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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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振り回される父上

 地下トンネルを利用して王都まで父上を送り届けてから十日、疲労困憊で父上が帰ってきた翌日、俺は父上の書斎に居た。


「何があったか気になるだろう?」


「そう、ですねぇ?」

 

 父上に呼ばれて来たが、そこまで気になるかと言われると微妙だなあ。


 知りたくはあるが、知らなくても別に困らなさそうだし。


「興味無くとも聞いてもらうがな」


「……はい」


 強制イベントらしい。


「今回の件は、スレイ家によるものだった」


 スレイ家って言うと、たしか紙の製造販売を牛耳っているところだったっけか。


 それにしても、何故スレイ家が絡んでいるとわかったのか、スレイ家は何故父上を――我が家を狙ってきたのか。


「それを確固たる証拠付きで国に告発した者がいたらしい。それがどこの誰かはわからんがな」


「父上の窮地を救ったことで、何か見返りを得ようということですか?」


「そういうつもりだったのだろうが、俺が遅刻せずに王都に着いてしまっていたからな。俺や我が家へ恩を売り込むのは止めて、スレイ家への攻撃だけに留めたのだろう」


「なるほど」


 どこの誰かはわからないが、助けてくれた、ということで良いのだろうか? 裏がありそうではあるが。


「今回の件が表沙汰になってしまったことで、逆に面倒もあったがな。では何故王都に居るんですか? と訊かれて、一瞬どう答えたものか悩まされた」


「どうお答えに?」


「たまたま王都から帰ってきた人が居て、そいつが教えてくれた。こんな重要な情報が来ないのはおかしいと思って、こっそりと王都まで移動したり、東門から入場したりと、普段と違う行動で変わった反応をする人間が居ないか調べてみたものの、何も掴めず、情報無しでこの場で何か言うわけにはいかないので、確実な証拠を掴もうと言葉は耐え忍ぶことを選んだ。というような話をなんとかでっち上げておいた」


 ふむ。とりあえず筋は通ってそうかな?


 権力者が集まる場に於いては、泣き寝入りではなく、今は証拠を掴むための雌伏の時であると表明するのが重要だったりしそうだ。


「では、何故父上や我が家が狙われなければならなかったのですか? 元々スレイ家に恨みを買っていたり、敵対しているわけではないんですよね?」


「ああ。原因は紙、らしい」


「紙ですか?」


「スレイ公と二人で話す機会があってな――といっても、向こうがそうなるように場を整えたんだろうが、そこでスレイ公が見せてきたのが、マウトが孤児たちの教育に使っている紙だった」


 つまり、俺が【クラフト】した紙ということか。


「順を追って説明するか。一対一の場でまずスレイ公が切り出したのは、自身は一切関わっておらず、寄子であるタップ子爵がやったことだとして、こちらで罰を与えたので、タップ子爵への復讐は控えろという話だった。

 納得し難いのも理解するし、寄親である自身にも責任はあるから、こちらで用意できる君の望むものを渡してやる。何を望む? と、一切謝罪するつもりのない口調で、むしろこちらを責めるように言ってきた」


 格としては向こうのが上だし、そういう態度になるのが普通ではあるんだろうなあ。


「突然何が欲しいと言われても困ってな、ああいう場では良くないのは分かっていたが答えあぐねていると、スレイ公から、今すぐ決める必要は無いと言われ、助かったと思った次の瞬間に、あの紙を取り出して見せてきた」


 父上はいいように揺さぶられてきたというわけか。


「ところでこれは君のところで使われていたということなんだが本当かね? と言いながらな。ここで下手な嘘では誤魔化しきれないと思って、たしかにこの紙は我が領内で使われておりますと答えておいたんだが、この紙はどこで手に入れた? 場合によってはタップ子爵の行動は正当化されてもおかしくないと更に圧をかけられた」


 紙の製造と販売の権利は全てスレイ家にある以上、こちらで製造したとなれば、スレイ家への敵対行為と見做されて、攻撃を受けても文句は言わせないという圧か。


「父上はそれにどんなウソで返したのですか?」


 さすがに息子が何処からか持ってきた、とは言わないだろう。


「咄嗟に出てきたのが、ダンジョンで拾った。というものだった」 


 ダンジョン? 魔物やボスがいたり、宝箱が何故か置いてあったりする、あのダンジョン?


「ダンジョンっていうものがあるんですか?」


「お? オウギにも知らないことがあるのか」


「そりゃあ知らないことだらけですよ」


「そうなのか?」


「そうです――で、ダンジョンで紙が取れるんですか? 取れてもおかしくない場所なんですか?」


「ダンジョンで紙を手に入れたという話は聞いたことがないが、手に入ってもおかしくはないだろうな」


 よくわからないが、この世界のダンジョンはわりと何でも手に入る可能性があるものらしい。


「なるほど。

 話を戻すんですが、スレイ公が持っていた紙というのは、兄上に渡した紙で間違いなさそうなんですか?」


「ああ。あの紙質はおそらくこの紙だろう」


 父上が俺からもらった紙を手にとって見せる。 


「となると、今回の件を仕組んだ犯人がわかりそうですね」


「ふむ。それは誰だ?」


 父上も予測はついていそうだけどなあ。俺に言わせるのか。


 まあ、犯人について言い出したのは俺だし、隠す必要も無さそうだし、普通に考えていることを伝えてしまうか。


「おそらくですが、聖騎士様と一緒に我が領にやってきた、あのソクゼって名乗った司教様でしょうね」

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