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葬儀から数日が立つと、城の中もだいぶ落ち着いてきた。とはいえ、王の落胆振りはひどいもので、当面の間、執務はセイディアが代行することとなった。
王室はいまやばらばらだった。食事も各々が自分の部屋で摂り、顔を合わさないようにしていた。王の傍にはファーデスがつききりとなり、ピラカは来賓としての扱いはされるものの、王族との接触は制限されるようになった。
結果、ピラカは一人で部屋に閉じこもることが増えた。
扉をノックする者があった。
「どうぞ、開いています」
手を動かしながら答える。扉を開けて入ってきたのはアガルティナだった。
「アガルティナ様……」
「ごめんなさい、お忙しいですわよね……」
「いえ、どうぞ」
彼女は女官の運んできたワゴンを受け取ると、あとは自分があるからといい女官を下がらせた。
彼女の入れてくれた紅茶を受け取り、ピラカは立ち上る香りを楽しんだ。
「さて、いかなるご用件でございましょう?」
「まずはお礼をと思いまして。あなたには言い尽くせないほどお世話になっておりますわ」
それが葬儀の当日のことだと悟る。とすると、手ずから入れてくれたこの紅茶は彼女なりの返礼のつもりなのかもしれない。
「お礼など、当然のことです」
「……それから、本当のことを聞きに」
「本当のこと、ですか」
「ええ。……あなたが資料をお借りになったことは聞きました。では、その結果もご存知ですわよね」
頭を上げたアガルティナはピラカをまっすぐ見た。
ピラカは彼女の澄んだ瞳を見返した。ごまかしのきかない才女を相手にするのは苦手だ。
「どこからお話いたしましょうか」
「最初からお願いします」
声に揺らぎはない。先ほどの照れも消えている。
「おかわりをお入れしましょう」
今度はピラカが紅茶を入れる。ティーカップを渡し、ピラカも向かいに座った。
「まず、最初にお聞きします。その答えがどうであれ、信じていただけますか?」
「ええ」
「それでは、最初からお話いたしましょう。二十一年前。当時皇太子の地位にあったのは、あなたもご存知の通り、フィラディア三世でした」




