17 サザンクロスの屋敷をリフォームします
17 サザンクロスの屋敷をリフォームします
次の日の朝、朝早く起きた僕たちは、朝食をいただいた後、今夜の宿泊をキャンセルしてまたご飯食べにくるねと言い置いて宿を出る。路地の中に入ってから、屋敷に転移する。
まず、気に入らなかった門に付いている鍵をお気に入りのものに取り替える。あんな小さな鍵穴に小さな金属鍵を差し込むなんてナンセンス。僕が作った僕とジルベールの魔力を感じたら解錠する、魔力感知鍵だ。まずは、家精霊のアヌアに会いに行く。家の玄関を開けてグランドホールに入る。
「アヌア」
呼び出すと、すぐにアヌアが現れる。
「おはよう、アヌア。」
「おはよう、蒼、ジルベール」
「どう?起きたばかりだけど調子は?」
「まだ、完全ではないけど、家の手入れをすればするほど私の力は増していくから、しばらく放置されていたこの家を住みやすく整えるわ。」
「僕が魔法使えば直ぐに掃除はできるけど、今日は、部屋の模様替えと転移門の設置をしようって思ってるんだ。基本家精霊はその家から離れられないと思うんだけど、僕の家が他にもあるんで、そこもお願いできないかなあって思ってさ。転移門使った移動だと、一つの家扱いできるんじゃなかった?」
「うん、そうなんだけど、あたしが寝ている間に、私の代わりにこの屋敷の手入れそしてくれてた家精霊達がいるから、その子達を紹介したいんだけど、構わない?」
「え?本当に?それはすごく嬉しいよ。ありがとう。じゃあ、魔力譲渡するからその子達を呼び出してよ。」
「ええ、いいわよ。」
そういうと、僕の魔力をごっそりと持っていった。さすがは大精霊格の上級精霊。扱う魔力量が段違いだ。慌てて、マジックポーションを飲む。
「僕も相当魔力量はある方だと思ってたけど、アヌアはさすが上級精霊。ずいぶんごっそり行かれたよ。」
「ああ、空間に揺れが起こるほどの魔力移動だったな」
「蒼の魔力は優しくて、力強いから大好き。ジルベールも相当な魔力量だけど、金色・銀色の混じった華やかな魔力ね。」
アヌアが眷属召喚の魔法を使う。渦巻く魔力の渦の中から執事服を着た茶髪の男の子とメイド服を着た二人の女の子が出てきた。
「アヌア様、お目覚めおめでとうございます。」
膝を立てて跪くとアヌアに礼をする。
「みんな、私が眠っている間本当にありがとう。ここにいる、蒼とジルベールが私の新しいご主人様です。あなた達にはお二人の他の屋敷の手入れをお願いしたいの。」
「「「御意」」」
代表して執事服の男の子が僕に向かい礼をしながら話し始める。
「蒼様、ジルベール様、私は家精霊のガイヤと申します。こちらは、同じく家精霊のミーテルとシカです。よろしくお願いいたします。」
「みんなよろしくね。ガイヤはこれから作る予定の公式の館をお願いしたいと思ってます。ミーテルは聖域の城をシカにはMESH TOWERの家の手入れをお願いしたいと思ってる。お願いしていいかな。アヌアはどの家にも転移門を使って移動できるようにしておくから、何か問題が起こったら協力してお願いするね。」
「じゃあさ、この屋敷を今日から使えるように整えてもらって、俺たちは転移もんの設置に向かおうぜ。」
「アヌア、僕の屋敷リフォーム計画はこんな感じ」
頭の中に描いている設計図、イメージをアヌアに伝える。
「まあ、素敵。あたしが眠っている間に家具もインテリアも随分雰囲気が進化したのね。シンプルなのに、とても高級感があるわ。わずかにラグの厚みを増すだけでこんなに変わるのね。それにこの魔道具。面白いわ。」
「アヌア様、素敵ですね。私も初めて見るスタイルです。」
イメージ共有したのかミーテルもシカも興奮している。
それに反して、ガイヤは大丈夫かって顔をしている。
「こんなにシンプルでいいのですか?私たちの主人なのですからもっと贅を凝らしたスタイルの方がいいのでは?」
それに対して、笑っているジルベールがいう。
「それじゃあ、王族の俺を満足させることができるインテリアをガイヤに任せよう。2階の主寝室は俺の部屋になるからその部屋をやってみろよ」
「はい、ジルベール様お任せください。」
僕は、ふふと笑うと、
「みんなよろしくね」
と言い置いて、3階の小部屋にジルベールを連れて向かう。
