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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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情報共有

「その水属性の能力(スキル)で監視している映像を、俺にも見せてくれません?」


 ハーティックの部下であるノーレンをじっと見据えて言う。

 

 この人はおそらく、転生して間も無い頃の俺を遠距離からの監視してた人だ。


 なにをどうやっているのかまではわからないが、水属性の何かで、俺の時のように監視しているに違いない。


 そしてハーティックもその映像を見ていたような反応をしていたので、希望すれば俺も見ることができるはずだ。


 まああくまで予想であり、カマ掛けだ。


 ノーレンがどう答えるか、勝負といこう。


「隊長、自分の能力について上手く訊きだされちゃったんすね?」


「いや、待て! 違う! 何も話しておらぬぞ!」


「へ? じゃあどういうことっすか?」


「カマ掛けたらハーティックがうっかり話したと思って、教えてくれるんじゃないかなーって」


「自分、ハメられたっすか?」


「そうなるね」


「そんな……隊長のせいっすよ」


「今回ばかりは何もしておらぬし、何も話しておらぬ!」


 いや、監視してたという事実をポロリとしちゃってるので、何もしてないは無いと思う。


「ハーティックの性格を知ってると、また思わず答えちゃったかってなっても仕方ないとは思う」


「そうっす」


 実際にその場に居なくとも、ハーティックの存在は駆け引きの場面でマイナスに働きそうだなあ。


「なんにせよ監視する方法があって、それを共有することもできるってのはわかってしまったわけだし、隠す必要はなくなりましたよね?」


「それとこれとは別である」


「簡単に口走っちゃったのは自分の失敗で、今後の反省材料にするっすけど、さすがにこの件をオウギ様に話すわけにはいかないっすね」


「見放されてたとはいえ領主の息子だよ? それでもダメ?」


「ダメっす」


「うむ。諦めてくだされ」


 ただで訊き出そうとしているのが、そもそも間違いかな。


「わかりました。じゃあ、情報共有といきましょう」


「む?」


「情報共有っすか?」


「はい。こちらからもおそらくその件に関わっているであろう情報を伝えます」


「オウギ様が情報を持ってるって言うんすか?」


「はい」


「隊長? どう思うっすか?」


「むむむ。わからん」


「こういうことで隊長に訊いた自分が間違ってたっす。

 で、オウギ様はどんな情報を持ってるって言うんすか?」


 うーん。ここで何も話さないと、向こうの情報も手に入らなさそうだよなあ。


 かと言って全部伝えると、こっちの情報だけ持っていかれかねない。


「そのガヴィってやつを、襲撃しようとしてる人たちがいます」


「なんと!?」


「まじっすか?」


「マジっす。そしてその襲撃予定場所を知っています」 


「ふむ」


「そこに乗り込んでいくおつもりですかな?」


「違います」


「隊長……さすがにオウギ様はそんなことしないっす」


「ではどうするというのだ?」


「今のうちにその周辺に仕掛けをして、監視しましょう」

 

「なるほどそのような手が」


「オウギ様、それはどこっすか?」


「それはただでは教えられません」


「む」


「そうきたっすか」


「そのガヴィって人についての教えてくれたら、案内しましょう」


「あれ? 今、自分の監視してる対象が見たいんじゃないんすか?」


「今の姿を見るよりは、どんな人物なのかを知る方が得だと判断しました」



「ガヴィについて自分が説明するっす」


 ノーレンとハーティックの話し合いがなされ、ガヴィについて俺に話しても良いと結論づけたようだ。


「ガヴィは人類最強の男とも呼ばれる存在で、各地で好き勝手暴れまくってるっす」


 強さを好き勝手暴れる方向に利用するタイプか。


「竜種を何度も一人で討伐していることから、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)とも呼ばれていたり、とある領地ではその土地の軍を丸ごと消し去ったり、強者を見つけては喧嘩をふっかけたりしているらしいっす」


 バトルジャンキーだなあ。


「地域によっては指名手配されていたり、暗殺者に狙われていたりもするらしいっすけど、罠には自分から嵌まる、暗殺者が近付いてると分かれば無防備に隙を晒すなど、相手の得意な行動をさせたうえで反撃するのが好きだとかいう、とんでもない野郎っす」


 相手の全力を捻り潰すことを、楽しんでいそうだ。


「警戒、索敵などは苦手としているというか、必要ないと思ってるようで、よっぽどヘマをしなければ素人の尾行にすら気付かないほどらしいっす」


 後ろから刺してくるのが怖いというものはなく、そっちから刺してきたから反撃していいよな? って喜んじゃう感じだ?


「自分が知るガヴィの情報はこんなもんすかね」


 とにかく強くてヤバいヤツってことだな。


「それでオウギ様、ガヴィを襲撃しようとしているのはどんな奴っすか?」


「ん? 知らない」


「知らないんすか?」


「うん知らない」


 声を聞いただけだしね。


「じゃあ襲撃情報もウソっすか?」


「それは本当」


「証明できるっすか?」


「とりあえずその場に案内するから、そこで」


「うーん。わかったっす。隊長はどうするっすか?」


「オウギ様に万が一があってはならん故、一緒に行きますぞ」





 訓練を取り止め、ハーティックとノーレンを引き連れて、昨晩盗聴器に反応があった場所へやってきた。


 短い草だけが生えた、木の無い開けた場所。


「ふんふん。これは、三人くらいっすかねえ」


 ノーレンが足跡や折れた枝を見て判定する。


「ここに町の人たちが入ってくることはたしかに無いっすけど、本当にここで襲撃が行われんすかねえ?」


「とりあえずこれをおやつにあげるので、監視の仕掛けをお願い」


 普段はインベントリに収納するのもあって、手ぶらで出歩く俺だが、今日はカバンを用意してあるので、そこからポテトチップスを出してノーレンに渡す。


「いただくっす――うまっ!! 全部食べていいんすか?」


「どうぞどうぞ」


「もらった以上は仕掛けるっすけど、自分、魔力の余裕があまりないんで、仕掛けられても一つか二つっすよ?」


 実はここまで適当に言っていたが、やはりノーレンの能力(スキル)は仕掛けた場所で効果を発揮するタイプのようだ。


 水属性の使い魔のようなものを操り、移動させながら映像を送ってくるというものもあるかなと思っていたが、その可能性は薄そうだと決めつけて話していた。


「魔力があればもっと仕掛けられるってこと?」 


「まあそうなるっすね」


「わかりました。じゃあこれでどうですか?」

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