11 レベリングをしよう。
「採取は止めよう。今日はレベリングの日だ!」
キャット君から道具師についての情報を教えてもらったリクトは、とりあえずレベリングをしようと考えた。レベル4はいくらなんでもマズい気がしてきた。
と言っても、辺りを見渡せば戦闘職のプレイヤーがひっきりなしにモンスターを追いかけていて、僕が入る隙間なんて無いように思える。
流石に草原エリアの敵なら僕で対処はできるけど、殲滅力で言うなら魔法使いや剣士に大きく劣る。
だからと言って、奥の木立のエリアの敵なんか僕じゃ対処できないからなぁ。
「もっと簡単に敵を倒せて、かつ人も少ないエリアって無いよなぁ・・・。」
そんな都合のいいエリアはある訳がない。
第一、そんなエリアがあれば人があっという間に流入してこっちと大差無くなるだろうからね。
アイテムボックス内の残された若干の素材を見ながら、やる事が無いならログアウトしようかなーと考えて気づいた。
・・・人は居るだろうけど、草原エリアよりも人が少ないであろう場所を思いついたのだ。
「うん、やっぱりあんまり居ないね!」
とリクトが意気揚々と向かった先は――アクラの街北側のエリアだった。
採取エリアなせいか、戦闘職の人を殆ど見かけなかった。居るのは、ゲームを始めたばかりの生産職らしきプレイヤーくらいだった。
最初に行き、素材の質の低さと少なさに行く事も無くなった場所だが、ここにはノンアクティブモンスター、草食獣のアケロンが居る。
一度は群れを間違って攻撃してボコボコにされたけど、理由が分かった今なら大丈夫なはずだ。
アケロンはステータスも低くて攻撃されても反撃も遅い為に簡単に倒せるモンスターだけど(姉さんもそういえば的って言ってたね)、一つだけ注意する点がある。
それは、アケロンはたまに群れで行動するけど、群れの個体を攻撃してはいけない事だ。
すると攻撃された個体のいる群れ全ての個体の攻撃力が倍近くなり、アクティブモンスターへと変化するのだ。僕がやられた理由はこれのせい。
一気に殲滅すれば攻撃力倍増による事故死の危険性も減るけど、そんな事できるのは姉さんくらいかも知れない。
「ふぅ、普通のアケロンってこんなに弱いんだ。」
装備は初期武器のルーキーソード、レベルも低い僕だけど、アケロンはそんな僕にボコボコにされるくらい弱かった。1時間くらいの狩りでレベルも7に上がったし、アイテムボックスには骨と肉が体力に入っている。後で焼いて食料にしよう。
それと、レベル5になった時にスキルを習得した。
『効率採取Lv1』っていう常時スキルで、効果は採取時にアイテムが複数採れる確率が上昇する、というスキルだった。僕にはありがたいスキルだね。
今まで戦闘なんて殆どやってなかったから分からなかったけど、ヘルプによるとスキルはレベル5毎に習得する。
どんなスキルを習得するかは人によって違う。一瞬それを聞いて訳が分からなかったけど、プレイヤーが好んで使うスキルの系統によってそのプレイヤーが習得するスキルが変わるらしい。
例えば剣を使って連撃系のスキルを好んで使えば、これから先習得するスキルは連撃系のスキルになる、といった具合にだ。
つまり僕は、採取ばっかりしてるからこういうスキルを取ったんですね、・・・分かってるよ!
「ん?あれ、メッセージが入ってる?」
ふとメニュー画面を開いたリクトは、新着メッセージが入ってる事に気が付いた。
えーっと、姉さんからだね。どれどれ。
『レベル20到達!リクトも早く追いついてね。
本題なんだけど、今4人パーティー組んで神秘の森で狩りをしてるんだけど、ボスが強すぎて勝てない。
だから、パーティーに追従するといった形で付いてきて欲しいんだ。
戦闘には期待してないから、食料とか回復アイテムとかを持って来てほしい!』
「ふむ・・・戦闘には期待してないからって、うるさいよっ!?」
しかもレベル20にたどり着いたのか、僕なんてまだ10レベルにも到達してないのに。
まあRPG系の爆速レベリングは姉さんの得意技だし、僕はもう驚かないけどね。
それにしても、『パーティーに追従する形で』、か・・・。
つまりは、兵站みたいな役割をしろっていう事かな?
生産職と戦闘職の大きな違いの一つに、アイテムボックスの収納数の違いっていうのがある。
戦闘職のプレイヤーと生産職のプレイヤーとでは、アイテムボックスの性能が結構違うらしく、戦闘職の人は食料や回復アイテムを多数入れられないといったデメリットが常に付きまとっている。
かといって節約しようにも、前衛の人はHPが減りやすい上に空腹ゲージの増加も早くなる為に節約なんて出来っこないし、後衛は後衛で全体をカバーできる収納数がある訳でもない。
「まあ姉さんからのお願いだし、聞かない訳には行かないかな・・・。断ったら殺されるし。」
そういえば、FWOにログインして最初に食らった打撃って姉さんの頭への打撃だったよね。
あれ結構痛かったなぁ・・・VR空間では痛覚は軽減されてるって言うけど、本気で殴られたら僕は気絶するんじゃないだろうか。
まあとりあえずはレベリングだ。レベルが低いままだと付いていく事すらままならなくなる。
木立エリアの奥らしいから、モンスターの強さもかなりのものだろうからね。
「それと、装備品も変えとかないとなぁ・・・。」
今の装備は、武器から防具まで全部初期装備だ。
ソロの僕なら問題はなかったけど、これも新調しないとダメだろうね。ただえさえ色んなものを買いすぎてお金あんまり無いんだけどなぁ。
やる事が多いけど、一つ一つ片づけていこうかな。まずはレベリングだね。
とリクトは決めると、近くに居たアケロンに向かってルーキーソードを振るうのだった。




