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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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レイナちゃんカフェ、開店準備

 ダンジョンでのブートキャンプから、数日の月日が経ち。

 ──ついに、この日がやってきた。


「食材のみなさん、こんレイナ~! ついに今日の夜、ダンジョンカフェが開店します!」


"こんレイナ~!!"

"ついに……!"

"開店おめでとうございます!!"

"深層カフェ、ほんとに実現したんだ"


 ここ最近の配信は、カフェ絡みが多かったからね。

 コメント欄もお祝いムード一色だ。


「食材のみなさんも応援とメニューの提案、ありがとうございます! 豪腕さんが腕を振るって待ってるので、是非とも深層に行くときには寄ってみてくださいね!」


 そんな嬉しい言葉をもらいながら、配信を流していると、


"レベリング間に合わなかった……"

"深層の脚きり、さすがにきつい"

"あ~、あとちょっとだったのに!!"

"結局、潜れなかった組になってしまった"

"下層のクソオーガが憎い……!!"


 コメント欄では、そんな書き込みも溢れていく。


(いやあ、まさか私のカフェがニュースのトップを飾る日が来るとは……)

(それもあんな形で……!)


 私が思い出したのは、とあるネットニュースのトップ記事だった。

 いわく最近、中層~下層でダンジョンの攻略が活発化しているらしいというニュース。初心者と中級者向けの装備が飛ぶように売れ、ダンジョン特需とでも呼ぶべきお祭り騒ぎになっていたらしい。

 そんなニュースを他人事のように聞いていた私の耳に飛び込んできたのは……、


「なにがなんでもレイナちゃんカフェに行きたいんです!」


 なんていうインタビュアーの質問に答える探索者の声で。


「大切なお知らせです、カフェは逃げませんからね! 無茶して攻略とか、本当にやめてくださいね!?」


"りょ!"

"了解!"

"一時期、やばい勢いだったもんね"

"食材たるもの捕食者を困らせてはいけない(誇)"


 大慌てで雑談配信で釘を差したのも今は昔。


(これは何がなんでも、カフェのオープンは成功させないと……!)


 同時に大きな期待も感じて、私はそう気合を入れていたものでした。


 ──そんな訳で迎えた今日というカフェのオープニング記念日。

 しっかりと、配信でメニューを宣伝する必要があった。


「はい! では映えあるオープニングメニューを早速紹介していきますね!」


 私はカウンターの脇に立って、黒板に書かれたメニューを指し示す。


「ちなみにこのカフェは、その場で採れた新鮮な食材で日々新たな驚きを提供することを目指しています! つまり、だいたいメニューが毎日入れ替わります!」


 何度か告知したことだ。


"一期一会すぎる"

"めちゃくちゃ面白そう"

"毎日通わないと(使命感)"

"まあ豪腕ニキなら全部あたりでしょ"

"実際、まじでその場で採れたものを調理してるからなあ"


 カフェのメニュー決めにあたって、どうやって食材を安定的に仕入れるかを悩んだのだ。

 定期的に私がダンジョンに潜って狩ってくるにしても、たとえば函館ダンジョンの海鮮料理なんかはまず滅多に取ってこれるものではない。

 そんなことを悩んでいたら、千佳が「いっそ、毎日メニューが替わることもコンセプトにすればええんやないか?」なんて言い出したのだ。千佳、天才すぎる。

 幸い、その思いつきは食材さんたちから好意的に受け止められており、


「では今日のメニューです! まずはスターターから。下層で採れた新鮮なシルバーワームの塩蒸しです。ほんのり一毒で食べやすいです。最初に訪れた方にはオススメの逸品ですね!」


"うーん美味しそう"

"ほんのり一毒w"

"でも名前がなぁ……"

"シルバーワームってあのイモムシかあ。あれ、でも塩蒸しおいしそう・・・"

"さすがは豪腕ニキ"


 コメント欄の反応も上場。

 私は続いて、メインディッシュの解説を説明していくことにする。


「今日のメインは三種類あります。深層ドラゴンテールのロースト、マグマドッグの旨辛鍋、そしてフォレスト・ボアの炭火焼きです!」


"並べて見ると普通においしそうなのすごい"

"豪腕マジック"

"フォレスト・ボアって、あのブートキャンプで生け捕りにしてたやつだ!"

"うっそでしょw 本当にそのまま採用されていったのw"

"↑↑このチャンネルはだいたいその場のノリで決まるぞ? レイナちゃん初心者か?"


 むっ、失敬な!

 私にだってほんの少しは、計画性があると思う。

 そんなことを思いながら、私はメニュー解説を続けていく。


「デザートは、新宿ダンジョン産シャインマスカットのタルトです! あとは深層産みかんのシャーベットも採れたてで良きです!」


"出た、シャインマスカット!"

"ちなシャインマスカットでハーフイチドクらしい"

"シャインマスカットでイチドク達しないのやばすぎて草"

"みかんシャーベットならわんちゃん?"

"パンピーは皮に触れると手が腐り落ちるらしい>深層みかん"

"ひえっ・・・"


「……以上が今日のメニューです!」


 ドヤッと宣言する私。

 迷いに迷って選び抜いた、どれも自慢の逸品たちなのだ。


"ドヤッなレイナちゃん、カワイイ!"

"知ってたけど、マジでまともなもんなんもなくて草"

"《鈴木千佳》チャレンジメニューのデュラハン鍋は本日欠品です"

"ガッカリ(喜び)"

"正直ほっとしてる"

"デュラハンまるかじりは、いつか挑みたいけどまだ早い気がしてる"

"↑↑諦めるなよ、頑張れ頑張れ!"


「あ、豪腕さんからもメニューの解説をどうぞ!」


 私は、調理室に居た豪腕さんに声をかける。


「結局、食材だけ選んできて中身は豪腕さんにお任せしていたんです!」


"正直で草"

"でもそれが正解な気がするw"

"おりゃっ!(肉にパンチを叩き込むレイナちゃん)"

"↑↑立派な調理だぞ!"

"豪腕さんありがとう・・・"


 カウンターの奥で、豪腕さんがうっすら疲れた顔で腕を組んでいた。

 コック服が、すっかり身体に馴染んでいて頼もしい。


"さすがの豪腕ニキも目が死んでる"

"出てくる料理は全部本気なんだよな"

"漢の中の漢"

"さすが料理スキルカンスト!"


「ふっ、よせやい」


 コメント欄の反応を見て、豪腕さんは満更でもなさそうに頬を掻くのだった。

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