63.0話 プロローグ3 騎士団と何かが始まる朝
「エリシア、おはようございます」
「おはよ! メラグロード君。ふわぁあ、、眠いねぇ」
騎士団本部。エリシアとその部下、メラグロードは早朝から出頭命令を受け、騎士団本部へと来ていた。
「止まってください。この先は幹部の方以外は立入禁止です――!」
若い兵士が2人の行く手を阻む。メラグロードが「はぁ」とため息をつき、腰の刀の柄に指をかける。
「まあまあ。落ち着き給え、メラグロード君。君、新人さん?」
エリシアが新人、と言ってもエリシアよりも年上の兵士にニコッと話しかける。
「そうですが……」
「そっか。じゃあ、仕方がないね」
そう言ってエリシアが内ポケットから“2”と掘られた木の御札を取り出す。それを見た若い兵士は血相を変えて飛び退く。
「す、すみません!! 失礼をいたしました!」
「いいんだよ。ボクも若く見られてるていうのは女の子的に嬉しいところもあるし!」
エリシアが「行くよ」とメラグロードに声をかけ、先へ進む。
王都騎士団第弐席。エリシア・アルミラフォード。彼女は若干15歳ながら騎士団ナンバー3を務める実力者であった。
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「お待ちしておりました。さ、おふた方。掛けてください」
白衣の女が着席を促す。2人はそれに従い、長椅子に腰を下ろす。
「で、こんな早朝から呼び出しなんて何があったのかな? エルザ」
エルザが記憶投影術を使ってアズヘルン王国の地図を映し出す。
「ここ、南東のカーリ峡谷で昨日、『血盟の城壁』が破られました」
「ほう、それは確かに一大事だね」
血盟の城壁。王都地下に存在する『血記目録』に登録されていない者、つまり魔界のものの侵入を防ぐ魔術壁だ。それはとても硬く、王国内の術者が切らすこと無く魔術を供給しているため、弱まることもない。なので、侵入を許すなどめったに無いはずだった。
「どのくらい開いたのか。規模や時間を知りたいのですが」
「規模はごく小さいもの、峡谷の最狭部だったから。そして城壁が破られた時間は10秒程度、かな」
「なるほど。では、侵入者がいても数人程度、ってことですね」
メラグロードが安心したように椅子に深く腰掛ける。
「……メラグロード君はどうみるかな? 今回の侵入を」
「俺は侵入者の目的は“潜入”、おそらく王国内部で密かに暗躍するグループだと思います。数は3〜5名。通信や潜伏スキルが高いかと。エリシアはどう考えているのですか?」
「……エルザは?」
エリシアがメラグロードの質問には答えず、話をエルザにふる。
「私!? 私は、、そうですね。メラグロード様の意見に一票ですわ」
「そうか。むしろボクは逆だと思っているんだけどなぁ、、」
「どういうことですか、エリシア!」
「落ち着け、メラグロード君。ボクの想像では侵入者は1人。目的は潜入ではなく、破壊などの悪事目的。諜報員のような下っ端ではなく、かなりの強さを持つ大物。そう見てる」
さも、見えているかのように、エリシアが淡々と告げる。
「……未来視の魔眼、、ですか? エリシア様」
「そう、だね。私の眼は2種類ある。近い未来の“予定”を見る『確定の未来』と遠い未来の“予想“を見る『不確定の未来』。確定はまだ何も見えないけど、不確定はね、見える」
エリシアが立ち上がり、投影された地図の北の方を指差す。
......
「このへんで何かが起きる。そして最悪の場合、人界は滅ぶよ」
未来が見えるエリシアの言葉の重みは絶大だ。2人がゴクリとつばを飲む。
「それに、もしもたかが諜報員程度ならボク達を呼んだりしないさ。どうやら団長様もボクと同意見みたいだね!」
エリシアが不敵に笑ってメラグロードの肩を叩く。
「さあ、行こうか。お仕事だよ」
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