23 おばあさまとお母様の離宮に転移門を設置します。2
23 おばあさまとお母様の離宮に転移門を設置します。2
ジョセフィン様の離宮に転移して鈴を鳴らすと、リリさんが出てきてくれた。
「蒼様、ジルベール様おはようございます。」
「あ、リリさんおはようございます。リリさんがいてよかった。ちょっと化粧品の会社について相談させてください。」
「はい。私もお話しさせていただきたいと思っておりましたから、よかったです。今日は、1日ジョセフィン様につくことになりますので、よろしくお願いします。」
あれこれと話し込んでると、ジョセフィン様の部屋についた。
トントン
「どうぞ」
許可をいただいて、部屋の中に入る。ジョセフィン様はアリサ様と一緒に応接でお茶を飲んでおられた。
「おはようございます。急にご連絡差し上げて失礼しました。」
「私達も今日ぐらいに蒼ちゃんに連絡しようと思ってたのよ。」
「今日は、転移門を作りませんか?というお誘いできました。これからもっと色々頻繁に連絡を取らないといけないと思うのですが、距離のせいでなかなか難しいじゃないですか?転移門を作れば、すぐに会えますから。あと、緊急時の避難場所としても我が屋敷をご利用いただけます。いかがですか?」
「蒼ちゃん、転移門って特定の場所に転移できる門ということよね?そんなものは伝説でしか存在しないのよ。」
ジョセフィン様の言葉にジルバールが答える。
「お母様、今更でしょう。蒼は一度行ったところならどこにでも転移できるのです。転移門ぐらい問題ありません。それと、公式の城ができたんです。あと、サザンクロスの思い出の砂浜のそばに屋敷を買いました。一緒に行きませんか?」
「まあ、なんてこと。素敵だわ。アリサ紹介するわね。あなたがランドサットに向かって逃げている時に賊から守ってくれた、蒼様とジルベールよ。」
「蒼様、ジルベール様助けていただきありがとうございました。おばあさまなんでジルベール様は様がついてないの?」
まだ小さいのに賢い子だ。
「それはね、私の子供、つまりアリサからしたら大叔父に当たるわね。お祖父様の弟に当たるからね。」
「そうなんですね。でも何でこんな子供のような格好をしてるの?」
「魔法だよ。本当だったらこんな姿なんだ」
スライム魔法で姿を38歳に変える。キャンディーは魔力を使わず姿を固定できるので便利なんだけど、服は自動で伸び縮みしないので、今回は短い時間姿を見せるだけだから、スライム魔法で姿を変える。すごいかっこいい。この世界で38歳というとかなり高齢だけど、若々しくて素敵だ。実の父親があんなクズだったから友達の父親に対してなんかすごく憧れたことがあったな。
「信じてくれた?じゃあ元に戻るよ」
「えー戻っちゃうの?」
「今はこの姿の方が便利だからね」
「ありさちゃんも魔法の訓練を積んだら姿を変える魔法なんてすぐにできるようになるよ。」
「え?本当に?」
「うん、だからジョセフィンおばあさまのいうことよく聞いて、勉強と訓練頑張ってね。」
「うん、頑張る。」
「じゃあ、お母様ご準備よろしいでしょうか?転移門はどこに作ればいいですか?」
「では、私の寝室に。」
「わかりました。」
ジョセフィンお母様、リリさん、アリサに連れて行ってもらって、寝室の隠し扉の中に転移門を作って、三人の魔力紋を登録する。
「では、転移門を使ってサザンクロスの屋敷に向かいます。」
僕は、転移門を開くと、サザンクロスと命じて門の中に進む。全員が門を超えてサザンクロスの屋敷の到着した。
「お母様、見せたいものがあるんです。」
ジルベールが、ジョセフィン様の手を引いて庭に出ていき、東屋から思い出のビーチを上から望む。
「ここは、あのビーチの裏の崖の上に立っているんです。いつでもあのビーチを観られるので、蒼が買ってくれたんですよ。」
「まあ、確かにあのビーチだわ。懐かしい。」
海風は強いので、お母様の方にショールをジルバールがかけてやると、ジョセフィン様は堪えきれずに泣き出してしまった。
「あなたのお母様にもこうやってショールをかけてもらったのよ。あの頃私たちはいろいろなところに一緒に旅したもんだわ。オイリアも生きていればみんなでもっと懐かしく思えたのに。」
「母は側室にはなりたくなかったって言ってました。ジョセフィン様のところでお仕えしていたかったって言ってました。でも僕ができたから仕方なく。でも彼女は精一杯僕を愛してくれました。ジョセフィン様に思い出してもらえて幸せでしょう。」
「人生ってね、思うように行かないもの。大きな喜びもあれば、飲み込むには大きすぎる辛いこともある。それが人生。でも、不幸な出来事の後にこんな幸せが巡ってくることも、その逆も。本当に天邪鬼でつかみどころのないものよね。」
「そうでうすよね。思いもかけないことに直面するのが人生です。悪いこともいいことも全てが混ざって押し寄せてくる、それは避けられないんですよね。」
僕も思わず呟いていた。親の育児放棄から祖父母の愛に包まれて、父親に裏切られて、絶望して殺して、神様のお手伝いという名目で異世界で世直しのお手伝い。つかみどころのない不安をジルベールが救ってくれて、周りのみんなが救ってくれて、でも毎日誰かのために働いて。幾重にもおられた時間の重なりそれが人生。好きな色一色で人生の布は織れない。
「私は、また生きている間にジルベール様に会えたそれだけで生きてきた意味があると思っています。」
リリさんが優しく微笑む。
「じゃあ、ジルベールお母様のことお願いしていい?ラシーヌおばあさまを呼んでくるね。」
「おう、待ってるよ」
ラシーヌ様の離宮のお部屋のベランダに転移。部屋の中にラシーヌ様の気配を感じない。風の精霊に尋ねる。
「ラシーヌ様はどこにいるの?」
戦ってる。
違うよ訓練だよ。セリーヌとやってる。
騎士がいっぱいいるところ
「ありがと」
騎士詰め所近くの訓練所かな?
