10 ギルマス連れてイリディングルへ
短編を書いてみました。よかったら読んでみてください。
10 ギルマス連れてイリディングルへ
【新暦586年11月19日】
今日は朝の10時にオデッサの冒険者ギルド前で、ギルマスと待ち合わせ。
僕はいつものように5時起きで朝の訓練。訓練のあとシャワーを浴びてコーヒーの支度をする。すると、ベロニカとグレンが起きてきた。
「おはよう。二人もコーヒー飲む?」
「「いただきます。」」
ということで、急遽少し多めにコーヒーを立てる。四人分作って三人で飲む感じかな。準備をしながら昨日の話し合いの内容を二人と共有する。
「昨日ラシーヌ様と話して、エステティシャン候補10名、スタッフ7名の選抜が終わったらしいよ。だから、もう授業は初めてもらえるけど、備品は全部揃ってる?」
すると、驚いたようにグレンが
「もう決まったの?すごい仕事早いね。彼女たちはベリスからここまでどうやってくるの?馬車だと1か月くらいかかるよ。」
すっかり忘れていた。僕らは転移が使えるから移動に時間がかかる経験をしてないからなあ。
「僕が連れてくるわけにもいかないし、今回は長旅頑張ってもらおうかな。
これから、鉄道とか魔動船を作るから、そうしたらもっと短い時間で移動できると思うしね。」
「あと、泊まるところとか、食事とかはどうする?」
「それは、ホテルのシングルルームを使ってもらおうかと思ってるんだ。食事はエレンのところの料理人をホテルの厨房に回してもらおうと思ってる。」
「そっか。わかった。あとは備品なんだけど、文具もタオルや化粧品なんかも全部揃えてもらってるし、問題ないよ。」
「了解。じゃラシーヌ様に連絡して、護衛付きで送り出してもらえるようにしてもらうように連絡を入れておくよ。あと、今日から周りから見えなくする魔法を切って、ホムンクルスを門のところに配置するので、誰か来たら僕のところに連絡が来るようにしてある。それでこれ渡しとくね。」
そう言って、通信の魔道具を渡す。
「これは通信の魔道具と言って、メッセージを瞬時に送ることができる魔道具だよ。板に埋め込まれてる魔石に少し魔力を流します。そうすると明るくなるから。点滅が始まると、魔道具に向かってメッセージを話してください。終わる時にもう一度魔石に触れると、魔石の明かりが消えます。その次に、魔道具表面の10個のボタンに事前に相手を登録しておき、メッセージを送りたい人のボタンを押してから、送信とつぶやいて。そうすると、相手にメッセージが届くよ。」
「スマホみたいなもんね」
「スマホ?」
「前世に似たような道具があったんだよ。スマホほどまだ高機能じゃない。ずっと音声チャットはできないし、音声メッセージを送れるだけ」
「それでも、あったほうが絶対便利。ありがとう。」
グレンはもう早速いじりだしてる。
「一応二人の通信の魔道具には、僕と、ジルベールと、お互いのボタン3つは登録してある。10個までしか登録できないからよく考えて誰を登録するか考えて。あと、メッセージを聞いたら一言でもいいからメッセージを受け取ったことの返事をすること」
「わかりました。じゃあ、蒼さまにメッセージを送らせていただきます」
もう扱い方をマスターしたらしいベロニカが早速僕にメッセージを送ってくる。
「じゃあメッセージの受け取り方みて」
板本体の一番上の白く光っているラインを人差し指でなぞる。すると、送られてきたメッセージが自動再生される。
「さっきみたいに、光っている線を人差し指でサッとなぞると、メッセージを受け取れるからね。そしたら今度はこっちからメッセージを返してっと。」
「蒼さま、はい、板が光りました。了解です。」
そろそろジルベール起こさないと。
「ジルベール、そろそろ起きて。今日はギルマスのところにいくよ。」
声をかけるけど、珍しく起きない。額を触ってみるけど、特に熱くもないし、今日は疲れてるのかもしれないし、ベッドに残していくことにした。
「珍しく、ジルベールが起きなくてさ。熱はないみたいなんだけど、具合悪そうだったらすぐ連絡して。これからギルマス迎えに行ってこっちに連れてくるからよろしくね。」
