↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/128

治療完了

「グゥウ」


 傷を負っている『闇属性』の精霊と思しき大狼フェンリル――フェン様が、傷口に手を突っ込むという俺の、一見悪逆非道な行動による痛みからうめき声を上げる。


 当然俺だってフェン様を痛めつけたくてやっているわけではない。


 指に異物が触れた瞬間、ソレをインベントリへと収納し、さっと手を引き抜く。


「大丈夫。頑張って」


 リアサがフェン様の首元を撫でて少しでも落ち着かせようとしてくれている。


 傷口の魔力を視て、異物が残っていないかを確認。


 『闇属性』精霊の体内に、『聖属性』のナニカを残すわけにはいかないからね。


 うん――大丈夫そうだ。


 次に傷口をふさぐ。


 「治癒」や「回復」の『特性』を付与した水――ポーションをかければそれで良さそうだが、『闇属性』の精霊に上手く作用しなかったり、万が一ダメージを与える結果になっても困る。


 そこで出てくるのが、俺の『闇属性』だ。


 冬から春にかけて、夜中に暗闇を利用して魔物を狩ってみるとか、我が家にアスパラガスの種を用意してもらって、闇の中で育ててホワイトアスパラガス――さっき焼いていたやつ――を作ってみたりした結果、ようやく習得にこぎつけた。


 つまり、「治癒」「回復」の『特性』と「闇」の『属性』を付与した水を【クラフト】した「闇属性ポーション」で、傷を治そうというわけだ。


「もう一回痛むかもだけど我慢して」


 インベントリの中で【クラフト】した「闇属性ポーション」を、フェン様の傷口にかけていく。


「グ……」


 痛みはあったようだが、さすがに傷口に直接触れた時ほど痛がっている様子は無い。


「すぐに良くなる、と思う」


 と、言っているそばから、見る見る傷口がふさがっていく。


 リアサの回復力も驚異的だったが、フェン様も負けていない。


「傷口は塞がりましたけど、痛みが残ってたりしますか?」


 傷が完全にふさがるまで待って話しかけた。


 フェン様は首に絡み付いていたリアサを引き剥がして立ち上がり、傷があった箇所の周辺を動かしたり、軽く触って確認した後、全身を大きく動かす。


 身体を自由に動かせるのが楽しいのか、フェン様はこの空間の中を走り――飛び回る。


 しばらく空間の中を飛び回っていたフェン様だが、ようやく満足したのか戻ってきた。


「動けるぞ!」


 重低音ボイスで喜びを爆発させなくとも、見てたのでわかります。


「ちゃんと治せたようで良かったです」


「よく頑張った」


 リアサがフェン様の首を撫で回す。


 撫でているリアサの方が気持ち良さそうにも見えるがまあいいか。


「小僧。感謝する」


「どういたしまして」


「我はあのまま、生きるでも死ぬでもない存在として、この場に留まり続けるものだと覚悟しておった」


「こんな物が身体の中にあれば、そりゃあ傷も治らないですよ」


 フェン様の傷口から摘出した、『聖属性』の物質をインベントリから取り出して見せる。


 コイツは鋭い金属の刃に、釣り針の返しのようなトゲがたくさん付いており、体内に入り込んだら抜けにくい構造になっていた。


 おそらくだが、鏃や剣や槍のような武器の先端にあって、攻撃の際に体内に残すために、ワザと折れたり取れやすくなっていたんじゃないかと思う。


「こんな物が我に刺さり続けていたというわけか」


「そうなります」


「よくぞ気付いて外してくれた」


「ん。すごい、でしょ?」


 相変わらずこういう場面でリアサは、俺よりも誇らしげに喜んでいた。



 一旦落ち着いたところで、水分補給といきましょうか。


 俺とリアサは炭酸ジュース、フェン様は――何を好むのかわからないので、ただの水、炭酸水、ジュース、炭酸ジュース、そこにさらにその全てに『闇属性』を付与したものの、八種類を用意してみる。


「これは?」


 ずらりと並べられたたらいを見て、怪訝そうなフェン様にそれぞれ説明する。


「では、いただくとするか」


 恐る恐る飲み比べるフェン様。


 一応全部飲んでくれるらしい。


「我は、これが良いな」


 選ばれたのは――炭酸ジュースでした。


 精霊ってのは炭酸ジュースが好きなのか?


 まあ、美味しく飲んでいただけているようでなによりではあるが。


 村の果樹園で、いろんな種類の果実を安定的に採れるようになったら、どの果実の炭酸ジュースが好きか決めてもらおう。


「小僧がオウギで、娘がリアサだったか?」


「はい」


「ん」

   

「それで、お主らは我に何を望んておる?」


「いつかやってもらいたいと思っていることはありますけど、今すぐには特に無いですね」


 『闇属性』の習得前であれば、『闇属性』を習得するために好感度を上げにかかっていたところだが、既に終わっているので、今すぐ頼みたいことは無い。


「リアサは何かある?」


「ん。もっと撫でたい」


 散々撫で回しておいて――というか、今現在ナウで撫で回してるのにまだ足りないのね。


「そ、そうか」


 フェン様も困惑気味だ。


「この空間の整備や外との出入り口、鍛練施設にフェン様の休める場所など、ちょくちょく来て作りたいと思ってるので、その時はお願いします」


「好きにしろと言ったのは我だからな、オウギの自由にすればよい」




 改めてフェン様の許可をもらったことで、俺のやる作業リストに項目が増えた。


 フェン様と遭遇したその日のうちに、広い空間の天井面が崩壊しないように補強し、安全を確保。


 同時にフェン様の寝床の準備もする。


 こちらも肌触りや固さの違う大きなクッションをいくつか用意して、好きなものを選べるように【クラフト】して設置しておいた。


 あとはフェン様にお気に入りを決めてもらおう。


 さらに後日、もともとフェン様がこの空間に入り込んできたルートは崩落して塞がれてしまっているとのことで、新しく掘って外への道を作る。


 一応、人や魔物が侵入して来ないように、フェン様なら越えられる崖や堀を作り、魔力操作で開閉する扉を設置した。


 この魔力開閉扉だが、使い方を教えたところ、フェン様はさっくりと覚えてくれた。頭の良いデカわんこだ。


 そして、リアサがフェン様と修行や走り回ることができるように広間を整備する。


 さらに、ここは我が家や獣人の村からけっこうな距離があるので、中間キャンプ地の一つとして俺やリアサが寝泊まりできる部屋も用意してしまおう。


 さらにさらに、流れ込んでこないようにしてあるが、上から水が大量に漏れ出てくる場所でもあるので、いっそ風呂とトイレも作ってしまって、快適に住める場所に仕上げた。


 そんな感じで一旦ここでやることはこの辺で終わりにして、南に向かってトンネルを掘り進める作業の続きに戻りますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。