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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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試験農場

 農業――植物の栽培に手を出そうと思い立ったものの、当然経験など無い。


 【クラフト】を活かして試行錯誤するしかないだろう。


「ところで、まだ起きれなさそう?」


「ん。まだむり」


 俺の太ももに頭をのせて横になっているリアサは、ちょっと前からもぞもぞと動いていたので、意識はあるだろうなと思っていた。


 とはいえ、魔力欠乏状態を防げなかったのは俺に責任があるので、本人が望むのであればもうしばらくはこのままでいいか。


「撫でて」


 本人が望むのであれば仕方ないか。


 優しく頭を撫でる――。


 ――――――撫で続けて三十分くらい経ちましたけど?


「あの、そろそろ」


「もうちょっと」


「脚がきつくて」


「むう……」


 リアサはマーキングするかのように俺の脚に顔面をこすりつけたあと、体を起こした。


「大丈夫そう?」


「ん。大丈夫」


「とりあえずこれ飲んで」


 「回復」を付与した炭酸ジュースを渡す。


「ありがと」


「ファイアブレスは魔力の消費も大きいし、色々危ないからあまり使わないほうが良さそうだね」


「えー」


 リアサは口をとがらせる。


「いざというときに使えるように、慣らす必要はあるだろうけど、奥の手として隠し持っておくほうがカッコいいかも?」


「なる、ほど」


 一理あるという表情をしているように見える。


 相変わらずリアサは表情の変化が乏しいのでわかりにくいが、だいぶわかるようになってきた気がする。


「今日は早いけど、そろそろ帰るよ」


「ええー」


 不満げな表情のリアサ。――これもハッキリわかるようになった。


「だいぶ回復したみたいだけど、魔力欠乏状態で倒れたばっかりだし、今日は無理しないでしっかり回復させよう」


 魔力を使い切ったらきっちり回復させるほうが、体感ではあるが魔力総量アップの効果が大きい。


「むう。わかった」


 不承不承納得してもらったリアサを家まで送り届けた後、谷の向こう側へ移動。


 家まで帰る――前に、こっち側の入り口から掘ってあった地下道を進み、谷底に出る。


 谷底はゴツゴツとした岩場になっており、中央には川が流れている。


 ここを整備して、農業試験場とするつもりだ。


 狭いスペースしかないが、あくまで試験場だしな。


 スキルとインベントリをフル活用して、一メートル四方で、深さ五十センチほどのスペースを作る。 


 ここに土を入れるわけだが、入れる土が重要だ。


 まずは土に石灰を混ぜておく。


 何故石灰を混ぜるのかというと、どこかのライトノベルでやっていたのを読んだからだ。


 ちゃんとした理由も書いてあったとは思うが覚えていないし、知識としても無い。


 つまり、意味も適した量もわからないが、そういうものらしいという記憶のみで進める。


 さすがに石灰入れ過ぎは良くないと思うので、控えめにしておこう。


 更にここに魔力を追加する。


 早く、力強く、元気に植物を育たせろよと念を込めて、土に魔力を練り込んでいく。


 『特性』としてあるわけではないので精神論みたいなものだが、土さんのやる気を引き出して、持ちうるポテンシャルの全てを発揮してもらおう。


 【クラフト】で良い感じに混ぜ合わせた土を、試験農場用スペースに流し込む。

 

 ここに植えるのは、根ごと採集した生長途中の亜麻だ。

 

 糸を作り出すのに適した植物で、よくよく思い返すと昔めちゃくちゃプレイしていたオンラインゲームの中で、亜麻糸とか亜麻布とかからリネン装備と呼ばれる一式を合成していた記憶がある。

 

 昔の記憶はともかく、こいつを育てて種を採集、それを植えて育て――を【クラフト】の力で時短させて繰り返し、大量の糸を確保してやろうという作戦だ。



 

 さて、まずは種を採集して亜麻を増やそうというこの試験栽培の結果だが、少ししか種は採集できずに終わった。

 

 魔力を込めたのが良かったのか、念じて魔力を込めたのが良かったのか定かではないが、生長して花が咲いて枯れるまで数日という、時短作戦は成功していた。

 

 では何がダメだったのか。

 

 おそらく、花が咲いている時間だ。

 

 時短に成功したことで、受粉にかけられる時間も短くなり、ほとんどの花が受粉しなかったんじゃないかと思っている。

 

 花が開くタイミングではその場にいて、人工受粉みたいなことをしなきゃダメか?

 

 いざやろうとすると、時短チート農業も楽じゃないな。

 

 やるのであれば、芋のような種芋から増やせる植物のほうが楽かもしれない。

 

 魔力を込めた土に植えることで、植物の生長が早くなるのはわかったが、まだタイムラプスのような早さであっという間に育っていくというわけではない。

 

 やはりまずは栽培の速度を上げる『特性』が必要になるか。

 

 ということで、土を入れ替えて、手当たり次第そのへんから採集した植物を植えていく。

 

 ほぼ雑草と呼ばれるようなヤツらなので、多少環境が悪かろうと育ってくれると信じて、ぎゅうぎゅうに詰め込んで栽培する。

 

 あとは水か。

 

 魔力によって時短には成功していたが、土が常に乾いているように思えた。

 

 おそらく植物の成育に必要な水の量は、普通に栽培している時と同様に必要になるのだろう。

 

 必要な水分の総量は同じで、時間が短縮されている分、一気に水分を吸い上げていってしまう。

 

 栽培が短時間で済むので、根腐れとか起こしにくそうだし、田んぼのように水浸しにしてもいいのかもしれない。

 

 もしくは水耕栽培とか。全然やり方とかわからないけど。

 

 雑草を適当に育てていると、気になる性質を持つ草があった。

 

 特に名前などついていないようだが、この性質を伸ばせれば価値が出るかもしれない。

 

 そんな感じで雑草を育てつつ、谷を越えるための地下道を掘っていたところ、地下道が無事に我が家から続くトンネルに繋がった日に、植物栽培の鍵となる『特性』を習得した。

ようやく「見様見真似農業」タグの出番。

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