その部屋は3階の一番奥にある、窓のない小さな部屋だった。物置か地位の低い使用人が使う部屋だったのだろう。この部屋が一番魔力との相性が良かった。
『転移門』召喚
僕は転移の魔法を使えるから、転移門は積極的に作ってこなかったけど、ここはジョセフィン様とジルベールにとって大事な思い出の場所。だから、この屋敷では二人には心から寛いでほしい。なので、ジョセフィン様、ラシーヌ様、の離宮と繋ごうと思ってる。ランドサットの王城とは魔法障壁の関係で設置できないので、ランドサットの屋敷と繋ごうと考えている。
この屋敷は、家精霊が守る屋敷。管理だけでなく、防衛体制もお城並みの最高レベルを誇る。MESH TOWERにダンジョンコアのコピーを元にしたセキュリティシステムを敷いたけど、それよりも高いレベルの防衛体制を敷けるので、王族の警護にも適している。
部屋の中に大きな扉が現れる。まずはイリディングルの2つの屋敷と繋がないと。
「ジルベール、魔力の温存のため、イリディングルまで連れて行ってくれない?聖域の城にお願いできる?」
「わかった。」
影の中に潜り、目的の影の中から外に出る。
最上階の僕たちのプライベートエリアにやってくる。小部屋の中に新たな転移門を設置する。
『転移門』召喚
『接続、サザンクロスの屋敷の転移門』
扉が開き、空間が波打っていく。それがスーッと波が引き鎮まる。
「ジルベール転移門でいいどうするよ。」
「初めてだな。ドキドキする。」
一度しめた扉を開ける。中に入ると目の前に一枚の扉が現れる。それを開けると、サザンクロスの屋敷の転移門に出た。
「ミーテル」
小さく名前を呼んで召喚する。
「はい、蒼様。」
「これから、君に任せたい聖域の城に連れていく。準備はいい?」
「はい。」
「「「ちょっと待って、蒼様。私たちも見たいです。」」」
そう言って他の家精霊達もやってきた。
ジルベールと二人で笑ったとみんなで転移した。
三人とも城の中の様子に目を細めながら楽しそうにしていたが、シカが急に大きな声を出した。
「蒼様、外に出られます。」
家精霊は、家もしくは屋敷に付属の庭までしか出ることができない。
しかし、彼女は3階の出口から、教会との接続庭に出ることができ、教会まで移動ができた。
「ここは、聖域。たくさんの精霊達も住んでいるエリアだからかな。」
「本当ですね。風の精霊、水の精霊、石の精霊、花の精霊、本当だ精霊で溢れている。」
あまり感情を見せないガイヤまで嬉しそうだ。
そんな様子を見ていたミーテルが僕の前に膝をついて願い出る。
「もしお許しいただけますなら、この城と教会の両方を管理させてもらえないでしょうか?お懐かしい神様方の気配が強く残るこの地を美しく整えとうございます。」
「僕はそうしてもらえるなら嬉しいけど、大変ではない?」
「とんでもありません。私の誉でございます。」
「それならお願いするね。他のみんなもどうか力を貸してあげて。」
「「「御意」」」
「それじゃあ、シカに見てもらうMESH TOWERに行こう。」
面倒だったけど、一度全員をサザンクロスに戻す。
そしてジルベールにMESH TOWERまで連れて行ってもらう。
僕らの部屋に到着すると、メイド部屋の一つに入り、転移門を設置
『転移門』召喚
『接続、サザンクロスの屋敷の転移門』
扉を開くと、サザンクロスの屋敷の転移門に出た。
みんなを連れて僕らの部屋に戻る。
「シカ、この建物はダンジョンコアのコピーを元に、管理とセキュリティのシステムを組んだるんだけど、このシステムと対話してシカが管理することは可能?」
「少々お待ちください。アヌア様お力をお貸しいただけますか?」
「わかったわ、ダンジョンコアの本体との対話ね。任せておいて」
しばらくの時間、対話を重ねていた両者だったが、アヌアが目を開いて僕に報告してくれる。
「蒼様、問題なく管理権限を私が引き継ぐことができるようになりました。その上、ダンジョンコアのコピーが精霊化しまして、私の眷属になりました。彼女は私よりもセキュリティに対する造詣が深くシカと共同でこのビルを管理することになりました。」
すると女性に人化した精霊が僕の前に進みでる。
