41 元社畜と少年-20
まあ、少年と鑑定者さんって、多分面識ないだろうし、ちょっと気まずいまであるか。知り合いの知り合いみたいなもんだもんね。他人だよ。
少年の言動をあまり気にしていない風の鑑定者さんが、ちらり、と少年を見る。
「ですが……」
そう言ってから、わたしをちらり。
……あっ、もしかして、わたしの出身地のことを配慮しての発言でした!?
わたしがどこまで周りにこのことを話しているのか分からないから、気を使って言葉を濁してくれたのかもしれない。
というか……もしかして、元の世界に戻る、戻らない、を知るチャンスだったりする? もしかしたら、何か情報を持っているかもしれない。以前に、わたし以外の、この世界にとっての異世界出身者を鑑定したことがあるとか。こうやって言葉を濁したり、あの場で役所の案内がなかった時点で望みは薄いかもしれないけど……。
でも、何も分からないのはわたしも一緒。現状、何の情報もないので、少しでも知識があるのなら知りたいと思う。
「……えっと、冒険者のことは大丈夫なんですけど……。やっぱり、相談したいことがあるので、近いうちにお時間取ってもらっても大丈夫ですか?」
少年の顔を立てつつ、わたしは鑑定者さんに尋ねる。
「はい、問題ありません。そうですね……明後日が休日ですので、その日でしたら、いつでも時間を取れます」
「じゃあ、明後日の夕方から夜くらいでどうですか? この店を閉めた後にでも」
わたしがそう言うと、鑑定者さんは快く承諾してくれた。最後に、「何かあれば、以前渡した名刺の連絡先に」と言って、鑑定者さんは店を後にした。
「……随分と仲がいいんだね」
じと、と少年がこちらを睨みつけるように見てくる。うわ、機嫌わる。
「仲がいいと言うか……お世話になってるだけだよ。ここの店を開くときに許可書と発行印出してくれたのが彼だから」
プライベートで会ったことがない、どころか、会うのはこれで二度目だ。それに、一回目は事務的なものだったし、二回目の今だって、わたしの出身地のことがなければ、様子を見に来てくれることもなかっただろう。
流石に、許可証と発行印の手続きをしただけの相手に、毎回様子を見にっているわけじゃないだろう。五次魔法の使い手は珍しいかもしれないけど、役所に手続きへと行く人は数えきれないくらいいるのだから。
「彼よりも、ギルドの受付職員のが仲良し、って言えるんじゃないかなあ」
こうやって心配して見に来てくれるくらいだから、いい人なのだろうとは思うけど。仲良しって言うほど交流があるわけじゃない。
少年は未だ納得いっていなかったようだが、正真正銘、二人目の客が来たところで、ギルドへと向かって行った。




