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冬が去り終わる ー耳に残る言葉はただ一つー side:boy



冬が去り終わる。


全てを拒絶しているようだけど


だけれど、春を待っているそんな季節。


どこか、ライナさんに似ている季節。


どこか、温かい季節。


だから、今、冬は少しだけ好き。








病院のロビーにも、談話室にも、


クリスマスツリーが、飾られた頃。


ほとんど、一月ぶりに、ライナさんが来た。


僕が、何時告白しようか、迷ってると


『少し早いけどな、クリスマプレゼントだ。』


って、あんまりキレイじゃない包装の包みをくれた。


ちょっと古い型だったけど、パソコンだった。


それでも、ショップに行けば、6万以上はしそうなものだった。


『なら、お前が就職して、これの半額を少しづつ返してくれれば良い。』


くしゃくしゃって、子供にするように


僕の頭をライナさんは、頭を撫でてくれた。


それで、なんとなく、告白のタイミングを逃してしまった。


だけど、ライナさんが、珍しく皮肉げではなく優しく微笑んでいたから、


それで、どうでも良くなった。


あと、そのパソコンで、日記を書き始めた。


自分以外は、多分見ないヤツ。


それからは、また一週間に二回ペースで、お見舞いに来てくれるようになった。


だけど、どうにも告白できない。


ライナさんに、上手くはぐらかされてる気分。


でも、そういうどっち付かずだけど


ライナさんと過ごせる時間が何よりも嬉しかった。












でも、お正月が終わった頃だったかな。


僕は、ICUに入った。


いわゆる、集中治療室ってトコ。


ちょっと、血を吐き過ぎたのと、


大きな発作のせいで、意識不明になったから。


ライナさんと出会ってからは無かったけど、


それまでは、季節に一回はあった日常。


それも、僕がちょっと無茶してと言うのがほとんど。


だから、最近は、姉さんからも、呆れられていた。


『航、キモが潰れるぐらい吃驚したぞ。』


って、ライナさんが、言ってくれた。


軽口みたい口調だったけど、顔は真っ青で、息も上がりきっていた。


急いで来たのが、バレバレって感じ。


すんごく嬉しかった。


こういうのが、ずっとずっと続けば良いな。










だけど、それ以降、自分の病室よりも、


ICUにいるほうが、長くなっていった。


ライナさんの顔も、それに比例して、苦いモノになっていった。


『近くの城址公園の桜並木、咲いたら見に行こう.』


『結局、旅行にも行けてないだろ?


 ドコ行くか、決めとけよ。』


とか、僕を励まそうとしてくれる。


だけど、なんとなく解ってた。


僕の身体、もう限界なんだってこと。


自分の身体だもん。


自分が一番よく解ってる。


ICUのベッドでも、身を起こせなくなった。


その時には、もう、二月も終わっていた。


桜とか、梅とか、それの開花情報も、時々流れた。


『元気になれよ。


 ・・・・・・・・・約束破るなよ、男だろう?』


ライナさん、ごめんね。


それは、守れそうにない。









それから、あまり時間を置かずに、


一番の、そして、最後の発作が来た。


心臓がばくばく言ってる。


ちょうど、ライナさんが来てたときだった。


ライナさんが、ナースコールを押そうとしたけど、


その前に、腕を引き寄せて、耳打ちした。



『・・・・・・・航、元気になって、もう一度聞かせ・・・・・』


その声と、看護婦さんと医者の声を聞きながら、僕は意識を失った。


それが、僕の最後の記憶。


ライナさん、元気になっていえなくてごめんね。


だけど、言わないで、終わるのはイヤだったから。


僕ね、ライナさんに出会えて幸せだったよ。


それにね、ライナさんには、


泣き顔よりも、


笑い顔のほうが、


似合うと思うんだ。


だから、笑ってライナさん。


笑ってて欲しいな、ライナさん。


ムゴイことを言うようだけど。


バイバイ、ごめんね。


本当に、大好きだったよ・・・・・・・・


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