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子育てって分かってないかも?

ラウが、魔神族や龍神族の会話を探り、または、他種族やナビ達の話から、推測するに、大戦の理由は、こんな感じだった。


ある日、魔神族の第2王子と、龍神族の第3王子が、小競り合いで、どちらも付き人共に、命を落とした。


きっかけは、ツノの大きさと太さから始まったらしい。


魔神族は、黒髪に赤目の黒羽で、ツノの形は個人個人で違うが、太く大きな者程、強いとされている。


龍神族は、赤髪に金目の蝙蝠羽で、ツノは円錐型、太く大きく、数が多いのが、強いとされている。


お互いにツノが強さの象徴だが、基準がほんの少し違っていた。


それを理解せず、お互いを馬鹿にして、小競り合いがおき、は、いつもの事だったが、どちらも死んだのが、王子だったせいで、親である王も、一気に、頭に血が昇り、やっちまえっ、と、大戦を引き起こしたって、事らしい。


後先考えないのは、この2つの神族の特徴ともいえる。


最高位魔術の応酬は、大地を抉り、燃やし、生きとし生けるものを、殺していった。


同様に、魔神族も龍神族も、耐えきれず、弱い者から、死んでいく。


せめて半数が死した時にでも、引くと良かったが、この2つの神族達は、自ら引く事は恥と考える為、このような大惨事になるべくして、なったってところかな。


巻き込まれた天神族と他種族は、迷惑どころの話ではない。


3つの浮遊大陸まで落ちてくるし、天神族の大陸は空中で霧散したから、被害を出さなかったが、2つの浮遊大陸は、がっつり地上に落ち、その衝撃で、地面に巨大な亀裂が、方々に、はしった。