「わかりました。行ってらっしゃいませ」
今日は珍しく一人で移動することに。ジルベールがいないとちょっと寂しいけど仕方ない。バイクを出して、オデッサに飛んでいった。
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「おはようございます。アンジーさん、ギルマスいますか?」
「おはよう。蒼くん。呼んでくるからここで待ってて。」
「はーい。」
しばらく一階で待ってると
「よっ、待たせたな。」
ゴリさんが山登りのような格好で出てきた。
「あの、ギルマス今日は僕の街に招待しますと言いましたよね。どこの山登るんですか?」
「いや、そうはいうがあの周りは草も生えない荒野だからな、それにいつ魔物に襲われるかわからないしな。その時動きやすい格好じゃないと身を守れん。」
「もう、わかりました。別になんでもいいです。それで、今日はあと誰がいくんですか?」
「すまん、紹介する。オローラのギルドマスターのジョナサン・クーリッジとアンジーだ。」
「初めまして。冒険者の蒼です。」
「こちらこそ初めまして蒼君、今日は楽しみにしてきたよ。何かと噂は聞いていたけど君に会えるのは初めてだしね。今日はジルベールくんはどうしたんだ?」
「なんか、朝起こしても起きなかったから置いてきました。」
「それで一応馬車の準備はできているが、馬車が通れる道かな?」
「あ、ごめんなさい。僕が乗ってきた乗り物に乗ってもらいます。だから馬車はここに置いておいてください。」
「蒼、乗り物ってどこに置いてるんだ?」
(仕方ない、いつまでも隠せないしね)
「僕のアイテムボックスに入ってます。なので門を出るまでは出せないのでしばらく歩きです。」
そう言って、しばらくみんなで歩く。ギルマスが門を出る時に歩く姿を門番たちは見たことがないので、新鮮そうに眺めていた。森の裾にかかったところで、森の中に入り、バイクを出す。
「これに乗っていきます。」
「「「なんだこれ」」」
「魔動バイクって言います。少し宙に浮いて飛んでいきます。後ろの座席に座って、ベルトをこういうふうにかけてください。」
一番小さいアンジーさんを座らせて、実地でやってみせる。3人とも準備ができたので、僕の座席に座り、魔力を流す。
「結構早い乗り物なので、前のバーを握って離さないでくださいね。」
ゆっくり目にスタートする。しばらく流れる周りの景色に興奮していたが、だいぶ落ち着いてきたみたいなので、少し高く上昇し、街道から外れて森の中の最短距離を走り出す。巨木の間をすり抜け、小川の上を飛び越えスピードを上げていくとおっさん二人は元気だが、アンジーさんは一人静かに。
「アンジーさん大丈夫?」
「大丈夫じゃない。蒼くん前見て前見て危ない」
巨木にぶつかったみたいだけど、これは障壁を貼ってあるので、木の幹に沿って上に駆け上がっていく。
「うん?ぎゃーーーーーもー。真上に上がってる。どうなってるの?え?やだたかいーーー、落ちる〜ーー」
思いがけずジェットコースターみたいになっちゃった。
「ごめんね。ちゃんと障壁張ってあるから安全だから安心して。」
「蒼、もっとやってもいいぞ。これ面白いな。」
「いやー久しぶりにヒュンってしたよ。」
そんな感じで、ワイワイやってるとあっという間に西大門に到着。
ホムンクルスに門の開放を命じる。バイクで中に入っていきながら説明する。
「ここが、西大門です。入ってすぐは広場になっています。あの高い建物が、MESH TOWER hotel&residencesです。高級な宿をはじめ、僕の屋敷を含む、VIPたちの住居と、ショッピングセンター、そして列車の駅、会社の事務所などが入っています。ここの駅から、オデッサ・オローラ・デボラータ・ランドサット・オリサルト・ベリス・ミアの8都市を結ぶ列車が発着します。それから、あちらの背の低いビルは、街中の移動で使う路面電車の駅が3階に作られています。それでもう少しすると見えてくると思いますが、あ、あれです。正面に見えるのが世界樹、そしてその前にあるのが大教会と僕の城です。」
中央大通りを北上しながら説明すると、3人ともあまりの景色に絶句している模様。
