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ラスボスの姉に転生しました――闇落ちする運命の妹を救いたい  作者: 有原優


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第15話 回復


 そしてシエルが目覚めたのは、二日後の、朝の事だった。


「ん、おはよう」


 そう言ったシエルに私は思わず抱き着いた。


「え、え、何?」そう、シエルに飽きれられたが、心配だったものは仕方がない。


「無事に目覚めてくれてよかった。本当に安心してる」

「おねえ、ちゃん、うざい」


 困ったように声を出す。

 ウザイ、その言葉に少しショックを受けながら、私はシエルを解放した。


「でも」


 そう、私は呟く。


「無事に目覚めてくれてよかった」


 そう言うと、シエルが「お姉ちゃんのおかげ」なんて言ってくれる。


 私はそれに嬉しくなってまたハグをした。


 その後シエルにまたうざいなんて言われたのは言うまでもないだろう。

 そして、遅れながらニ十分後、セリナとリデアス殿下がやってきた。

 あなた達も来るのね、とふと思った。

 でも、一緒に戦った戦友なのだ。そりゃ来るだろう。


 私は、少しだけ後ろに下がる。

 わたしはやっぱり軽く足手纏いになったという事もあって、少々気まずい。



「大丈夫だった?」


 セリナがシエルに詰めかける。シエルが「うん」と答えると、良かったと言って笑う。


 そしていきなり彼女はシエルを抱きしめた。


「可愛い……」


 その言葉に私は少し驚いた。

 やっぱりもうゲームの知識は関係しないのかもしれない。関係図が全然違うもの。

 勿論セリナはシエルの事を虐めていたわけではない。むしろ何とかしようとしていたほうの人間だ。


 しかし、ここまでいきなり距離感が縮まるなんて。

 セリナはどちらかと言えば内気な人間なはずだ。


 リデアス様の他に、セリナの様子までおかしい。

 やっぱり全員の性格がおかしくなっているのだ。


 さて、そんな事を考えていると、セリナの溺愛っぷりにシエルが動揺しているのが見えた。

 嫌がっている。助けないと。


「シエルが動揺してるからそろそろやめて頂戴」


 私はセリナを無理やりシエルから引き剝がす。

 まあ、私も人の言う事は出来ないけど。



「えー」そう言ってセリナは唇を尖らせた。


「お願いします。やめってください」


 シエルが引きはがそうとする。それを見てようやく理解したのか、


「分かったわよ」


 そう言って、シエルを手から外した。


 そして仕切り直しだ。私たちは椅子に座りなおす。



 シエル私



 リデアス様、セリナ


 といった感じに座りなおした。



「それで、良かったよ。無事に目覚めて」


 リデアス様はそう呟いた。


「君の事は気にかけていたからね」

「ありがとう、ございます」


「それで、あなたの力は何なの?」


 セリナがぐいぐいとくる。


「決して悪いように言ってるんじゃないよだって私は貴方の力を強いと思ってるから」

「そう、ですか」



 静かにそう言った妹。しかしその顔には軽い笑みが浮かんでいた。

 照れ隠しをしているが、実際はうれしさでいっぱいなのだろう、今までその力のせいでやいやい言われていたのだから。


「ええ、素晴らしいと思うわ」

「ありがとう」


 そして感謝を伝えた後、


「それで、闇の力なんだけどさ。私に今度見せてよ。ていうか手合わせしてよ」


 衝撃発言が出た。


「どうしてですか?」

「その力を私も味わってみたいのよ」

「いいです、けど」


 シエルが気まずそうな顔を見せる。


「セリナさんが期待している力を出せるかどうか」

「それなら大丈夫よ。私はただ、闇の力を見てみたいだけだし」


 私はその姿を見て、どうしようものかと考えた。

 しかし、ここにわたしが乱入する理由がない。

 心配があまり、束縛してしまったら意味がない。シエルの自主性も尊重してあげるべきだ。


 私が黙っていると、


「分かりました。やりたいです」


 と、言った。


 これは言うべきことかどうかは分からないが、


「無理はしないでね」


 そう、私は言う。


 するとシエルは、「分かってるよお姉ちゃん」と言った。


「わたし、この力試してみたいの。セリナさんみたいなすごい人にどれくらい通じるのか」

「いいと思うわ。そう言うところ大好き」

「お姉ちゃん、ウザイ」


 また嫌がられてしまった。

 私が謝ると、「ふふ」と、シエルは楽しそうに笑う。

 その姿、可愛らしいなあ。


 そう言う訳で、そして二人の模擬戦が決まった。



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