「蒼様、ダンジョンコアより生れ出ました精霊のリンです。シカとともにこのビルの管理を行っていきます。セキュリティは私が、清掃、空調、管理などはシカが対応することになりました。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、僕とジルベールがここの主人なので、何かあれば僕がいない時はジルベールにお願いね。」
「はい、ジルベール様の魔力紋はすでにいただいております。ジルベール様よろしくお願いたします。」
「よろしくな。」
「じゃあ、リンとシカはこっちの仕事をお願い。他のみんなは一度サザンクロスに戻ろう。」
転移門でサザンクロスに戻ってきた僕らは、すでに美しく新たに整えられた応接間で向かい合いように座って相談していた。
「ガイヤに任せる予定の屋敷は、僕の公式の住まいということになる。これから、文官や武官、侍従、侍女、執事などもおくことになるだろう。海外からの要人の受け入れも公式行事もここで行うことになる。ゆえに設計からあらゆることを想定したものでなければいけないので、今まで着工できなかったの。僕たちよりも屋敷に詳しい、アヌアとガイヤなら監修をお願いできるかなって思ったんだけど、お願いできる?」
「もちろんでございます。どんなものにも攻められない、安全と快適をお約束できる城を設計してごらんに入れます。」
ガイヤのものすごいやる気に嬉しく思いながらも驚いていると、アヌアが説明してくれる。
「この子は、私たち家妖精には珍しく、家を整えること以上に建物を整えることを得意とする家精霊なんです。蒼様は無意識に指示されたんだと思いますが、この子が一番輝ける仕事を下さったのです。私も、精一杯ご協力させていただきますので、今夜一晩お時間をいただけますか?」
「もちろん。僕も今日は魔力を使いすぎたから、今から綺麗に整えてもらったこの屋敷でゆっくりさせてもらうよ。」
そういうと、二人は姿を消した。
「いい買い物だったね。」
ジルベールを振り返っていうと、
「そうだな。俺もこの屋敷は好きだ。なんか懐かしい気がする。」
「そうだ、2階の主寝室見に行かないと。ガイヤのセンスで改装してくれたやつ。」
「あ、そうだな」
二人して部屋の扉をあけて中にはいる。
天井には3つのシャンデリア。白・クリームイエロー・ゴールドを基調とした格調高いインテリア。ポイントポイントに深い青が配置され引きしめている。肌触りの良い素材がふんだんに使われ居心地の良い空間に仕上がっている。
「驚いた。すごいセンスだね。すごくいい。」
「ああ、これは王族達が好む豪華さと、蒼の好むモダンでシンプルをいい感じにバランスよく取り入れてる。俺も気に入った。」
「ガイヤありがとう。すごく気に入ったよ。新しい館のインテリアも全部任せるからよろしくね。」
「はいーー。がんばりまーす」
姿を見せずに声だけということは今、フル回転で頑張っているところなんだろう。
「ミーテル。転移門の使い方教えるね」
「はい。」
姿を見せたミーテルを連れて3階の転移門の前まで行く。
「ここで、魔力を少し流して、聖域の城とイメージをして。そしたら、向こうの転移門に出るから。そっからは自由に城と教会の範囲はどこにでも移動できるはずだ。よろしくお願いするね。」
「はい、蒼様。行ってきます」
明日は早朝にギルドに行って、リンゼさん達の護衛についてオデッサまで移動しなければいけない。
「もう明日、帰るんだね。もうちょっとゆっくりしたかったよ」
僕が愚痴ると、ジルベールが
「そうだな。でも転移門があるから前よりも気楽にみんなでこれるぞ。俺もこの屋敷気に入ったから、できるだけここで過ごしたい。」
「そうだね。そうしよう。シーフードも買い込んでイリディングルに運ばないと。」
「今は仕方ないけど、それも他の奴らにやってもらうようにしないとな。また色々考えよう。俺たちは種を蒔くのが仕事だ。あとはこの国の人間達に手渡さないと、いつまでもゆっくりできない。」
「本当。僕に一番欠けてる能力かも。ジルベールがいるから色々気づけて助かってる。ありがとう。」
「お前は、自分を蔑ろにしすぎだ。もうちょっと抑えめでもいいぞ。夕飯の支度始めようか。」
「そうだね。」
新しく綺麗に蘇ったキッチンとダイニングで料理したものを食べながらゆっくり夜がふけていった。