そんな亀裂、飛べない種族は、行き来なんて、出来やしないわよね。


残った土地に、移住したくても、断念するしかないって、なるって。


浮遊大陸は、普段は、地上から、肉眼では、見えないくらい、高い高度で、浮いている。


神族達は飛べるから、大地より、空中が、便利だったけど。


地上の生き物にしたら、巨大な岩の塊が、いきなり現れ、落ちてきたんだから、それは、絶望するわ。


終戦後、己らの浮遊大陸に戻ったが、傷が癒えず、地上の生き残りを、生きたまま喰らうまでに、なっていたって訳。


私達の活躍で、魔物以外居なくなり、そんな魔物も喰いまくるから、数が激減していき、食べ物が無くなりつつある。


しかも、地上の毒汚染は広がり、半分程残っていた、自然も、どんどん枯れていく。


弱い魔物は、毒でも数を減らした。


その毒は、体調が万全なら、神族には、なんて事ない毒だが、弱った神族達には、多大な影響が出ていた。


そろそろ、相手神族を襲いあうように、なってきたわね。


ナビ達は、ラウを通して、現状を把握している。


だが、誰も、食料を分けてやるとは、言わない。


言わないが、迷ってはいる。


因みに、天神族は、王はおらず、一番の年長者が、まとめ役で、やりたくなかったら、次の年長者って、揉め事無く、決まっていく。


天神族は、仲良しで、平和主義で、能天気な気質だから、そんな感じで、どうにでも、なっていた。




ベルが産まれてから、2ヶ月が経ち、カタコトでも、ベルが話をするようになっていた。


ニア達は、話しかけてはいたが、教えてない言葉を、言う事に、気がつく。


最初は、メムかイムが、教えたのかと思っていたが、どうもおかしい。


メムとイムは、ニアの指示を受ける様、作られたゴーレムだから、ナビの声が聞こえる。


姿は見えないけど•••。


そして、ベルが、空中に向かって、話をしている様子を、よく見かける。


「ねぇ。ベル様だけど、空中をいつも、キョロキョロ見ていない?」


「そうなのよ。まるで、誰かと会話してるような?」


「それ、最近、私も感じるの。」


「ニア様、マラ様もですか?」


「私達も、ベル様をずっと、見守りしていますが、お一人で、お話されているように、お見かけします。」


「うーん。何がいるのかしら。」


「みんなを呼んで、現状を見てもらいましょうか。」


ニアはさっそく、ナビ達を呼んだ。


外の情報集めや、地下空間を見守っている、ラウ以外が、集まった。


「あらっ。本当ね。」


「何かとお話しているわ。」


「私達に見えないって事は?」


「うーんっ。見えない、感じられないのは••。」


「多分だけど、精霊ね。」


「精霊?」


「あくまでも、たぶんだけど。」


「精霊って、御伽話でしか、知らない。」


「居なくはないの。精霊達が、姿を見せたいと思った人か、物凄く稀に、見える人が、いたらしい。人伝に聞いただけだけどね。」


「私達のセンサーにも、結界にも、引っかからないもの。もしかしたらって?」


「だから、あくまでも、仮説としてよ。」


「精霊としてもよっ、いつ、入ってきたのかしら。」


「悪しものは、結界に阻まれるから、善きものって、ことでしょ。」


「善きものは、好きに入って来れるから、見えないし、止めようはないわね。」


「ベル様も、楽しそうだし。」


「て、事は、ベル様は、見える人なの?」


「それも、たぶんとしか言えない。」


「もう少し、ベル様が大きくなったら、聞いてみましょう。」


ナビ達が話し合いを、している間にも、きゃっきゃと、ベルの笑い声が聞こえる。


「知能も高そうで、ベル様に、言葉を教えている様なの。」


「言葉を? ベル様、産まれて、ふた月ぐらいなのに、教えてるのは、早いわね。」


「まだ、何を言ってるのかは、ほとんど、分からないけど。」


「産まれて、たったの2ヶ月よ。ペラペラ、流暢に話されたら、精霊より、そっちの方が、驚くわよ。」


ベルは、クッションに、ちょこんと座り、小さな手を、パチパチ叩き、嬉しそうに足と羽を、バタバタ、動かしている。


「可愛いわね。」


「もうお座り出来るのね。」


「えっ? 産まれた時には、卵の殻の上に、座っていたじゃない。」


「見てないわよ。スキルの統合してたもの。」


「そうよぉ。大変だったの、思い出させないで。」


ベルの事も、自分の持ち場も、取り敢えず、落ち着いているので、ナビ達は、雑談する時間も増えた。


「そうそう。収納庫って、私達が関係しなくても、それなりに、天神族の方々、持っていたのよね。」


「私達、ナビは、主に、箱庭の育成と、セット。収納庫も付いてくるけど、収納庫は、スキルとしては、別物だから、持っている方々、意外に多かったはず。」


「永くいると、忘れちゃっていたわ。収納庫は、そうだったわね。」


「整理は自動で出来ていたんだけど、改めて、見てみたら、趣味に走った方が、意外にいて、どう考えても、いらないって、物も結構あるのよね。」


「何入ってたの?」


「まずは、絵画や壺など、美術品。変な所で、小さな石ころ。」


「あーっ。美術品は、好み分かれるやつ。」


「石ころは、子供の頃、拾って、入れてたのかもね。」


「防具や武器も、実用的ではなくて、ごちゃごちゃ、飾られてるやつ。」


「天神族は、ほとんど、戦わないから、趣味だわ。」


「んっ。決めるのはベル様だから、いるか、いらないかは、ベル様の判断ね。」


「勝手には破棄しないって。収納庫の事は、そんな感じって、お知らせかねてよ。」


「了解。」


「話変わるけど、キイって、ずっと箱庭に夢中よね。」


「そうね。でも、私達って、生き物の様には、育たないから。」


「所詮、スキルだものね。」


「もう。そうだけど、実感させないで。」


