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魔力が強いやつがモテる世界に生まれ変わったのでモテる為にがんばります  作者: 伊右衛門


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第百九十九話 面白そうだし


 昼飯を食い終えた俺たちは、そのまま二階の部屋へ戻った。


 食堂を離れ、扉を閉める。下から聞こえていた話し声や食器の音が少し遠くなったところで、俺は適当な椅子へ腰を下ろした。


 腹もいっぱいになった。


 さっきまでのくだらない話も終わった。


 なら、そろそろ本当にこれからのことを考えるか。


「さて、どうするかな?」


「どうとは?」


 シルフィアが聞いてきた。


 俺は椅子の背に身体を預けながら答える。


「裏切り者とやらは放っておいてルディア領に向かうか、ルディア領に行くより裏切り者をどうにかするか、だな」


 昨日追ってきた連中。


 シルフィアは裏切り者と呼んでいるが、本当に裏切ったのかどうかはまだ分からん。


 むしろ話を聞いてからは、誰かに命じられてシルフィアを襲ったんじゃないかとは思っているんだがな。


 さて、どっちから片づけるか。


「ルディア領に向かうべきでしょうな」


 セバスチャンがそう言った。


「なぜだ?」


「すでにシルフィア嬢を逃しとる以上、少なくとも飼い主に指示を仰ぎに行くでしょう。それを何とかしたいですな」


「ふむ」


 なるほど。


 あいつらはシルフィアを襲い、逃げられた。


 それから俺たちを追いかけてもきたが、結局追いつけていない。


 それなら一度、自分たちへ命令を出したところへ戻ろうとするかもしれん。


「だが今から追いつけるか? どんな道を行くか分からんぞ」


 俺たちは朝からずっと宿にいた。


 酒まで飲んで昼飯も食っている。


 その間、あいつらがどこで何をしていたかなんて分からない。こっちが今から動いたところで、同じ街道を走って追いつけるとも限らん。


「ちょいとキツいですが、街道は無視して一気に進めば何とかなるでしょう。相手は平民、おそらく目立ちたくないでしょうからな」


「ふむ」


 それならどうにかなるか。


 俺たちなら馬にも肉体強化魔法を使える。街道だけに拘らず、一気にルディア領へ向かえば距離を詰められるかもしれん。


 セバスチャンは少し考えてから続けた。


「その分家とやらに会いに行くのなら、今回の件は指示されとることになります」


「つまり、裏切りは分家の指示と分かるな」


「そういうことですな」


 シルフィアを襲った連中は、最初から一緒に動いていた奴らじゃない。


 後から分家の方から命じられて合流した連中だ。


 その連中がシルフィアを襲って失敗し、そのまま分家のところへ戻って指示を仰ぐ。


 それなら、今回の件がどこから出たものなのかは随分分かりやすくなる。


 俺とセバスチャンが話している間、シルフィアは黙ってこちらを見ていた。


 やがて、少し言いづらそうに口を開く。


「あの……そこまでしていただく訳には」


「ん?」


 なんだ。


「単なる暇つぶしと好奇心だ。気にするな」


 別にシルフィアに頼まれたからやるわけじゃない。


 こいつも悪い奴じゃないし、このまま放って帰るのもなんとなく気分が悪い。それに何が起きているのか気になるし、何より面白そうだ。


 それくらいで十分だろう。


 シルフィアはしばらく俺を見たあと、今度はセバスチャンへ目を向けた。


 それから小さく頭を下げる。


「ありがとうございます」


「気にするなって」


 礼を言われるようなことでもない。


 俺が勝手にやっているだけだ。


「しかし、分かったところでどうするかですなぁ」


 セバスチャンが言った。


 俺はそちらを見る。


「何がだ?」


「今回の件が分家の指示だと分かったとして、その後ですぜ」


「アホか」


 そんなことで悩んでいたのか。


「俺は帝国貴族、お前は帝国騎士だぞ。王国貴族を倒すのに理由なんかいるか」


 セバスチャンが一瞬黙った。


 それから何かに納得したように頷く。


「ああ、それもそうですな」


「だろ?」


 話は簡単だ。


「王国貴族を見つけたから倒した。それで構わんだろ」


 俺がそう言うと、セバスチャンが笑った。


 面倒なことを細かく考える必要なんてない。


 敵なら倒せばいい。


 それだけだ。


 だが、俺たちの向かいにいるシルフィアはなぜか笑っていなかった。


 むしろ顔が青い。


「あの……やっぱり、大人しく帰ってもらう訳には?」


「いやだ」


 即答する。


「面白そうだし」


 笑ってそう答えると、シルフィアの顔がさらに困ったものになった。


「あの、せめて倒すとか殺すは無しで」


「敵は殺さないとなぁ」


「そうですなぁ」


 俺とセバスチャンは笑顔で答えた。


 シルフィアが固まる。


 しばらく俺を見て、次にセバスチャンを見て、また俺を見る。


「ああ、もう!」


 そして頭を抱えた。


 やはり面白いな、こいつ。


 そんなシルフィアは無視して、俺はセバスチャンへ顔を向ける。


「では、ルディア領に行ってみるか」


「そうですな」


 よし。


 とりあえず今後の方針は決まった。


 追手に追いつけるかどうかも分からないし、本当に分家へ向かっているかもまだ分からん。


 仮に分家の指示だったとして、実際に何をするかも決めていない。


 まあ、いい。


 行ってどうするかは、行ってから考えよう。

次回更新は、20時となります。

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― 新着の感想 ―
面白そうだから、行ってから考える。まさに出たとこ勝負!最高です。
なんか色々とあったような気がするけど、結局のところオルフィアのお父さんを 殺害したであろう分家を倒しに行くんだ。 拾ったシルフィアも引き連れて、あとは最後までお父さんに忠誠を尽くした人達の 処遇とかも…
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