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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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薄〜くスライスしたジャガイモをパリッと揚げたもの

「おおー。なんか、キモチワルイ、かも」


 試験農場にて、アブラナの種を「促進」の『特性』を利用して栽培し始め、急成長する様子を見たリアサのリアクションだ。


「それはまあたしかに」


 同意しつつも、アブラナから目を逸らさない。


 そして開花した瞬間に回収していく。


 インベントリには生きている生物は収納できないが、植物であれば問題なく収納できる。


 おかげで「促進」の効果によってごく僅かな、花が咲いてから枯れるまでの時間でも、しっかりと人工受粉が可能となる。


 受粉させたアブラナを埋め直し、布を張って種を回収しやすくしておく。


 あとは種が採れる状態になるまで待つだけだ。


「これで足りる?」


「いや、まだ足りないかなあ」


 とはいえ、時間的にも今日はこれを収獲しておしまいだ。


 明日も、二毛作か三毛作――もちろん、本来は一日で二回も三回も収穫するなんて言葉では無い――で種を大量に収穫したいところだ。


 


「付き添いありがとう」


「ん」


「じゃあ帰るね」


「おやすみ」


「おやすみなさい」


 この日はリアサを送り届けて解散となった。



 

 そこから二日かけてアブラナの種を収穫し、無事植物油を【クラフト】することに成功した。


 この油で揚げて美味しいものが作れるか試験といこう。


 時間としては昼過ぎで、ちょうどお腹も空いてきた頃合いだし、試食することになるだろうと見越して、リアサも試験農場に来てもらっている。


 鉄の鍋、なんてものがないので、石をくり抜いて鍋代わりにしよう。


 万が一壊れたら大変なので、インベントリの中できっちり強度を高めつつ、「加熱」を付与する。


 実際、調理するだけならインベントリの中で済ませた方が楽だし安全な気もするが、油で揚げる様子も楽しんでもらいたい。


 安定している場所に石の鍋を置き、アブラナの種から【クラフト】して採った油を注ぎ込む。


「これが、美味しい?」


「まあ見てて」


 油を熱している間に、インベントリの中でジャガイモを薄切りに【クラフト】。


 それを油の中からすくい上げるのに使う、油を落とせるように穴の空いた「おたま」と、油から上げたジャガイモをのせる「ざる」も【クラフト】しておいた。


 石鍋の中の油の温度を確かめるために、このために【クラフト】した菜箸(さいばし)を熱した油の中に入れる。


 菜箸の先から、細い泡がゆっくりと上ってくるのが見えた。


 ――うーん。たしかこれが油の温度が百五十度くらいを示してるんだと思うんだけど、そもそもジャガイモを揚げるのに適した温度がわからないから、何の意味もないや。


 まあ、それなりに熱くなったのは間違いないので、ゆっくりと薄切りのジャガイモ油の中に入れていく。


「おおー」


 油で揚げる小気味良い音が鳴り、リアサが声を上げた。


 ジャガイモがきつね色になったところで油から上げ、ざるにのせる。


 軽く油を落とした後、皿に移し、塩と砂糖をパラパラと振りかける。


 いわゆる、ポテトチップスだ。


「まだ熱いと思うから気をつけて食べてね」


 完成品をリアサに差し出すと、まずは一枚つまんで口に運んでいった。


 ――パリッ。


 リアサの口元から放たれた音を聞く限りでは、いい感じに仕上がっているんじゃないかと思う。


 てか、先に毒味を兼ねて味を確かめるために俺が試食するべきか。


 まあ、リアサは辛抱たまらんという表情だったし、すでに食べる手も止まってないので良しとしよう。


「オウギ、神。天才。美味しい。おかわり」

 

 なんてことを考えていたら、皿の上には何も残っていなかった。


 皿についた塩や砂糖まで舐め取ってしまいかねない勢いなので、調理を続行する。


 ちなみに俺は、神でも天才でもない。本来最初に思いついた人が受けるべき賞賛を奪って申し訳ない。


「このジャガイモを村で栽培してもらおうと思うんだけど、どうかな?」


「すぐやるべき」


「俺のやり方はさせられないから、収穫までに時間かかるけど」


「それならなおさらすぐやるべき」


 リアサに力強く断言されたところで、獣人の村に向かおうかと思ったのだが、リアサの食べる手が止まらず、しばらく油とにらめっこすることになった。




「こんにちはー」


 油の番を終え、獣人の村を一度通過し、双子の精霊の社の中へ入る。


「「おー」」「好きに」「くつろいでいけー」


 中にはぐでんと寝転がる精霊。


「あれ? 体調良くなかったりします?」


 精霊に体調不良なんてものがあるのかわからないが。


「「いや、だらけてるだけだ」」


 元気そうではあるか。


「それで」「今日は」「「何の用だ?」」


「まずはこちらをどうぞ」


 リアサのために揚げ続けたポテトチップスの残りを、インベントリから取り出し皿にのせて置く。


「「これは」」


「食べればわかる」


 どやあとリアサ。


「「いただこう」」


 ――パリッ。…………パリッ。パリッ。パリッ。パリッ。


 はい止まらなくなりましたー。


 ここではさすがに調理するのも面倒なので、インベントリの中で【クラフト】して出し続ける。――って、リアサさんも食べてますね? さっきあんなに食べたのに。


「「うめえ」」


「ん」


「しゅわしゅわ」「希望」


「む。あたしも」


「はいどうぞー」


「「「んぐっんぐっ。ぷはー」」」


 リアサまで揃っちゃってらあ。




「「うまかった!」」


「ん!」


「満足していただけたのならなによりです」


「それで」「今日は」「これを」「振る舞いに」「「来ただけか?」」


「もう一つあります」


 精霊を祀る社としては物足りなさがあったので、祭壇のようなものを置けないかと考えていたのだ。


「素人の手遊(てすさ)びみたいなものですけど――」

 ――パリッパリッ。


 ――ごくっごくっごくっ。


 ――ぷはー。


 ――げふっ。


「「これは」」「やめられない」「とまらない」


 んー。それは惜しいけど別商品だ。

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