「話それたけど、キイって、話しかけても、夢中過ぎて、聞こえてない事が、多いけど、食事も睡眠もいらないし、主人に何かない限り、無事に育つから、様子見でいる。」


「間違えた事、しでかさない限り、良いんじゃない。」


「私達も子育て初心者だから、何が正解か、分からないものね。」


「分からないわぁ。」


「今後も、こまめに、話し合って、いきましょう。」


「ええ。」


「それにしても、ベル様は手が掛からない様ね。」


「そうなの。」


「手が掛からないって言うのか、ほぼ見守り。それもゴーレムの2人が見守ってるから、ナビの私達いらなくない?」


「ねっ。私達はマナ石を奥の部屋に、出すぐらいかな。」


「精霊かも、が、相手をしてくれて、ベル様、ご機嫌で、毎日を、過ごされてるもん。」


「ちょっと寂しい。」


「私達は、ベル様が、健やかに、育って下さるのが、一番って、考えましょ。」


「精霊かもが、善き者としても、いつ、ベル様に牙を剥くか、分からないんだから。」


「まあ、その時は、結界の外に、弾かれるけど。」


ナビ達は、子供の成長に、肌の触れ合いや、言葉以上の愛情が、必要とは、知らない。





ベルは、簡単な言葉は、なんとなく、話すようになっていた。


「まんま。」


「あらっ。ママを呼んだの?嬉しいわ。」


「ベル、パパは?」


「んぱっ」


「んーっ。ベルっ。お利口さんだね。」


何かにつけて、褒めてくれ、頭を撫でてくれる。


「ほらっ。ベル、じぃじは?じぃじ。」


「••じー。」


「凄いぞ。ベル。」


「ベル、わしも、じぃじと呼んでくれ。」


ベルには、じぃじと、ばぁばが、たくさんいすぎて、見分けは、ついてない。


見分けられるのは、両親だけだった。


若手は、そんな年配者を、生暖かく遠巻きに、見ていた。


とはいえ、若手も、ベルに対して関心は、大いにある。


大勢のジジとババの隙を縫って、ベルに幻想的な魔術を見せたり、頭を撫でに行っている。


ベルが笑うと、みんな幸せな気持ちになっていた。


奇しくも、精霊になった、元天神族達が、ナビ達や、ゴーレム達では、不足していた、愛情や、暖かさを、ベルに、与えてくれている。




地上に広がった、毒は、いつしか、瘴気になってい

た。


瘴気は、毒より速く、辛うじて残った草木を、枯らし、水を腐らせていく。


そして、瘴気溜まりから、魔獣が生まれ、増えていた。

 

魔獣は生物ではないので、食料にはならない。


魔獣に触れると、触れた箇所が溶けるので、物理攻撃は効かず、魔術の攻撃一択となる。


神族達は、回復わずかな魔力で魔獣と戦い、魔力枯渇を招き、魔獣に倒されていく。


食べる物も激減し、魔力の回復も、傷の治りも、思わしくない。


ここまできて、やっと、事の重大さに、2つの神族は気がついた。


魔神族の王、エクルストンは、生き残った魔神族を再編成させ、半分は、食糧の調達、残りの半分は、魔獣狩りを命じる。


時を同じくして、龍神族の王、ドラクストも同様の指示を出した。


どちらの神族達も、天神族がいたら、毒が広がる前に、浄化してくれたのにと、悔やむ。


だが、自分達のせいで、全滅したとは思っていない。


悪いのは、もう一つの神族らだと、恨んでいる。


回復も中途半端、常に空腹、イライラも募り、魔獣討伐も、上手くいかず、神族は、更に、数を減らしていく。


食料になる魔物も、強敵な種しか、残っておらず、神族達は、弱っており、全力が出せず、逆に喰われる者も、少なくない。


「俺達は、最強なのに。こんな馬鹿な。」


「これは、悪夢だ。夢なんだ。現実には、ありえない。」


グリフォンの群れに喰われながら、叫ぶ者もいた。




地下空閑の他種族達は、ここは安全と理解し、それぞれ、地上に戻った時の為に、出来る事を始めている。


その中でも、ドアーフは、地下を掘り進め、地下都市を作り上げようと、していた。


ラウは、ナビ達の力を借り、結界を広げて、対応する。


ベルのお世話を自ら外れ、マラが、ラウのサポートに入る事にした。


「ラウがナビの中で、一番忙しいわね。」


「そう?」


ラウの、地上の見回りに、マラは同行する。


「ベル様のお世話は、ニアとゴーレムで、充分の様だから、今日から、こっちを手伝うわ。」


「あらっ。それは助かるわ。神族達、動物達の地下空閑、他種族達の空閑、生き残りの魔物の様子見、瘴気で出来た魔獣など、少々、1人ではきついなと思っていたの。」


マラは、ラウ1人で、そんなに見ていた事に、申し訳なく感じる。


「どれか、受け持ってくれるの?」


「もちろん。その為に来たんだもの。」


「やったぁ。どれにする?」


「どれでも良いわ。」


「そっかぁ。それなら、動物達と、生き残りの魔物、お願いするわ。」


「動物達の世話と、魔物ね。」


「そうそう。」


「承ります。」


「ふふっ。それだけ減ったら、楽になるわ。」


ラウはマラに引き継ぎをする。


「えーっ。魔物達って、残ったの、残るべきしてって、強さね。」


「うん。弱った神族達が、食料にしようとして、逆に喰われる事も、増えた。」


「地上の弱い魔物、毒にやられたか、ほとんど喰われたものね。」


「食料不足してるのもあるから、本来の力は出ないのよ、神族の奴ら。魔物は、人語話す、賢いのが、残っているから、そろそろ、屋敷のある山脈に、来るかもね。」


「来ても入れるかなぁ。」


「屋敷は無理。生半可な結界ではないから。でも、山脈には、入れるのがいるかも。」


「善き魔物なら、入っても、良くない?」


「そこよね。難しいわ。」


「その時は、みんなで相談ね。」


「そうね。」


ラウの、懸念は遠くなく、当たる事になる。


それとは別に、魔神族と龍神族は、瘴気に抗う方法を、考え出す。















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