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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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アメリカダンジョン攻略会議(2)

 そのミニ型の蜘蛛は、その一体一体がレーザー砲を持っており、やがては縦横無尽にレーザーを撃ち始めたではないか。おまけに小型の蜘蛛は、次々と落下してくるようで、その数は時間とともに続々と増えていった。


"ぎゃあああ、もうやめてくれ!"

"蜘蛛恐怖症の人は無理だな、これ"

"気持ち悪すぎて草不可避。本能的に無理だこれ"


 画面が蜘蛛で覆い尽くされ、コメント欄もドン引きしているころ、


「こうなってしまっては、もうお手上げだな。俺達としても、盾の裏から攻撃魔法で撃ち合いに持ち込んだり、どうにか速攻を狙ったりと色々と試してはいるんだが――全て空振りだ。割とどん詰まりといったところだな」


 そうランドルフが両手を上げてお手上げとアピール。

 作戦室には、重々しい沈黙が集まる。


"当たったら即死のレーザーが飛び交ってるの、控えめにいって狂ってるな"

"なにこのバケモノ"

"このミニ型の蜘蛛は、どんどん上から降ってきてるのかな?"

"なら降ってくるたびにつぶしていけば?"

"処理が間に合わなくなってレーザーで圧殺されるってことだろ"

"てか、よく生きてたな、このチーム……"

"ダンジョンの最奥部では、いつもこんな死闘が繰り広げられてたのか"

"正直、ちょっと気軽に見に来たの後悔してるわ"

"これは俺たちも、本気で攻略法考えないと・・・"


 ボスの詳細が明らかになるにつれ、コメントも加速していく。

 あまりにも絶望的な強さに戦慄するコメントも多い。

 それでも、いつもは下らない雑談が多い我がチャンネルのコメント欄も、今は、真剣に知恵を出し合おうという空気になっていた。

 私も真剣に作戦を考えようとして……、


(ダメですね! 私の頭だと、全ての蜘蛛を、片っ端から叩き潰す――みたいな答えしか思いつきません!)


 私は、どちらかというと決められた作戦に対して、臨機応変に立ち回るのが得意なのだ。

 ……思いつきで動いているだけともいう。


"というか今までよく死人出てないね"

"たしかに。もっと壊滅的な被害受けてそう"


「あ、それはマインちゃんとピーコさんの功績だ」

「どういうことですか?」

「生死を彷徨ってる魂の肉体を操作して、どうにか安全圏まで退避。そこをヒーラーのピーコさんに頼んで回復してもらえば、本当の即死じゃなければ、どうにかなる」

「す、すごい……!」

「少しでも魂が残ってれば、至近距離なら全回復する自信はアルヨ!」


 ピーコさんと呼ばれた探索者が、そうガッツポーズした。

 マインちゃんが、パーティーで果たしている役割は大きいようだ。


"通称、ゾンビアタックか"

"普通はどっかで事故って本当に死ぬし、そうでなくとも精神が狂うから普通はやらんけどな"

"やっぱトップ探索者って、どこか頭のネジ外してるよな"


 そこまで話を聞いて思ったこととしては……、


「これ、私が加わったところで、どうにかなりますか?」


 それが正直な感想だった。

 今のメンバーで取れる戦法が、もう完成されているように思えたのだ。


"そもそもトップランカーが集まって倒せない敵を、一人加わったぐらいで倒せるようになるとは思えないよな・・・"

"いや、でもレイナちゃんなら。レイナちゃん!"

"案外レイナちゃんなら、ソロでどうにかしちゃいそう"


「無茶言わないで下さい!」


 コメント欄が、そんな雑談ムードに流れそうになったとき……、


「いや、一人加われば勝算はある」


 そうランドルフが宣言した。


「本当ですか!?」

「ああ。結局、今までの戦いでは、第二フェーズで本体を安定して叩けるやつが居ないのが、すべての敗因なんだ。増え続けるレーザーを掻い潜れるやつがいないからな」

「な、なるほど…………」

「作戦はこうだ。まずは魔法の撃ち合いで、どうにか蜘蛛の増えるペースを抑制する。その隙に、どうにかしてレイナ――おまえに本体を叩いてもらいたい」

「それは……、責任重大ですね」


 ランドルフの視線は真剣だった。

 もしその作戦で行くなら、作戦の要は間違いなく私になるはずだ。


「となると私は、そのレーザーを回避できないと話になりませんね」

「それは第一フェーズで、回避できるようになってもらう」

「随分とぶっつけ本番ですね……」


 私は、思わずそう呟いた。

 これまでのボス戦の中でも、ダントツの難易度になることが予想された。


「受けてくれるか? 危険な役割ではあるが……」

「覚悟の上ですよ。別にダンジョンが危険なのは、今に始まったことじゃありませんからね」


 死と隣り合わせなのは、いつものことだ。

 世界でも最深部のボス戦で、自分がその作戦の要を果たすことになる――これでも私は、探索者の端くれだ。ワクワクする感情もあった。

 そんなわけで私は、力強く頷き返すのだった。


 そうして作戦が決まったところで、


「ところでヘブンリースパイダーって、食べられますかね?」


 私は、気になっていた疑問をぶつけてみる。


"草"

"レイナちゃんww"

"せっかく俺らも自重してたのに!"

"あまりにも平常運転ww"


「えっと……、多分、美味しくはないと思う」

「うむ。あれは食べたいとは思わないな…………」

「そうですか。残念です」


 マインちゃんとランドルフが、そう戸惑いがちに答え、


「それでは作戦決行は一週間後。今日は解散!」


 ランドルフがそう宣言し、今日の作戦会議はお開きとなるのだった。

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