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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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レイナ、日常を満喫する

【世界から】レイナちゃんについて語るスレ. 1163【異世界へ】


264: 名無しの食材

もうどこから突っ込めばいいのかww


296: 名無しの食材

レイナちゃんが名実ともに世界最強になったと思ったら、異世界カチコミ行くことになってて草


307: 名無しの食材

ダンジョンクリアって概念まじ?

そのクリア報酬が、異世界へのゲート?


316: 名無しの食材

>>307

いや、分からん

ほんとに何一つとして分からん

とりあえずおもちくんの言う事が正しければ、異世界につながってるんだと思う


331: 名無しの食材

あれって、本当に異世界につながってたの?

ダンジョン異世界説、正解ってこと?


349: 名無しの食材

一気にダンジョンが解明されそうだね

それにしてもダンジョンの完全クリアって、前代未聞だもんね

歴史的瞬間に立ち会えて感謝


366: 名無しの食材

あまりにもその後のインパクトが強すぎたけど、レイナちゃんの鬼神のごとき強さも忘れてはいけない

あの弾幕貫通して、蜘蛛にトドメさしたのレイナちゃん以外には無理でしょ


388: 名無しの食材

あれは流石に緊張した

あのレーザー、普通にレイナちゃんもダメージ負ってたから

久々に生きた心地しなかったというか、ダンジョン配信ってそういうものだったなあって思い出したわ。推しが死ぬとこなんて見たくないよ


417: 名無しの食材

本当にすごい戦いって、まじでまず理解ができないんだなって思ったわ

あのメンバー集まってるのにジリ貧になるの頂上決戦って感じしたわ


431: 名無しの食材

その場で回避できるようになるレイナちゃん、やっぱり今考えてもおかしいわ


446: 名無しの食材

>>431

気合ッスよ!


474: 名無しの食材

レーザー耐性得るまで焼かれるってのもありだったんかな?


489: 名無しの食材

>>471

その手があったか!!


497: 名無しの食材

ゲートの情報は、まだ無しかな?

てか配信に乗ったのが、まじの事故って感じでしょあれ

そのうち何か発表あるかな?


367: 名無しの食材

ん~、とりあえずレイナちゃんの配信を待とうかな!








******


 ──世は大探索者時代。


 レイナたちが発見した異世界への扉は、空想の産物でしかなかった異世界の存在を証明した。

 各国による緊急会議が連日開かれ、異世界を開拓するべく、世界の精鋭たちが集められた大規模な探索隊が結成される。

 ニュースもネットも、世間の注目はまさに異世界探索一色。


 そんな異世界へのゲートを発見した時代の立役者であるレイナはといえば……、


「2のスリーペアです!!」


 千佳のラボで、大富豪に没頭していた!


「~~って、なんでやね~ん!」


 千佳が、持っていた手札でバシッと自分の額を叩く。


「なにがですか? 千佳、次は千佳の番ですよ」

「いや、おかしいやろ! 前回、異世界へのゲートが開いて、これからはいよいよ異世界編始まります──みたいな顔をしとったやん!? あんな世界の変革に立ちあったはずなのに、なんでうちらは部屋に集まって大富豪してるんや?」


"マネちゃんw"

"ごもっともww"

"レイナちゃんポカンとしてるw"

"全人類(の食材さん)が絶望した瞬間"


 配信画面の端で、相変わらずの勢いでコメントが流れていく。


「いや、なんでって言われても、今日は恒例の雑談配信の日ですし……」


 私の配信は、あくまでダンジョンから癒やしをお届けするものだ。

 マインちゃんを助けるためにアメリカまで遠征したのは特例であって、基本的にはダンジョンでのんびりと癒やしを届けるグルメ配信をしたいというのが私の活動方針だ。

 ちなみに今日の配信は、最近枠を増やしている雑談配信。

 私、千佳、ミライちゃんのいつものメンバーに加えて、豪腕さんまで加えた豪華コラボ配信だった。


「八切り! からの、あたいもこれで上がりッス!」


 横から、ミライちゃんが無邪気な笑顔で最後の手札を放り捨てた。


「よっと。これで俺も上がりだな」


 続いて、豪腕さんまでもが淡々とカードを投げ捨ててゲームが終了する。


「うわぁあああああああ! またうちがビリ!?」


 ラボに響き渡る千佳の悲鳴。


"マネちゃん、絶望的にカードの引きが弱い・・・"

"これはちょっと同情するレベルwww"

"理不尽と理不尽に囲まれた一般人の悲哀"

"捕食者に運ごと喰らい尽くされたか・・・"


 コメント欄の食材さんたちも、わいわいと千佳の負けっぷりを楽しんでいるようだ。

 ふと画面の端を見ると、同時接続数は相変わらずとんでもない数字になっていた。

 雑談回ということもあり、いつもよりも盛り上がらないかといえばそんなこともなく──ただ大富豪をしているだけの配信が何十万人にも見守られており、ほんの少し前まで同接一桁でため息をついていた私としては、少しだけ複雑でもあった。


"実際、俺も異世界に乗り込むんだと思ってた"

"たしかにw あれだけの戦いを魅せて、翌日が普段どおりのグルメ(笑)配信で笑っちゃった"

"世界最強の配信者が、カードゲームで一喜一憂してるのシュールよなあw"

"てか異世界探索チームの誘い、なんで断ったんや?"