「世界樹はエルフの国にあるんじゃないのかね。」
「そうですね。ただ、10年ぐらい前から枯れはじめていたようで、今はもうほぼ力を残していないようなんです。それで、こちらに新しい世界樹を植えてもらいました。こちらの世界樹が元気になってきたことで、前の世界樹も少し元気になってきているようですよ。」
「見たこともないような巨大な建築物を見せてもらったぜ。これをお前が建てたのか?」
「そうですね。僕の権能で建てました。中は一部友人に手伝ってもらってますよ。」
ふと、冒険者ギルドの関係者を、普通に、城や世界樹の観光に連れていくよりダンジョンを見せた方がいいんじゃないかって思い直す。
「あのー、今日は城とか街の見学をしてもらおうかと思ったんですけど、それよりもダンジョンを見てみませんか?」
「ダンジョンみれるのか?でも装備を持ってきてない。」
「ああ、それなら問題ありません。僕が障壁を張るので、その中から見てください。」
「そんなことが可能ならぜひ」
転移でダンジョンについたら、影からジルベールが出てきた。
「ああ、おはようジルベール。今朝起きなかったから置いて行ったけど、具合悪かったの?」
「ああ、なんか脱皮みたいなことらしい。レベルが100になってキングスライムになったらしい。」
「やっぱりね。チートがすぎるんよ。」
「お前がいうな」
僕らがワイワイやってると、ゴリさんが
「ジルベールじゃねえか、どっから出てきたんだ?」
と訝しそうに聞くので
「ここで待ってたんだよ。ようこそギルマス。」
とジルベールははぐらかしていた。
「これはジルベール様。初めてお目にかかります。オローラのギルドマスターをしておりますジョナサン・クーリッジと申します。」
ああ、なんらかを知ってるわけね。
「「ジルベール様?」」
ゴリさんとアンジーさんが首を傾げる。それを見てジルベールが答える。
「クーリッジギルマス初めまして。俺は冒険者のジルベールです。それ以外の身分はありません。これは全員の総意です。」
「は、はい。承知しました。」
二人はこれで済んだんだけど、残りの二人は納得してないのは丸わかりだし、この二人は僕らの身分がどうこう分かったとしてもむしろ態度を変えないだろう。
「ゴリさんとアンジーさんにも言っときます。一応僕真神教の教皇なんで王様並みの身分だし、ジルベールはアレジ王国の元王子なんで、クーリッジさんの態度が変なのはそのせい。でもね、僕たちどっちも人間じゃないから、人間の身分なんか関係ないの。だからこれまでのように普通に相手してくれればそれでいいからね。変に畏まらないでね」
というわけで、
「ねえ、ジルベール、ちょっと頼まれてた素材がいくつかあったから、今から撮りにいくんだけど、それを三人に見学させようと思って。一緒に来てくれる?」
「もちろん。結構使っちまったもんな。」
「それじゃ、みなさんいきますよ。8階層から始めます。」
《8階層》
「僕たちだけ、特別権限でどの階層にも転移できますが、基本は、5階層ごとです。この階層にはファイヤーリザードが出ます。じゃあ、ジルベールが障壁はりますからその中から見ててください。」
自分だけ前に歩いていくと、一斉に複数の方角から炎の矢が飛んでくる。その全てを水の矢で相殺しつつ、『グラビティ』で押しつぶす。
ドロップアイテムの皮がポンポンと現れるたびに、アイテムボックスの自動収集機能が勝手に収納して行ってくれる。
「ここのファイヤーリザードの皮は本当に高値で売れるんですよ。あとね、奥に温泉があるんですけど、そこで入るのもいいんですけど、湯の花をとってお家の浴槽で楽しむんです。お肌ツルツルになって本当に体が温まりますよ。」
「蒼、お前の言ってることはよく分かったんだが、なんだあの非常識な闘い方は」
「え?なんか変でした?」
「何をしたんだ?ちょっと動かなくなったと思ったらどんどんドロップアイテムに変わって行ったから何事かとおもったよ。」
「あれは闇魔法の『グラビティ』だよ。ちょっと重くしてあげたら圧死したの。」
「・・・・・」
「蒼くん、普通グラビティという魔法は圧死するほどの重力はかけられないんだ。ちょっと体を重くするだけ。それでも敏捷が高い敵の動きを遅らせるだけでも助かるってもんなんだけどね。」
