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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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推測

「おそらくですが、聖騎士様と一緒に我が領にやってきた、あのソクゼって名乗った司教様でしょうね」


 証拠もなにもないが、間違っていないと思う。


 ガヴィをけしかけてきたのもおそらく司教様だろうしね。 


「その根拠は?」


「ここから王都へ紙を持ち出すことができたのは、聖騎士様か司教様くらいで、聖騎士様がやった可能性は否定しきれませんが、今回の件が想定通りに進んでいた場合、得をしそうなのが司教様だろうなと思いました」


「どんな得があるというのだ?」


「父上を窮地に追いやった上で、こういう策謀によって今回の件が起きましたと告発し、父上を救った上に犯人を暴くことで恩を売り、気に食わない勢力にダメージを与えることができます」


「俺に恩を売る利点があるのか?」


「この地域に自分の息のかかった教会を建てられるのは、かなり利があると思います」


「ふむ。そうだな」


「父上が想定外に王都に着いてしまったので、犯人を暴くという意味では恩を売れたのでしょうが、窮地を救ったわけではないので、だいぶ弱くなってしまいましたね。

 それでも国からの招集を止めようとしたというのは、告発としては強いものでしょうから、スレイ家への攻撃だけで満足しておいたんでしょう」


「たしかに筋は通っているがな」


「もちろん証拠なんて無いので、これが答えだと思い込んでしまうのは良くないですけどね」


「そうだな。あくまで可能性の一つとしておこう」


 固定観念に囚われるのは良くないしね。


「ところで父上」


「なんだ?」


「スレイ公爵には何を要求するおつもりで?」


「……どうしたものか」


「決まってないんですね」


「そう簡単に決められるものではない」


 高望みすれば強欲だと思われるし、遠慮しすぎればその程度のものしか用意できないと思っているのかという怒りを買いそうだし。


 向こうが悪いはずなのに、こちらに攻撃の材料を作らせようとしているあたり、権力闘争に明け暮れているような連中は面倒で厄介だな。


「オウギならばどうする?」


「まず兄上に聞くところでは?」


 隅っこで気配を消していた兄上に水を向ける。


「僕はそういうのは苦手でね」


「当主になったらそんなこと言ってられなくなりますよ?」


「オウギが当主になってくれてもいいんだよ?」


「絶対にやりません」


「残念」


「それでも兄上はなにか無いんですか? ちょっとした思い付きでも」


「うーん。正直何も無いね」


 フオリ家大丈夫かな? まあ、ダメならダメで仕方ないか。


「それで、オウギにはなにかあるのか?」


「そうですね……」


 一つやってみたいことはある。けどこれ、父上の負担でかいんだよなあ。やってくれるかなあ。


「紙の製造販売権が欲しいですね」


「正気か? オウギ」


「はい」


「うちでこの国の紙全てを賄えるとでも言うのか?」


「スレイ家の紙に関する権利を一切合切寄越せというわけじゃなくて、スレイ家と同時に我が家にも紙に関する権利が欲しいという話です」


「それも難しいと思うが……いや、そもそも、そんなものを寄越せと主張したら、あの紙はやはりお前のところで作っていたもので、堂々と作って売りたいだけか? と余計な疑いを生むだけだ」


「それはその通りなので、父上の交渉技術次第ですね」


「技術でなんとかなるのか?」


「スレイ公爵を知らないのでわかりませんが、手に入れた紙を使ってみて、自分たちでも作ってみたくなった、みたいな感じでなんとかゴリ押して下さい」


「矢面に立たないからと好き勝手言うやがって……」


「何が何でもというわけではないので、事前のすり合わせ時点で書面でそれとなーく冗談めかして伝えてみるだけ伝えるとかですかね?」


「要求を伝えることは確定なのか……」


「それは聞いてきた父上のミスですね」


「はあ……。ところで、オウギ」


「はい」


「王都に行く際のことなんだが――」


「ダメです」


「まだ何も言ってないぞ」


「今まで通りの道のりで王都に向かって下さい」


「どうしてもダメか?」


「どうしてもダメです」


「そうか……」


 ちらっちらっとこっちを窺ってもダメです。さすがにこのタイミングで地下トンネルで移動はさせられない。どこから漏れるかわかったもんじゃないし。


 他にも一つ、父上には時間をかけて移動してもらう理由があるし。


「父上、そろそろ戻ろうと思いますが、他に何かありますか?」


「いや、現状ではこれ以上伝えることはないな。

 オウギならば気苦労の絶えない父を少しでも労って、王都まで同道してくれると思っていたのだがな」


「あけすけに話してもダメなものはダメです。

 では父上、ご武運を」




 さて、父上の書斎から自室に戻ったところで、上質な紙を大量に【クラフト】する。


 父上もスレイ公爵もどう動くかわからないが、やりたいことができてしまった以上はやりたいようにやらせてもらう。


 手持ちの資材だけでは足りないかもしれないし、明日は木材集めに行こうかな。


 俺の行動で父上に危険が及ぶ可能性もあるが、そこは父  上に頑張って乗り切ってもらうとしよう。

 

 父上がんばれー!

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