19 神様に会いに行きます
19 神様に会いに行きます
いつも早く目が覚めるのに、今朝起きたらすでに窓の外は太陽が上がって明るくなっていた。隣にいるはずのジルベールもいない。ベッドから起き出してキッチンへ行くと、ミーテルが朝食の準備をしてくれていた。
「おはようございます、蒼様。今朝はとても良い天気ですよ。朝食の準備がもうすぐ終わります。ジルベール様は朝風呂に入りに行かれました。どうされますか?」
「今朝は、地下神殿に神様に会いに行かないといけないから、僕もシャワーを浴びてくるよ。」
風呂場に転移すると、ジルベールが岩風呂の中でスライムになって文字通りビヨーンと伸びていた。
「ジルベールおはよう。」
声をかけてから、シャワーを浴びに行く。
「蒼、おはよう。」
いつものジルベールに戻って笑いながら返事を返してくれる。
「今日は、地下神殿に行って、神様に昨日のことを報告しないといけないよ。そのあと、ガイヤに図面もらって、公式の館を建てようと思ってる。」
「そうか、今日も盛りだくさんだな。それにしても、ガイヤのあの様子だと、俺たちの想像を遥かに超えた屋敷になりそうだな。」
「うん、僕も楽しみでありながらちょっと怖い気もするんだよ。でも楽しみの方が多いかな。そうそう、今日は神様の御前に出るから、特別の服を用意したから一緒に着替えてね。」
「了解」
朝風呂を終えて、部屋に戻ったらミーテルが用意してくれた朝ごはんを食べる。今日のメニューは、ハムエッグとトースト。キャベツのサラダとヨーグルト。飲み物はオレンジジュースにした。
食事が終わると、僕は教皇の衣装を着て、ジルベールには大神官と教皇守護聖者長の二つの衣装を用意する。
「ジルベールには全ての神官のトップである大神官と僕の守護聖者である、教皇守護聖者長の二つのポストを用意してるんだけど、どっちの衣装がいい?」
「こりゃまたものすごい役職を用意してもらったなあ。でも俺はずっと蒼の守護者のつもりでいたから、守護聖者がいいかな。」
「わかった。じゃあこれね」
僕のイメージ通りに仕上げてくれて、ジュリアさんには感謝だ。スキルが本当によく働いている。
「教皇守護聖者長の衣装がすごくよく似合ってる。ジルベールは何着ても似合うけど、これは特別だね。」
「そうか。ちょっと恥ずかしいけど、まあ、ありがとな。でもこの衣装見た目の豪華さと違い、ものすごく動きやすい。」
「そりゃそうだよ。動きを妨げる衣装のせいで十分動けないと困るでしょう?見た目以上にすごい付与をいっぱいつけてるよ。」
『軽量化』『物理衝撃減』『魔法攻撃減』『伸縮自在』『温度湿度快適調整』
これはアラクネの糸を使っているから付与できた。他の素材なら無理だ。
「じゃあ行くよ」
先月、ダンジョン地下50階に地下神殿を作って何度か手直しをしてから一度も来ていなかったので、前回見た時と雰囲気が変わっていてびっくりした。この神殿の守護には光の大精霊レイラと闇の大精霊ピクトがついていてくれる。僕たちが神殿の中に入ると、音もなく二柱の大精霊が現れる。
「「蒼様、ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりました。」」
「二人とも久しぶり。素敵に手入れしてくれて本当にありがとう。」
「いえいえ、おかげさまで光と闇だけでなくさまざまな精霊がこのダンジョンの中に居場所を見つけて、増えることができております。アロンのせいで数を減らされた精霊達が喜んでおります。」
アロンは、精霊達を自分や眷属達の魔法のために使い潰していた。そのせいでこの世界の精霊の数は著しく減らされていった。
「今日は神様に報告があってきたんだ。奥の間に入らせてもらうね。」
「はい。ご案内いたします。」
僕とジルベールを先導するように、レイラとピクトが歩いていく。石で作られた回廊を抜けた先に巨大な神々の像が建てられており、僕たちはその前に進んでいく。祭壇の前に二人で跪くと、神様に呼びかける。
すると、5柱の管理神が神殿に顕現する。神が顕現したことで、このダンジョンを中心に神の力が広がっていく。精霊達の喜びのハーモニーが当たりを満たしていく。
