表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇色の公子(最終稿)  作者: と〜や
第四章 弔いの鐘
21/48

4-9

 葬儀から数日が立つと、城の中もだいぶ落ち着いてきた。とはいえ、王の落胆振りはひどいもので、当面の間、執務はセイディアが代行することとなった。

 王室はいまやばらばらだった。食事も各々が自分の部屋で摂り、顔を合わさないようにしていた。王の傍にはファーデスがつききりとなり、ピラカは来賓としての扱いはされるものの、王族との接触は制限されるようになった。

 結果、ピラカは一人で部屋に閉じこもることが増えた。


 扉をノックする者があった。

「どうぞ、開いています」

 手を動かしながら答える。扉を開けて入ってきたのはアガルティナだった。

「アガルティナ様……」

「ごめんなさい、お忙しいですわよね……」

「いえ、どうぞ」

 彼女は女官の運んできたワゴンを受け取ると、あとは自分があるからといい女官を下がらせた。

 彼女の入れてくれた紅茶を受け取り、ピラカは立ち上る香りを楽しんだ。

「さて、いかなるご用件でございましょう?」

「まずはお礼をと思いまして。あなたには言い尽くせないほどお世話になっておりますわ」

 それが葬儀の当日のことだと悟る。とすると、手ずから入れてくれたこの紅茶は彼女なりの返礼のつもりなのかもしれない。

「お礼など、当然のことです」

「……それから、本当のことを聞きに」

「本当のこと、ですか」

「ええ。……あなたが資料をお借りになったことは聞きました。では、その結果もご存知ですわよね」

 頭を上げたアガルティナはピラカをまっすぐ見た。

 ピラカは彼女の澄んだ瞳を見返した。ごまかしのきかない才女を相手にするのは苦手だ。

「どこからお話いたしましょうか」

「最初からお願いします」

 声に揺らぎはない。先ほどの照れも消えている。

「おかわりをお入れしましょう」

 今度はピラカが紅茶を入れる。ティーカップを渡し、ピラカも向かいに座った。

「まず、最初にお聞きします。その答えがどうであれ、信じていただけますか?」

「ええ」

「それでは、最初からお話いたしましょう。二十一年前。当時皇太子の地位にあったのは、あなたもご存知の通り、フィラディア三世でした」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