8アンダルシア王国連邦トップ達との会談
誤字報告ありがとうございました。訂正させて頂きました。
8アンダルシア王国連邦トップ達との会談
「まず、奴隷の問題についてですが、誠に勝手ながら、ミノラ王国のクレイダー公爵に対応をお願いできないかと思うのですが。」
唐突に、クレイダー公爵の名前が出たことにみなさん驚かれていて、ラシーヌおばあさまは、特に
「クレイダーは公爵ですが、王家の血が入った家ではないの。先日新しい当主から手紙が来ていて、蒼ちゃんを支持するっていう内容が書かれていたわね。」
「実は、あの家は公にはなっていないかもしれませんが、相当に長い腕を持っている家です。私の存在に気づいたのはあの家のものだけでした。配下に凄腕の諜報員を多数抱えています。その上、何か僕の知らないことも知っている気がしてなりません。今回、関わった貴族の中に、公爵、侯爵など位の高い家のものも多く、アーリントン伯爵には荷が重いと感じました。」
「確かに、高位の貴族が関わっていれば、相当な実力者で、高位の貴族でないと捌くことはできないだろう。ラシーヌお母様、クレイダー公爵にこの件任せてもよろしいでしょうか?」
「王はクレリックあなたなのです。私に気を使う必要はありません。それに蒼ちゃんの進言ですもの。その方がいいわ。」
「では、私の方から、クレイダー公爵に連絡を入れて奴隷の問題に取り組んでもらえるように頼んでおこう。」
「ありがとうございます。クレリック様。次に列車についてですが、説明するよりもみる方が早いと思います。まだ動きはしませんが、外側はできていますのでイメージがつきやすいと思います。私の街に全員で転移してみてみませんか?」
「え?みたいです。ぜひ」
セリーヌが真っ先に声を上げる。
「お兄様、蒼の作っている街であるイリディングルはまだまだですが、都市の設計思想が根本から違います。見ておくのはとても参考になるんじゃないかと思います。」
「じゃあ、蒼、お願いできるか?」
「はい、みんな飛びますよ。」
そう言って、MESH TOWERの前に転移してきた。幅50メートルの太い道路に区切られた区画が広がる中、この周囲はタワー以外に目ぼしい建物は路面電車の西中央駅の入ったビルのみ。だからこそ、その異様な姿はみんなの度肝を抜く。
「あちらの遠くに見えますのが、西大門です。王国の大体の都市から来た旅人は、あちらの門から入ってくることになります。そして反対側にあります、あの5階建てのビルは西中央駅ビルです。ビルの3階にこの街の足となる路面電車の駅があります。そしてこれがMESH TOWERと言いまして、僕とジルベールの家を含む複合ビルになります。このビルの地下に列車に乗る駅というものを作ってありますので、まずはそこから見ていきましょう。」
ビルの中に入って、エスカレーターで下に降りる。
「これがエスカレーターというもので、動く階段です。」
「まあ、歩かなくて地下に着いちゃうだなんて。うちの城にも欲しいわ。」
「うちにも入れて欲しいわ。」
みんな気に入ってくださったようだ。
地下一階に到着したので、駅の改札がある方へ歩いていく。改札の向こうにプラットフォームが長く伸びている。高速鉄道の実寸の候補模型を線路の上に乗せる。
「ご覧いただけますように、この車は金属でできているレールの上を高速で走り抜けていきます。馬車の速度の10倍から15倍の速さです。この模型は、まだ動きませんが、イメージはつきやすいですよね。中に入ってみましょう。椅子の配置や内装なんかはこのような形にすることを考えています。王家の方々専用車両、荷物を乗せる貨物用車両、料金により内装に差をつけます。一応この模型は特等・一等・二等・三等の4クラスのうち、一等室の部屋のデザインです。」
「この椅子は素晴らしい座り心地で、背もたれが動いて横になれるのや、荷物をおける簡易テーブルなどよくでいているけど、少しシンプルすぎると思うのよ。」
