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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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レイナ、異世界探索を発表する

 急遽、はじまろうとしている異世界探索。

 その報告を兼ねて、私は配信を立ち上げた。


「食材の皆さん、こんレイナ~!」


"こんレイナ~!"

"騒動の渦中にゲリラはじまったw"

"レイナちゃん、異世界行くんですか!?"

"枠名「雑談配信やるよ~」 いや草、告知じゃないの!?"


「はい! そんな訳で、そのうち異世界へ行く予定です!」


"うおおおおおお!?"

"さらっと重大発表きたwww"

"ダーツ旅の悪ノリ、本当にそのまま突き進むの!?"

"異世界組が話してたの本当だったのか・・・"

"いや待ってww 異世界ってそんな軽いノリで行く場所だっけ!?"


「というわけで、今日は、のんびりと異世界グルメについて話せたらな~んかと」


"つぶやいたーのトレンドが、毎日レイナちゃんで埋まっててやばいw"

"この間までカフェ一色だったのにww"

"トレンド2位 レイナちゃんカフェ、トレンド1位 レイナちゃん、異世界に行く"

"トレンド3位もダーツ旅だぞw"

"トレンド6位 異世界グルメも猛追中w"


 コメント欄は、あっという間に異世界の話題で埋め尽くされていく。

 いつもの雑談配信のはずなのに、流れる文字の勢いはお祭り騒ぎそのものだった。


「というわけで、今日は異世界グルメについて改めて教えてほしいんです!」


"来たw"

"結局そこww"

"知ってた"

"ぶれねえw"


 呆れたようなコメント欄。


「もちろん異世界を探索する上での注意点についても歓迎です!」


"無茶いうなw"

"異世界配信視聴ニキおる?"

"やばそうなのはWikiにまとまりつつあるけど、いかんせん情報がカオス"

"《マイン》出番? レイナちゃん、異世界へようこそ"

"マインちゃんだ!"

"マインちゃん、異世界探索組だよね!? なんで書き込んでるのww"


 突如として、コメント欄に降臨したマインちゃんを見てコメント欄が俄然盛り上がる。


"《マイン》レイナちゃん配信があるなら、いついかなる時でも馳せ参じるのが食材たる者の定め"

"マインちゃんww"

"そんなノルマあるのw!?"

"すごい勢いで視聴者数は増えてるけどw"


「そんなノルマはないから安心してくださいね!?」


 マインちゃんがボケたことで、コメント欄は収集がつかないカオスになる。


「でもマインちゃん、いいところに! グルメ情報がもっとほしいです!」


"《マイン》う~ん、異世界みたらしとスライムアイス以外にインパクトがあったやつだと──"


「やつだと?」


 興味津々に私。


"《マイン》あ、あれなんか良かったですね。瘴気で狂化されたイノシシ"

"《マイン》現地だと捨てられてたけど、なかなかに美味"

"《マイン》たぶん瘴気がよいスパイスになってる"

"なんかマインちゃんまで、レイナちゃんみたいなこと言い出したww"

"随分と毒されてるww"

"え? たしか瘴気って、探索者の天敵じゃなかったっけ?"

"《マイン》ん、食べ過ぎると寝込む"

"やばすぎて草"


「狂化イノシシですね! 是非とも覚えておきます!」


 メモメモ、と配信に残しておく私。


(この調子で情報が集まるといいなあ──)

(あ、千佳に怒られるから、ちゃんと異世界の攻略情報も集めるとして……!)


 そう思おうとしても、脳内には異世界グルメがちらちらしている。


"《マイン》というかレイナちゃんの異世界入り。案内役の争奪戦をさっきまでやってた"


「!? どういうことですか?」


 最初はマインちゃんの悪ノリかと思ったけど、どうにも冗談を言ってる様子はない。


"《マイン》ん、ちなみに私が勝ち取った。ブイ"


 画面の向こうで、マインちゃんが無表情でブイサインをしているのを幻視した。


「そ、それはおめでとうございます? 大丈夫、面倒じゃない?」


 思わず不安になる私だったが、


"《マイン》当日はアメリカダンジョンで"

"《マイン》レイナちゃんは、異世界探索組の希望の星。とても名誉あること"


 そこまで言われてしまえば、とても断ることもできず。


(お、大げさだと思うけどなあ──)


 私はそんなことを思いながらも、


「それではよろしくお願いします」


 そうぺこりと頭を下げるのだった。


(異世界グルメ、楽しみです!)


 その後、私は異世界グルメと、申し訳程度に異世界の攻略情報を食材さんたちと話し合い、しばらく雑談配信をしてから閉じるのだった。


***


 それから三日後。

 私たちダンジョンイーターズメンバーは、アメリカ行きの飛行機に乗っていた。

 私、ミライちゃん、豪腕さん、長田さん、軍曹──それに千佳までもが、現地で見届けたいということで、なかなかの大所帯になっていた。

 ちなみに残念ながら、ゆきのん先輩はお留守番。是非とも行きたい! とゆきのん先輩自体は言っていたが、軍曹が「流石になにがあるか分からない」という判断で止めたらしい。


(残念だけど、仕方ないか……)


 ゆきのん先輩になにかあったら、それこそファンの皆さまに顔向けができない。

 軍曹の言葉に、私は静かに頷くのだった。


「……また、アメリカかあ」


 飛行機に乗り込みぽつりと呟く私に、千佳が肩をすくめる。


「しゃあないやろ。攻略済みのダンジョンは、まだあそこだけなんやから」

「ですよね」

「まあ、勝手知ったる場所ではあるやろ?」


 前回は、マインちゃんたちを助けるために突っ込んだアメリカダンジョン。

 今度は、異世界を探索するために向かう。

 そう考えると、なんだか少し不思議な気分だった。


「これで準備万端! 千佳、いつもありがとね」

「レイナは、好きなことをやればいい。面倒ごとは任せとき」

「なら、お言葉に甘えて──」

「いや、やっぱり自重してな?」


 私の言葉に、静かに顔を引きつらせる千佳。


「ワクワクするッスね! ウチ、始めての海外ッス!」

「異世界グルメ。まさかそんなものを大真面目な顔で考察することになるとはな──」

「ふむ、まさか探索者として海外に渡る日が来ようとはな。人生、なにがあるのか分からないものだ」


 それぞれが思い思いのことを口にする中、長田さんだけは静かに窓の外へ視線を向けていた。


「とにかく、準備はできた。向こうにはマインちゃんたちもおるし、アメリカ側のゲート周辺も今はかなり安定してるはずや。はずなんやけど……」

「けど?」

「レイナが行くと、いつも予定外が起きるからなあ」

「失礼ですね!?」

「失礼やない、実績や」


 ぐうの音も出ない。

 そんなことを話していると、やがては飛行機が飛び立つのだった。

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