらいって所かな?


フォレストレントは僕たちに気付いたのか、口をニヤリとした形に変化させ、体中の枝をカサカサと動かし始めた。


「行くぞ!広範囲攻撃に気を付けろ!」


とガロウさんが叫ぶと、武器を持って突撃していく。

姉さんはその後ろから後を追うように向かっていき、アヤさんは2人の影に隠れるような形で追従する。


「『ファイアショット!』」

「『スナイプアロー!』」


カイさんとシルヴァストさんが、向かってくる前衛3人に攻撃しようとしたフォレストレントを攻撃する。

突然攻撃を食らったフォレストレントは大きくのけ反り、木の枝を振りかざして後衛の2人を見る。


「させるか、こっち向け!『ヘイトダガー』!」


アヤさんが短剣をフォレストレントに突き刺し、フォレストレントがターゲットを2人からアヤさんに変える。


「どこ見てんだウスノロが!」


無防備になった側面を、ガロウさんの斧の一撃が直撃する。

斧を食らった箇所が大きく裂け、大木が倒れるような音を出す(悲鳴なのかなこれ)フォレストレント。

そういえば、昔から木を切り倒すのって斧を使ってたよね。

もしかしたら特効効果とかあるのかな。


数分後、見事に切り倒されたフォレストレントが倒れていた。

意外とコイツ、苦戦しなかったな。シルヴァストさん曰く、結構運が良かったという事だった。


前回は、初めて会ったウォーターパンサーの攻撃力と素早さに苦戦し、消耗しきったところで本命のボスのフォレストレントと戦う羽目になった。しかもその時は、全体攻撃技の『木の葉落とし』を連発されたそうで、後衛の2人が真っ先に脱落、援護を受けられなくなった前衛も耐え切れず撤退、という散々な目に遭ったらしい。

でも今回は、僕の補給により万全な体制を維持でき、ウォーターパンサーも回避優先すれば攻撃など当たらないという事が分かり(思えば、突進とかひっかきとか、分かりやすい技しか使ってこなかったね)、さらに今回は『木の葉落とし』を全く使ってこなかったという、前回とは真逆の結果となったのだった。


「前回負けたから、結構警戒してたんだけどさ。何でこういう時に大技使ってこないかなー?」

「まあ、勝てばいいのよ勝てば。また負けてたら腹いせにリクト殴ってたかもね。」

「僕はサンドバックじゃないよ!?」


アヤさんも拍子抜けだったらしく、「前回はボク死んじゃったからねー、今回はいい所見せようと頑張ろうとしてたのにー」と笑ってた。


・・・というかしれっと僕が混ざってるけど、中ボスのウォーターパンサーもフォレストレントも、パーティーメンバーだけで倒したんだよね。僕見事に何もしてないよね・・・。まあ、姉さんから頼まれた時に戦力としては期待しないから補給係やってほしい、とか言われてたから、これでいいのかなぁ、とも思うけど。

目の前に敵が居るのに、何もできないってちょっと悔しいんだよね。僕でも戦力になるような戦術を考えないとダメだね。


《レベルが24になりました。》


と、ログが出た。おお、レベルが一気に3もあがった。・・・立派な寄生な気もするけど。

後1レベルで二次職になるのか僕。


「よーし、それじゃあ先に・・・って、何これ!?」


フォレストレントが守ってた先の道へ踏み込んだアヤさんが声を上げた。

見に行ってみると、その先のフィールドは一面の霧。しかも、足元は紫色の沼が広がっていた。・・・これってあれだよね、毒沼だよね?


「これって毒沼?・・・えいっ」

「ちょっ!?うわっ――」


姉さんに押され、沼に一歩踏み出す僕。

その瞬間、視界がグラッとして心臓がバクバクと激しく鼓動し始めた。・・・何これ、凄く苦しい・・・。


「HPの減りが思ったより激しいわね。もしかしてこれってただの毒じゃない?」

「これは毒じゃなくて猛毒。このままじゃ踏破は無理だ。」


いや、早く引っ張り上げてよ!


「・・・カエデさー、弟さんを実験台にするのは可哀想じゃない?」


アヤさんが引っ張ってくれて、何とか陸に上がる事が出来た。

陸に上がったと同時に、動悸や視界の異常が収まった。HPを見ると、残り4割くらいになっていた。うわっ、アヤさんが引っ張ってくれてなかったら死んでたかもしれない。


「まあ、危なくなったら助けてたわよ。それより、ここの突破は無理?」

「こりゃあ無理だな。今のリクトのダメージを見るに、まとも踏み込んだら1分で死に戻り確定だ。」


少し落ちただけで、HPの大半が削られるような場所だからね。防御力とかで防げそうにないし、無理だろうね。

あんなに綺麗な景色だった神秘の森の奥地が、こんな毒々しい景色に変わるなんてなぁ。











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