 コメント欄にはそんなことが書き込まれているが、


「いやあ──、私はあくまでダンチューバーなので異世界はプロの方に任せておければかなと……」


 そう小声で返す私。

 異世界という場所に興味があるかないかで言えば、もちろん多少なりとも興味はある。けれども、そんなちょっとした興味だけで、世界最強の異世界探索チームみたいなプロ集団に混ざるのは違うと思う。

 異世界ともなれば日帰りで行けるような場所ではなくなるだろうし、少なくとも学生の私が気楽に行けるような場所ではないだろう。


「それに……、異世界ってちょっと癒やしとは程遠いですよね?」


"そんな理由w"

"い・・・、や・・・、し?"

"鬼神のごときつよさでフェニックスを殲滅して焼き鳥をおいしく食べるレイナちゃん!(切り抜きURL)"

"癒やしって言葉を辞書で引いてもろて"


「え~っと……、バトル中の風景はそっと見なかったことにしてもらえると……」


 まったくもって不本意なことに、私の切り抜き動画はやれ捕食者だの、血濡れの天使だの、恐ろしい二つ名とともに拡散されているのである。


(う~ん、やっぱり理想は、画面に映る間もなくモンスターが食材に変化することですかね?)

「分かりました! 次からは癒やしにふさわしくない場面は完全カット──画面にモンスターが映り込む前に、すべて消し去りますね!」


"いや草"

"それでこそ我らがレイナちゃんや"

"消しますっ!(バシュッと本当に画面外で消えていくモンスターたち)"

"発想が相変わらず斜め上で草"

"面外からモンスターを屠る音だけ聞こえてくる配信、癒やしというよりはホラーでは?"


 そんな雑談に花を咲かせながら、私たちは大富豪の次戦へと移る。

 慣れた手付きでトランプをシャッフルし、ぱぱっと手札を配っていく。

 そして手札を開き、そのへんを飛んでいたスマホ(ダンジョン配信中にも使っているものだ)に移し、


"手札、えぐすぎて草"

"う~ん、マネちゃんの手札との落差よw"

"あまりにも運命力が違いすぎる・・・"


「あ、千佳の手札を教えるのは禁止ですからね!」


 私はコメントに、そう釘を刺す。


 ──ちなみに最近、私たちダンジョンイーターズは大きな変化を迎えていた。

 それぞれの個別チャンネルを開設したのだ。

 今やっているコラボ配信も、いわゆる多窓……、それぞれの視点で楽しんでいるリスナーも多いはずだ。


 個別チャンネルは、リスナーさんからの要望も多く、思い切ってミライちゃんと豪腕さんがチャンネルを開設したのだ。千佳いわく、せっかく個性豊かなメンバーが揃っているのだからブランド化のためにもありやな──とのことで。

 なお他人事のような顔をしていた千佳であったが、私からの猛プッシュと、食材の皆さんからの強い強い要望を受けて、今はちゃんと個人チャンネルを持っている。「こんな配信、誰が見るねん……」とぶつぶつ言いながら始めた魔道具解説コーナーは、すっかりダンジョンイーターズの大人気コンテンツの一つになっていた。


(豪腕さんの『漢の無骨な料理チャンネル』が、私の配信よりも『料理チャンネル(本物)』とか言われてるのが解せませんけどね!)


 そんな最近のコメント欄への小さな不満を胸に秘めていると、千佳がニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「ふっふっふ、レイナ。年貢の納め時や! うちはこの一瞬のために耐えてきたんやな!」


 千佳がバサリとカードを広げた。

 そして仰々しく天に手を掲げ、勝利を確信した声で宣言した。


「革命ッ! これでうちの時代や!」


 そう宣言した!

 カードの序列が逆転する最強の一手であったが、


「あ、革命返しですっ!」

「…………」


 私は、しれっと四枚のカードを場に出すことに。


"無慈悲!"

"これはひどいwwwww"

"蘇ったマネちゃんの手札が一瞬でゴミに戻ったwww"

"レイナちゃんの手札にしれっと3が4枚入ってるの、完全にメタ入ってるでしょこれw"


 ゲームはそのまま、サクサクと私の勝利で幕を閉じた。


「うちの……、負けや。理不尽モンスターには勝てん──しょせんこの世は弱肉強食。運が悪ければ死に肉になるしかないんや!」


 ヤケクソ気味に叫ぶ千佳の声とともに、今日の雑談配信は賑やかにお開きとなった。

 ──あの日からなにも変わっていない、いつもの日常の一幕であった。

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