↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FAITH !!  作者: 吹雪やよい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/3

あなたと音楽は出来ません

冬鳳は口をあんぐりと開けたまま、目の前の美少女を見つめた。


「ねぇ、もう一回言ってもらえる?聞き間違いだったかもしれないし。」


いや、そうに違いない。


そうでなければおかしいのだ。


すると侑はニコッと笑い言葉を発した。


「一緒にユニット組んで音楽をしよ!私たちならできる!!」


そう言ってふふんと胸を張った。


聞き間違いではなかった。


この子は一緒に音楽をしようと言った。


私の音楽が好きだとも。


しかし‥‥。


いや、出来るじゃないのよ。


やらないし。


てかなんでうちに押しかけてんの。


怖すぎるでしょ。


冬鳳の頭はパニックになっていた。


考えれば考えるほど、この状況に取り乱してしまう。


訳がわからん。


そんなことを1人でぐるぐると考えていると、侑がキラキラと輝く美しい瞳で冬鳳を覗き込んできた。


「ねぇ、一緒にやってくれるよね?あんなに素敵な音楽、聴いたことないよ!だからお願い!!」


そう言って両手で冬鳳の手をぎゅっと握ってくる。


その宝石のような眼に見つめられると、動けなくなってしまう。


冬鳳は暫く黙り込んで、たっぷり30秒は置いた後、言った。


「まずはあなたが誰なのか教えてくれない?話はそこからでしょ。全く知らない者同士なんだし。」


そして侑の手を離すと、もう一度握り直し引っ張った。


「まあ、ここで話すのもなんだし取り敢えずうちに入ろ。そろそろ暗くなってきたし。」


空は太陽が沈み始め、月が顔を出し始めていた。


それを聞くと侑は「やったー!!」と言ってその場で嬉しそうに跳ねた。



家に入ると、まずはリビングに彼女を案内した。


侑は勝手にソファに座ると、我が家の如くくつろぎ始めた。


冬鳳はその様子を呆れながら見つめ、キッチンへ向かった。


一応あれでも客人なので飲み物とお菓子くらい出さねばならないだろう。


冷蔵庫を開けると、リンゴジュースのパックを手に取る。


果汁100%のお気に入りのやつ。


それを2つのグラスに注ぐと、今度はお菓子ボックスからルマンドとオレオを取り出した。


どっちが好きかわからないので両方持って行っておこう。


ちなみに冬鳳はルマンドの方が好きだった。


花柄のトレーにグラスとお菓子を載せ、侑の待つリビングに向かう。


侑はソファで胡座をかきながらテレビを観ていた。


どうやら勝手にリモコンまで触ったらしい。


冬鳳は若干イラッとしたが深呼吸をして心を落ち着ける。


ここでキレたらダメだ。


いくらくつろぎ過ぎているからとはいえ形式上は客人なのだ。


冬鳳はトレーをソファの前のテーブルに置いた。


「ジュースとお菓子。良かったらどうぞ。」


それを聞くと侑は目を光らせる。


「やったー!ありがとう冬鳳!!しかも私が大好きなルマンドじゃん!ジュースも好きなやつだし!」


そう言って満面の笑みを浮かべ、突然抱きついてくる。


突然のことに冬鳳が固まっていると、侑は体を離しグラスを手に取った。


それを見て彼女もグラスに口を付けた。


美味しい。


訳の分からない状況になってもこのジュースは相変わらず美味しかった。


飲みながら目の前の少女を見つめる。


今度はお菓子に手を伸ばしていた。


どうやら本当に好きらしい。


バクバクと幸せそうな顔をして食べている。


冬鳳は溜息を吐くと、そんな侑に話しかけた。


「で、私と音楽がやりたくてうちに押しかけてきたの?てか住所とかなんで分かったの?怖すぎるんだけど。」


この子をのこのこと家に上げてしまったが、冷静に考えたらおかしなことだった。


というか普通にヤバい。


そんな警戒した様子の冬鳳を見て、侑はふわりと笑う。


「そうだよ。冬鳳とどうしても音楽やりたくて来ちゃったの。住所はあの動画に映り込んでた外の景色から特定したの。私そういうこともできちゃうんだよねー。」


それを聞き、昨日間違えて投稿した動画を確認してみる。


カーテンを開けた状態で録画していたからだろうか。


本当に映り込んでいた。


しかも結構ガッツリ。


いや、何やってんだ。


このまま動画を消し忘れていたら大変なことになっていた。


冬鳳は青ざめながら、侑を見つめた。


「それでうちを特定してここにきたと。そういうことで良いのね?」


侑は思い切り頷く。


「でも冬鳳がドジで良かったよー。このままだったら一生会えなかったもん!!」


恐ろしい子だ。


侑を見つめながらブルブルと体を震わせる。


だが不思議と心の底から怖がっているわけではなかった。


そしてふと気になったことを聞く。


「ねぇ、侑のその髪と瞳って元々なの?それとも染めたりカラコンしたりしてるの?日本人じゃなかったりする?」


それを聞くと侑はなぜか淋しそうな顔をした。


だがそれも一瞬で、さっきまでの笑顔に戻り答えた。


「この姿で生まれたの。だから元からこうなの。それに純ジャパだよ。信じられないかもしれないけど。」


その言葉を聞き冬鳳は胸のモヤモヤがひとつ消えた。


そうなんだ。


生まれた時からこの見た目なんだ。


こんな子もいるんだなと思いながら冬鳳はじっと侑を見つめた。


だが重要なのはそこではない。


彼女から目を離すと、すうっと大きく息を吸い冬鳳は言った。


「侑。私、あなたと音楽はできない。」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。