『フライ』
上に登っていく。気配感じる方へ飛んでいく。ああ、いた。
騎士の訓練所だ。ラシーヌ様やる気満々だね。騎士達弱すぎ。はあ
僕は訓練の邪魔をしないように、静かにそばに降りるとラシーヌ様が騎士と剣を交わす様を見ている。ああ、それはフェイントだっての。ああ、もう。
ぱんぱんぱんぱん
と拍手をしながら割ってはいる。
「ラシーヌおばあさま、そのままやってしまうと、離宮の警護する騎士がいなくなってしまいますよ。」
「ああ、蒼ちゃん。いらっしゃい。セリーヌとセディに私の戦い方を見せるために騎士に相手をしてもらってたんだけど、ちょっと弱すぎるのよ。それで今騎士団長を呼びに行かせてるところ。しばらく鍛錬を見てなかったらこんなことになってて。」
「じゃあ、おばあさま。僕と模擬戦しましょう。今日は木刀で。」
「いいわよ。嬉しいわ、蒼ちゃんが相手してくれるなんて。」
「セリーヌ様、僕は剣神様の眷属である一寸剣士様に剣術を習いましたから、僕のレベルを超えなければ、謙信様の加護を生かすことはできないと思ってくださいね。では、ラシーヌ様よろしくおねがいします。」
そうして僕らは模擬戦に突入した。ファーストコンタクトで、ラシーヌ様が見た目通りの力でないことを感じた僕は、攻撃の手を緩めずにそのまま続行。ラシーヌ様は魔法使いだと思っていた僕の剣術が巧みなことに驚いているようだ。
「蒼ちゃん、そんなに可愛い顔して、力も太刀筋もなかなかのいやらしさね。」
「見た目と違うのはおばあさまにはかないません。見た目を遥かに上回る、一太刀の重さに驚いています。」
「あらそう?じゃあこんなのはどうかしら?『旋風飛刀』」
無数の旋風が同時に襲ってくる中に、無数の刃物が別々の方角から襲ってくる。僕は転移で攻撃範囲外に移動すると、真空空間を作り出す。
『風凪無風』
空気を瞬時に奪われた空間では旋風も消え失せてします。
『宿地』
首の横に木刀をチョンと置いて
「王手です。おばあさま」
「見事だわ蒼ちゃん。セリーヌもセディも見ていた?」
「はい、おばあさまも蒼もすごいです。途中早すぎてよく見えませんでしたけど」
セリーヌがちょっとムクれながら、文句を言う。
「目で見るだけじゃなく、全身で感じるの。神経を研ぎ澄まして、感じないと剣術は上達しないわよ。セディはどうだった?」
「すごいです。」
目をキラキラさせた男の子におばあさまも満足げだ。
「おばあさま、今日はご相談したい内容と、お連れしたい場所があります。構いませんか?」
「ええ、問題ないわ。セリーヌ、セディ、出かけるから部屋に戻って支度をしてきてちょうだい。」
「「はい。」」
「じゃあ、蒼ちゃんいきましょう。」
部屋に向かって歩く間に、転移門のこと、サザンクロスの屋敷と、城のこと、研修スタッフの移送についてなど話を通した。転移門を設置する許可は降りたので、非常扉の中に転移門を設置させてもらう。その間に、おばあさまの着替えが終わったので、セリーヌとセディも連れてきてもらう。
「それじゃ、みんなで一度サザンクロスの屋敷に向かいます。ジョセフィンお母様と、アリサが待っています。」
転移門を開いてみんなで移動。
門を抜けた先にはもうすでにみんな待ってくれていた。




