双子の精霊との話し合い
「あ!」「オウギ!」「「やっと来たか!!」」
双子の山の精霊――ルートとスークが俺を指差す。トランポリンで跳ねながら。
やっと来たかと言われても一日ぶりだし、昨日は来れない可能性が高いという話もしてあるはずだ。
そんなことは脳内に留めて、明るく挨拶する。
「どうもこんにちはー」
「早速」「仕事がある」
「はい、なんでしょうか?」
「「これ壊れた!」」
見ると三つ用意したトランポリンの一つの中央に、見事な大穴ができていた。
「もう壊したんすか……」
どんだけ思い切り踏み込んでやがる?
「とにかく」「こいつを」「「直してくれ」」
「二つあれば十分では?」
「「三つ必要だ!」」
そこまで強く主張するなら直しますけど。
インベントリに回収して修復作業。
で設置し直すっと。
「直しましたよ」
「「おお!」」
すると二人はトランポリンからトランポリンへと、三つを順に跳び回る遊び方をはじめる。
たしかにこういう遊び方をするのであれば、二つだと交互になって難しいか。
リアサもやりたそうにそわそわし始めたが、三人でやるならもう一つ用意しなきゃいけなくなるので勘弁してほしい。
「跳びながらでいいので聞いてください」
「うん?」「どうした?」
「木材や植物素材が必要になりそうなので、伐採の許可が欲しいです」
「「いいよー」」
軽っ。
「いいけど」「伐りすぎ」「「注意ね」」
「わかりました」
ハゲ山にして、土砂崩れが頻発するような事態は当然避けなければ。
「もう一つありまして」
「「何?」」
「獣人の子どもたちのことなんですけど、精霊さまへの反省と感謝のために、この周辺の清掃だったり、これから建てるお社の掃除だったりをさせたいんです」
「罰は与えたし」「オウギがコレとかソレとかくれたし」「俺らはもう」「何も気にしてないぞ」
「ルートとスークの強さとか、凄さを思い知らせるためにも、子どもたちの相手をしてあげたりできません?」
「「いいよー」」
またまた軽っ。
もっとおだてるターンが必要かと思っていたのに、ずいぶんとあっさり了承された。
「さらに、村からのここまでの道とか、ここの周辺とか勝手に整備しても?」
「ダメな時は」「強引に止める」
「わかりました」
獣人の村もここも好き勝手していいらしい。
環境破壊にならないよう自重しつつ、アレコレ手をつけていってみるか。
とにかくまずは、精霊の社を作り直すところからだな。
屋根の頂点をもう少し上げて直角に近い角度にしたいのと、採光、換気用の窓を作りたい。
となると、そのための資材集めが必要で、木材を調達するのであれば、村からここまでの道か。
結局まずは道の整備からやるのがいいのか。
村からここまでは上り勾配になっているが、緩やかなため、わざわざつづら折りみたいな形にする必要はなさそう。
一直線に近い道を作ってしまいたい。
まずは道からということで、今日はそのまま帰るだろうとルートとスークに伝え、二人の元を離れた。
早速、道中の木をリアサに斧を渡して伐ってもらいつつ、下草や目に付く植物を刈りつつ、地面の土をスキルで掘り、インベントリ内で固めた土として【クラフト】して平らになるように埋めていく。
いや、ちょっとだけ勾配つけておくか。
村に向かって左側へ、ほんの数ミリ低くなるようにしておく。
道は一メートルくらい毎に段差を設けて、ステップの広い階段みたいな感じで整備していく。
そのうち、段差のないキレイでなだらかな坂道も併設しようかな?
今日のところはこんな感じで、リアサと共に村まで進んでいこうか。
「この木お願い」
「ん」
「ありがとー」
リアサが伐った木を即インベントリに収納し、木材へと加工する。
「オウギ」
「うん?」
そんな作業の合間、リアサが何かを訊きたそうに話しかけてきた。
「オウギは、何を、したい?」
「何をってのは今この道を作ったり木材を集めたりの目的の話?」
「ううん」
リアサは首を横に振る。
「大人に、なったら」
将来の夢とかそういう話か。
「うーん。特にこういうことをやりたいってのは無いかもなあ。
作ったものをなんとか売ってお金を稼ごうかなとか、どこかに家を構えて、暮らしやすいようにしようかなとかはなんとなく考えているけど、絶対にこれをやるぞみたいなのは無いなあ」
実家を窓口に【クラフト】した物を売り捌くとか、風呂トイレその他諸々快適な環境を作ろうとか、その程度のことを考えるくらいだ。
「あー。でも、一応やっておかなきゃいけないかなってことはある」
「それは、何?」
「どこかにあるという、四大精霊を祀る祭壇を修繕することだね」
「それが、前に言ってた、使命?」
「うん。
その祭壇がどこにあるのか、そもそも本当にあるのかすらわからないけどね」
「探すところから?」
「そうだね」
「大変そう」
「大変だろうなあ。火山の火口とか巨大滝の裏とか、人が普通行かないようなところにありそうだし」
「わかった。あたしも手伝う」
「手伝ってくれるのはありがたいけど、だいぶ先のことになりそうだし、おそらくめちゃくちゃ危険だよ」
「オウギは弱いから、あたしが守る」
リアサはふんすと鼻息を荒くする。
「本当にいつになるかはわからないけどね。
一緒にいてくれるなら心強いし、その時はお願いするね」
「ん。任せて」
「任せる。
って言っても、最低限身を守る術とか、体力とか、知識とかは付けなきゃだなあ」
「あたしも、もっと。強くなる」
「一緒に頑張りますか」
「ん!」
リアサの目と、纏う魔力が燃え上がっている。
そういえば、リアサが『竜属性』の持ち主でいいんだよな? 魔力の質感が他の人たちと全然違うし。
リアサ本人が知っているのかわからないし、タイミング見てお父かお母に聞きたいところだ。
お互い強くなろうと誓い合ったことで、さらに仲が深まったリアサと色々な話をしながら作業を続け、村に着いたところで、今日のここでの作業を終了とした。




