14 黒猫さんと白猫さん。
2015 11/6 一部言い回しを修正しました。
「あれ?クロ君じゃん、何してるのー?」
木立エリアで狩りを続けて数十分くらいが経った時だった。
僕たちは一人の男の子に声を掛けられてふっと声がした方を振り向いた。
(・・・うわぁ。)
うん、一目見てキャット君の知り合いって分かるよ。
何でかって?・・・だって、同じようなネコミミフード被ってるもん。
白っぽい髪に青い瞳、背はキャット君よりも少し高い。活発そうな男の子だ。
キャット君は黒っぽいフードにネコミミがついてるタイプだけど、目の前にいる男の子は白っぽいフードにネコミミが付いていた。
この人たち、どれだけネコミミ好きなんだよ!
「・・・ヴァイス。何か用?」
「いや、一人でエリアスパイダー狩ってたら見かけたからさ?」
「・・・リクトとレベル上げしてた。素材集めも兼ねて、だけど。」
「リクト?・・・ああ、フレンドさんか。」
会話を聞く限り、この男の子とキャット君は知り合いかフレンドの関係みたいだね。
・・・猫好きなのかな?
「こんにちは、初めましてー!僕はヴァイスって言います。レベルは17でジョブは生産職の薬師です。」
「あ、こんにちは。僕はリクトって言います。レベルは11・・・あ、12になってた。で、ジョブは道具師です。」
と挨拶した。薬師・・・つまりはポーションとかを作るジョブの人か。
「道具師かー。あれ、かなり面倒なジョブらしいけど大丈夫なの?」
「・・・大丈夫。本人は楽しんでるから。」
「知らぬが仏ってやつかな?」
2人の会話は聞こえないけど、何かすっごいバカにされてる気がする。
「あー・・・ところでクロ君さ。レベル上げのパーティーを組んでるんなら、ちょっと僕も入れてほしいんだけど。」
「・・・パーティーリーダーはリクトだから、そっちに言って。後、僕の名前はキャット。」
「リクト君、いいかい?」
「僕自身弱いですけど、それでもいいのなら。」
僕も弱いから大丈夫だよー!と元気よく返事をしながら、ヴァイス君はパーティーに入った。
ついでにフレンド登録もしておいた。これで3人目だね。
っていうか、キャット君はヴァイス君にクロって呼ばれてるのか、本人は嫌がってるけど。何か飼い猫に居そうな名前・・・。
『ギャーギャー!』
剣が命中し、HPが0になったバトルゴブリンが悲鳴を上げて消えていった。
《レベルが15になりました。》
おお、レベルが上がった!あれから随分狩ったけど、どんどんレベルが上がるなぁ。
道具師がレベルアップに必要な経験値が少ないって言うのは、多分本当なんだろうね。
《レベルが15になった為、新しいスキル『アイテムボックス拡張Lv1』を習得しました。》
「って、戦闘系のスキルじゃないのかよっ!?」
おっと、思わず声が出ちゃった。近くに居たヴァイス君とキャット君がビクッとした。ごめんなさい。
「・・・リクト、どうしたの?」
「レベルが15になったんだけど、スキルが戦闘用の役立つスキルを習得しないんだよ・・・」
「・・・レベルが上がるの早くないか?」
そうかな?と思ってパーティーメニューを開いてみると、キャット君が16、ヴァイス君が18だった。二人が1上がる経験値の量で、僕はレベルが3上がった。かなり早いペースだと思う。あ、ちなみにだけどスタートダッシュアイテムは使ってない。
「ねえねえ、ちなみに今まではどんなスキルを習得してきたの?」
「『採取効率Lv1』と『採取効率Lv2』、それで今習得した『アイテムボックス拡張Lv1』だね。」
「・・・見事に戦闘スキル無いね。」
うぅ、剣とかで格好良い技を出して、モンスターを瞬殺!とかやってみたいんだけどなぁ。
「二人はどういうスキルなの?」
「・・・僕は『採取効率Lv1』と『ソードマスタリーLv1』と『裁縫技術Lv1』。」
「僕は『採取発見Lv1』、『ツインソードマスタリーLv1』、『調薬技術Lv1』かな?」
確かソードマスタリーって、剣を装備している時に与えるダメージが増加するスキルだったっけ。
生産職だからか分からないけど、2人とも技系のスキルは覚えてないみたいだね。僕よりマシだけど。
「はぁ。僕のスキルって採取特化じゃん・・・。」
「でも、アイテムボックス拡張は少し羨ましいよ?特に前衛の人とか見たら羨ましがるんじゃないのかな?」
「・・・前衛タイプの人は、常時アイテムボックス容量との戦いだからね。」
それは知ってるけどさ。
ほら、補給係とか兵站って何か地味じゃん・・・。それなら、何で生産職選んだんだって話だけどさ。
「まあ、レベル20に期待する!」
「・・・頑張れ。」
悩んでいても仕方がない!
こうなったら、やりきれない気持ちを全部モンスターにぶつけてやる!
「おらあああ!そこのミニトレント!僕のイライラを食らえ!」
「・・・完全に八つ当たり。」
「あはは。リクト君は怒らせないようにしようかな。」
キャット君達が軽く引いてる気がするけど、そんな事はどうでもいい!
「あー、そういえばリクト君、ちょっとお願いがあるんだけどさ。」
「えっ?」
と、3体目のミニトレントを切り倒した時にヴァイス君から声を掛けられた。
「レベル上げをしたいんだったら、ちょっと攻略したいダンジョンがあるんだけど。」
「ダンジョン?そんなの、近くにあるの?」
と会話していて、キャット君のネコミミがピョコッと動いた。
「・・・あそこ?僕も行きたいな。素材がちょうど不足してたし。」
「うんうん。僕もちょっと用事があるからね。僕一人で行くと怖いんだよねあそこ。」
怖い?お化けの類かな、僕は信じてないから平気だけど。
「どういう所なの?」
「うん。通称『水蜘蛛の巣』って呼ばれてるダンジョンでね。モンスターはエリアスパイダーしか出てこな――」
エリアスパイダー。って事はつまり・・・リアルクモの巣!?
「嫌だ!僕は帰る!」
「えー・・・リクト君ってクモ嫌いなの?」
「大嫌いだ!あんなの見るくらいなら、動くGの方がマシだ!」
「・・・男らしくない。」
「うぐっ」
・・・キャット君達は平気なんだね。
そういえば、前もあったなぁ・・・クモが嫌いって言ったら、姉さんに「男らしくないわよ?」と笑われた時。というか、僕のクモ嫌いは姉さんが原因なんだけどね!!
だけど、どうせモンスターなんだ。こうなりゃゲーム内だけでも克服してやる!
「分かったよ!行けばいいんだろ行けば!」
「い、嫌なら別にいいんだけど・・・」
「大丈夫!どうせモンスターなんだから、剣でバラバラにしてやる!」
「・・・バーサーカーか何かかな?」
ええい、こうなりゃヤケだ、1匹でも10匹でもかかってこい!