「へーそうなんですね。他の人のこと知らないから勉強になりました。」
「それにしても瞬殺だったな。とてもじゃないけどDランクで置いておけないからさっさとSランクまで上がってくれ」
「次7階層行きます」
《7階層》
コッコ鳥・ロック鳥たちを『ストーンビュレット』で一気に葬る。
ドロップアイテムを全部回収して説明する。
「この階層は、鳥の肉、羽、魔石、嘴がドロップアイテムになりますが、僕らの狙いは肉です。これで作る唐揚げが絶品なので。」
「唐揚げって何?」
「後でご馳走しますね」
それとオリーブの実を大量に収穫していく。
「オリーブの実は食べても美味しいんですが、これを潰してオイルを作るんです。調理油としても、美容オイルとしてもとても貴重なオイルです。」
「美容オイルとしてどう使うの?」
「このオイルで、石鹸や化粧品を作るんだよ。食べても体にいいし美味しい油になるよ。」
「塩漬けにするとこんな感じです」
アイテムボックスに入れてあったものを出してあげる。みんなつまんで食べるが、
「ああ、酒のあてにいいな。これ」
「そうなんですよ。シンプルな味なんだけど、酒飲む時には合いますよね。僕は飲んだことないけど。というわけで、このダンジョンは宝の山なんです。だからこの街にも冒険者ギルド支部作りませんか?」
「これは検討に値する話だね、ホテイソン君。」
「ですね。」
「竜もたくさん出ますよ。前回は出さなかったけど、必要ならドラゴン素材出しますよ。」
「そんなの絶対全部は買い取れないから、少しづつにしてくれよ。」
「もちろんですよ。値段を下げるようなことはしないですよ。でも、希少な薬の材料になるわけだから薬師ギルドに問い合わせてやってください。」
「ああ、向こうからの希望も葵に知らせるようにするよ。」
「じゃあ、地上に上がりましょう。」
ダンジョンの外じゃなくてエレンのところに転移した。
「ああ、蒼。いいところに来た。ちょっっと話があるんだけど。」
「うん、僕も話したいことあるんだけど、お客様がお腹空いてるんだよね。今ダンジョンで取ってきたロック鳥の肉があるから、それで唐揚げ定食作ってもらえるかな?アンドレさーんお願いできる?」
「はい、聞こえとりました。大丈夫です。みなさんどうぞ中にお入りください。」
みんなを席に案内して、料理が届く間に、エレンに通信の魔道具を渡す。
同じ異世界転移者だけあって話が早い。あっという間に操作をマスターした。
「なんかあったら連絡ちょうだい」
「うん、分かったわ。次は、列車と魔動船なのよね?列車のモーターはほぼできているからあとは車体に合わせて調整するだけよ。」
「了解。来週まで予定入ってるから、来週末に仕上げちゃおう。」
「分かったそのつもりで作業続けとく。」
ちょうど話が一段落したところでアンドレさんとお弟子さんたちが唐揚げ定食の乗ったお盆を持ってきてくれた。
「みなさまお待たせしました。ロック鳥の唐揚げと、サラダ、スープ、ライス、それから、研修で作ってました揚げ出し豆腐とだし巻き卵です。ごゆっくりお召し上がりください」
みんなお盆の上の料理に釘付けだ
「暖かいうちにどうぞ。お茶は横の置いておきます。おかわりはご自由にどうぞ。」
そういうとみんな食べ始めた。
「うわ、外カリカリで、中は肉汁がドバーって出てくる。肉にした味がしっぱりついていてこれは美味い。」
「本当に美味しい。それにこのだし巻き卵最高。柔らかくて美味しいわ。」
「この白い穀物は、味の濃いおかずと一緒に口に入れて食べてください。これだけ食べたいときは、この壺の中のふりかけを上にかけて一緒に食べてもらうと美味しいですよ」
ジルベールが、ご飯に戸惑っている人たちに対して説明してあげてる。さすがよく気がつく王子だ。
「今日はいろんなもの見せてもらった上に、美味いもんまで食わせてもらって本当に感謝する。」
「いえいえ、これからもよしなに。」
みんなと楽しい会食が済んだらバイクで送っていく。門の外で別れたら、バイクを収納して転移で戻ってきた。今日も良く働いたなあ。おやすみ




