第17話 模擬戦
そして戦いが始まる。
「お姉ちゃん、私頑張るよ!!」
シエルがそう言ってこちらに手を振ってきた。
その姿が可愛らしい。
私は手を振り返す。
するとシエルがガッツポーズを決める。
「セリナさん、わたし頑張ります」
「いつでもかかってきなさい!!」
そして、その言葉を皮切りに戦いが始まる。
そして次の瞬間光と闇の魔法がぶつかり合い相殺された。
その爆発の余波がこちらに飛んで来る。
風圧だ。かなりの風に、私の髪はふわっと一瞬風に浮く。
「あれが闇」「初めて見た」「おぞましい」「邪悪ね」様々な感想が観客席から飛んで来る。しかも、半分以上が批判的な言葉だ。
分かってはいた。分かってはいたけれど、闇魔法を恐れる人たちが多い。
やはり闇魔法は受け入れられないのか。
私は強くはをかんだ。これなら、シエルを後押しするべきじゃなかったかも。出場を止めてた方がよかったのかも。
こうなる可能性を感じていなかったわけではない。ただ、私はそうならない可能性を信じていた。
「言わせておけばいい。彼女は素晴らしい魔法を持っているんだから」
「ええ、そうね」
他人の一挙手一投足で影響を受けていたら駄目だ。
リデアス様は正しい。
だけど、もしこの戦いでシエルが、精神的にも傷ついたら。
それが、怖い。
そうなったら私は、姉失格だ。
「怖い顔をするな。彼女はそんなに弱くないぞ」
わたしはリデアス様の顔を見る。真っ直ぐに。
「安心しろ。俺はこの国の王太子だ。何かあったら君たち兄妹を守るさ」
「偉く強気なのね」
「そりゃそうだろ。権力は存分に使わなくては」
しかし、なんとなくほっとする。そうだ、私のするべきことは動揺ではなく、シエルを応援する事。
「さあ、闇の魔力を持つ者よ。かかってきなさい。あなたのすごい所を見せて頂戴」
そう言ってセリナは光を放出する。
そして、あたりを発光させる。ダメージはないようで、シエルはその場にただ立っている。
「周りの人たち、少し黙りなさい。私はこの瞬間。闇魔法だからって悪者扱いすることを禁じます。ただ、私とシエルちゃんとの戦いをじっくりと拝見する事だけを許可します。いいわよね」
その言葉に、瞬間静寂が流れる。
「わたしたちが素晴らしい戦いを見せてあげるから」
そして、戦いが始まる。
特訓したとはいえ、今のシエルでセリナに勝てるかどうかは分からない。
私はドキドキしながら、下を見る。
早速数発魔法が放たれ相殺される。
光と闇が互いに打ち消し合い、華麗な爆発を見せる。それはまるで小さな花火の様だった。
しかし――
最初は互角の様相を見せていた戦いも、段々とシエルが押し込まれていく。
セリナ、彼女は戦い慣れをしている。
魔法の使い方が的確に分かっているらしい。私はぎゅっとこぶしに力を入れる。
いざとなれば、会場に降り立ち、助けるつもりだ。
勿論、セリナがシエルを必要以上に痛めつけなければそれでいい話なのだけど。
シエルもすごい魔力を持つがセリアの質にはかなわない。
やはり戦いの経験値が足りないのだ。
段々と押されてきている。
しかも、シエルは運動神経が私と同じであまり良くない。
セリナは抜群の運動神経を持っているのに。
圧倒的にシエルが不利だ。
しかもシャイングバーストで段々とダメージを負っていく。
いやでも、わたしは戦況に絶望するべきではないのではないだろうかと、ふと思った。
元々セリナには勝てるとは思っていなかった。実力差が顕著に出ているから。
だけど、シエルはセリアにあそこまで戦えている。それをほめるべきではないのだろうか。
「すごい力ね。でも、それじゃあ足りないわ。まだまだ先があるはずよ」
「先?」
「貴方の魔法は素晴らしいけど、意識して使ってる?」
「意識?」
「そう、貴方の体内の魔力を」
体内の魔力、言いたいことは分かる。
要するに自身の体の中を巡る魔力、その流れに合わせて使えているか。
魔法とは、魔力を使って発動するが、その魔力の使い方によって力の強さも消費魔力も変わってくる。
「貴方がこの前倒れた原因も私知ってるよ。魔力の使い過ぎはそうだけど、魔力の使い方が悪いから早々に魔力が無くなったの」
「だらだらと話す暇が本当にあるのですか?」
闇がシエルの周りに渦として出来上がり、その渦が一気にセリアを襲う。
だが、それを意にも関せず光のバリアで防いだ。
セリアはまだまだ平気そうだが、シエルは息切れをし始めていた。
「大丈夫、才能があるからきっともっと強く慣れるよ。でも今日は魔力欠乏症になってもだめだから降参してくれない?」
「こうさん……」そう呟いた後、彼女は静かに「嫌です」と言った。
「じゃあ、分かった。降参」
セリアは腕を上げた。
「だってこうするしかない物。この戦い自体評価があるわけないしね」
「それは、私が負けたみたいじゃん」
シエルは負けず嫌いだ。そして今負けず嫌いな性分が一気に出て来る。だが、そのまえにセリアは妹のところへと飛んでいき。
「大丈夫だよ」
そう言って抱きしめる。すると穏やかに顔に変貌し、そのままシエルは眠りについた。恐らく催眠魔法でも使ったのだろう。
こうして二人の模擬戦は終わりを告げた。
そしてすぐに、私はシエルの元へと向かった。
「こんにちはー」
セリナが笑顔で手を振る。
軽い挨拶を貰い、シエルを渡される。
「やっぱり私もっとこの子育成したいわあ」
「私がそれを許すとでも?」
「さっさと妹離れした方がいいよ」
「まあ、それもそうね。私よりもあなたの方が明らかに強いしね」
私はあの戦い、正直なところ足て惑いだったと思う。
私は特別な力なんてない。
転生したからと言って特殊な力を得たとは限らない。
だけど、私は分かっている。私のこのせじゃいでn役目は妹を守ることだ。
だが、だからと言って力が無くていいわけではないことを知っている。
「私も鍛えないといけないわね」
「その通りだよ。今の状態だったら弱いからさー」
私は頷いた、この状況では言い訳のしようもない。
その後、体育の授業がもう一度行われた。
私は今日自身がある。というのも、毎日走り込みと腹筋背筋スクワットなどをし続け、鍛えてきたのだ。
だからこそ、この前みたいなことにはならないだろう。
そして、幸い二回目のテストで受かることとなった。
良かった。