「蒼、ジルベール久しぶりね。」
5人を代表してカリス様が声をかけてくださる。
「蒼君、転生してきてまだ一月ほどしか経っていないのに、あなたのおかげでこの世界が急激に蘇り始めているわ。もちろんまだまだたくさんの問題があるのだけれど。本当にありがとう。それにジルベールも蒼くんを守ってくれてありがとう。間違った時間軸に転生した時はどうしようかと思ったけど、時の大精霊アリオンと時と運命の神クロノスのおかげであなたをこの時間軸に連れてこられて本当によかった。」
「孤独な25年間が今報われています。」
「そうね。今日蒼が持ってきてくれた腕輪だけど、ここに出してもらえる?」
後ろから出てきたワムス様が腕輪のことを聞いてくれた。僕は言われた通りに祭壇の上にそれを置く。すると5柱の神様が顔をみあわせて、頷くと僕たちに告げる。
「これは、アロンが作った魔道具で間違いないわ。ジルベールの転移をずらした魔道具などアロンが作った危険な魔道具達を入れてある倉庫に入るための鍵になるわ。」
ワムス様の言葉に頷きながら、ミヌス様が言葉を続ける。
「この世界を作り直すために必要な道具も含まれているので、全てが悪ではないのだけど・・・。過ぎたるは及ばざるが如し。この言葉忘れないでね。確かに、このブレスレットを使って倉庫の中のものを他のものに悪用されないうちにとりに行くことは、いいことではあるのだけど、まだあなたたち二人では難しいわ。このブレスレットは神殿で預かっておくので、必要な時に取りに来てちょうだい」
「はい、わかりました。僕も自分で持っていたくなかったから助かります。」
「それはそうと蒼ちゃん、できるだけ早く高速移動手段は作った方がいいわ。列車と魔道船ね。特に魔道船は急いだ方がいいと思う。あなた達が現れたことで世界は急激に動き始めているわ。必要になる場面が近いうちにやってきそうだから、急ぐようにね。」
「何が起こるんですか?」
不安になって尋ねた僕に、ナリス様が優しく答えてくれた。
「私たちからは直接は言えないのよ。ごめんなさい。ああ、顕現できる時間の制限が来たみたい。私たちはあなた達をずっと見ているわ。幸せに暮らすのよ。」
そうおっしゃると5柱の管理神は天界へと帰って行かれた。
「ジルベール、予定を早倒ししないといけなそうだね」
「そうだな。」
「レイラ、ピクト、ブレスレットは置いていくのであとはよろしくね。僕らはこれから、街の中央に屋敷を建てて、魔道船の開発に入るよ。」
「「はい、承知しました。」」
魔力のセーブのために、MESH TOWERの家に戻る。服をいつもの服に着替える。
「シカ」
「はい、蒼様。」
「特に問題はない?」
「はい、問題はありません。今日はどうされますか?」
「これからガイヤを呼んで、新しい屋敷の設計図を受けとってから、建築してくる。夕飯よろしくね。」
「はい、承知しました。いってらっしゃいませ」
念話でガイヤを呼び出す。
〜ガイヤ聞こえる?MESH TOWERの家まで来てくれる?〜
〜はい、承知しました。〜
すると、すぐに執事姿のガイヤがたくさんの紙を持って現れた。
「蒼様、こちらが建設設計書です。」
ざーっと目を通すと、完成予想図、平面図、建築予定資材、風、植物、動物、水、土の大精霊達に手を貸してもらう内容。建築手順などがまとめられていた。
「本当に、これだけのことを1日でやれてしまうガイヤの優秀さに驚くばかりだよ」
「とんでもございません。このような誉ある仕事を任せていただきありがたき幸せに存じます。」
「じゃあ、建物が建ったら迎えにいくからサザンクロスで待っていて。転移門を繋ぐからさ。」
「はい。それではお待ちしております。」
ガイヤはサザンクロスの家に帰っていった。
家妖精は自分の家から出ることができない。その縛りをかわすために、サザンクロスの家と僕の家を転移門で結んで、一つの家扱いをしている。一応、それぞれ担当の屋敷を決めはしたが、家妖精達は僕の屋敷ならどこにでも行けるようになる。
「ジルベール行こうか?」
「ああ。」




