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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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レイナちゃん式ブートキャンプ(2)

「それでは! 実際にダンジョンに潜っていきましょう!」


 私が元気よくそう宣言すると、参加者たちの顔つきがわずかに引き締まった。


「おもちくん! 今日もグルメ案内人として頼りにしてます!」

「ウ、ウン……」


 肩の上のおもちくんが、ぷるぷると震えながらうなずく。


"おもちくん!!"

"今日も生存確認!"

"美味しそう(定期)"


「食べませんって!」


 深層第一地区の入り口をくぐったとたん、空気が変わった。

 参加者の何人かが、思わず歩みを止める。


「……思ったより、雰囲気がありますね」


 ゆきのん先輩が、小さくそう言った。


「大丈夫ですよ。ここはもう庭みたいなものなので!」


"庭。"

"庭なの!?(困惑)"

"この子の感覚おかしいけど安心感あるのなんで"


 私は先頭に立ち、颯爽と歩き始める。

 おもちくんの指示に従って、美味しいモンスターが多いルートを選びながら。


「あ、あそこ! ここ曲がると隠し部屋があるんです!」

「隠し部屋?」

「はい! 隠し部屋は優先的に入りましょう。うまく飛べる転移トラップに乗ると、美味しい狩り場に入れたりするんです!」


"命知らずすぎるwww"

"美味しい狩り場(モンスターハウス)"

"なんかデジャヴww"

"《鈴木千佳》レイナ、一般参加の人に同じことしたらあかんで"


「あ。…………そうですね、今日は素直にモンスターを倒すだけにしましょう!」


"ギリ踏みとどまった"

"千佳ちゃんのストッパーに感謝"

"おっかなびっくり見てた一般参加組がほっとしてるw"


 中には深層が初めてというメンバーも居るのだ。

 慎重に慎重を重ねるぐらいで丁度いい。

 モンスターと遭遇するたびに、私は立ち止まって解説する。


「あれはフォレスト・ボアです。焼くと最高です! そうですね、あれもカフェの食材候補なのでちょっと待っててくださいね!」


 そう言って走り出す私。


「あっ! ──という間に、もう倒してる!?」

「いえ、生け捕りです! ラクラク・ハコベールに収納しておけば、鮮度バッチリで豪腕さんに渡せるので!」


 驚きに目を見開く軍曹に、「普通に掴んで収納しただけですよ!」と笑顔で答えた。


"いつもの無茶振りが豪腕さんを襲うw"

"食材調達チャンネルだったんだな(改めて)"

"ダンジョンイーターズの訓練会、カフェ仕込みも兼ねてた!?"


「それで、ここからどうやって熱耐性を手に入れるんですか?」


 そう質問してきたのは長田さんだ。


「え~っと……、千佳が立ててくれたプランによると、まずは溶岩地帯に向かって──」


 私は記憶を頼りにそう答える。

 ちなみに今日の探索は、千佳の立てた行動計画に沿っていた。

 モンスターの種類ごとに得られる耐性効果をリストアップし、どのルートを通れば効率よく耐性を身につけられるかを計算し尽くした完璧なプランらしい。


"《鈴木千佳》計画通りに動いてくれれば……、の話なんやけどね"

"まあそうよな"

"レイナちゃんがいる時点で計画は崩れる定め"

"あれ、もしかして奇跡的順調……?"


 そんなことを話しながら、私たちはダンジョン深層を進んでいく。

 そうしてしばらく歩き到着したのが、


「久々に来ました! ここが溶岩地帯です!」


 私たちは、深層の一角にある溶岩溜まりのエリアに踏み込む。

 じりじりとした熱気が肌に伝わってくる。


"自殺行為すぎる!?"

"熱耐性得るためには、こんな所こないとなの!?"

"一般食材ニキ、どう見ても絶望してるやんけ!"

"↑↑一応、深層攻略の経験はある上澄みって話らしいけどなあ"


「あぢぢぢぢぢぢ!?」

「あっつ……!」

「レイナ、なにかコツはあるのか……?」


 軍曹がそんなことを聞いてきたので、


「最初は……、気合いです!」


 私はそう答えて、ずんずんと溶岩地帯の奥地に突き進むのだった。

 幸い今日に向けて、回復ポーションは山のように用意してある。

 耐性が身につくまで、とにかく回復し続けてゴリ押すのが最短ルートなのだ。


(千佳も引きつった顔で同意してたし、問題ないはず!)


 それからチームは二手に別れた。

 メンバーの大半は、熱耐性を全くもっていなかったので、溶岩地帯の入口あたりを往復して徐々に熱に慣らしていく作戦だ。

 残りの熱耐性をそれなりに持っているチームは……、


「レイナ様、このへんの溶岩ドッグファンガー、やっぱりあんまり美味しくないッスよね」

「うーん、確かに硬いんですよね……。でも出汁は出るので、鍋の時に重宝します!」


 カフェのメニュー調達に付き合ってもらうことになった!


"料理の話しながら溶岩地帯を歩かないで!"

"相変わらず絵面と会話が何一つとして噛み合ってないww"

"てかマインちゃんと軍曹、熱耐性持ちだったのね"


「ぶい。完全ではないけどね」


 マインちゃんは、無表情でカメラに向かってVサイン。

 異世界探索チームに入っていただけあって、あの探索の後も着々とトレーニングを詰んでいるらしい。


「あ、なら完全耐性ここで手に入れとく?」

「できるの?」

「うん。おすすめは溶岩風呂ですね!」

「…………やめとくね」


"溶岩風呂!?"

"死ぬ()"

"軍曹、まじかこいつって顔したな今w"


 そうして私は、数時間ほどかけてメンバー全員が熱耐性のスキルを得たことを確認すると、


「では次に行きましょう!」


 私たちは次の目的地を目指して深層ダンジョンを突き進むのだった。

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