「そうですね。車両内部のデザインや内装に関しては専門の職人の力を借りたいと思っております。みなさまのご贔屓の職人をぜひご紹介ください」
「それで、これが完成すれば、ベリスとランドサットはどのくらいの時間で結ばれるの?」
「私の計算によりますと、ランドサットとベリスは高速馬車で移動しても2週間かかる距離ですね?大体800KMあります。この列車の速さは平均で時速150km〜160kmなので、5時間ちょっとで到着できます。オローラとの間は3時間ちょっとで繋がる計算です。」
「それはすごいことよ。ミアの海産物をベリスはもちろん、ランドサットまで運ぶことができるようになるのね。オローラとベリスも宿泊なしで移動できる。」
「ただ、今まで旅人を泊めることで生計を立てていた宿の経営者には打撃ではないか?そのあたりの代替案も考えないとな。」
「そうですね。ビルドアンドスクラップは必ず起こります。仕事にあぶれた人たちを私たちは積極的に街の宿で雇いたいと考えて言います。それに、列車ができても、近距離の移動は馬車が中心のままです。列車は利用料が高いですから、そこは住み分けができると思います。」
「そうだな。もちろんマイナス面もあるが、ざっと考えるだけでも利点の方が圧倒的に多い。」
「はい、これによるメリットは、巨大な公共事業を行うことで、雇用を大きく作り出すこと。次に、3国の主要都市を短い時間で繋ぐことで、1つの国のまとまりを強く印象付けられる。人と物の動きが活発になるということは、政治・経済が大きく発達することを意味します。今、王家は犯罪を犯した貴族家から召し上げた土地、金、などを一人で抱えた状態です。ですから、早めに、仕事をたくさん作りそこで得たお金で新しい産業を育成して国を発展させないといけません。そしてこのプロジェクトは私にとっても、イリディングルを、他の大都市と直接繋ぐことができるメリットがあります。これは、是非すぐにでも着手したいと考えています。」
「移動に数日かかり、魔物や盗賊に怯えながらの移動はあまりにもリスクが高い。しかし、この鉄の車ならその辺りのことも心配しなくて良さそうだ。」
「はい、そうです。線路内には立ち入れないような仕掛けを作りますので、ご安心ください。」
「それに、他国に対しても最高の宣伝になるわ。我が王国は優秀な人材、先端技術を保有する国であると。今まで多くの優秀な人材を帝国や共和国に奪われてきたけど、その流れが変わるかもしれない。」
プリシラ様も悔しい思いをされていたんだね。
「はい、それは最高の宣伝になります。そしてもう一つ、今まで、帝国に独占されていた、空を私たちが使えるようにしませんか?実は、模型ですが、みなさま専用の船のデザインは考えてきているんです。」
アイテムボックスから模型を取り出す。基本の形は同じだが、海の上を走る帆船のような形はしておらず、流線型のどちらかというと宇宙船に近い形をしている。小さな模型だが、外観と内部構造についても理解しやすいように作ってある。
クレリックのはベースカラーは黒。差し色はシルバー。
プリシラのはベースカラーは赤。差し色はエメラルド。
セリーヌのはベースカラーはシルバー。差し色はネイビー。
ラシーヌのはベースカラーはイエロー。差し色はパープル。
ジョセフィンのはベースカラーはサファイヤブルー。差し色はゴールド。
「まあ、素敵。これで空が飛べるわけね。これはどのくらいの速さで飛ぶの?」
「1時間で1000KMぐらい飛びます。あと、乗組員こみで200人ほどは乗れます。武装装備も緊急避難装備もバッチリついています。あと、これも、船を作るだけでなく空港を作るのにお金も人員もかかります。ですので、仕事にあぶれた人がたくさんいる今がチャンスなんです。ちなみに、ベリスとランドサットで四十分ぐらい、オローラとランドサットは三十分、オローラとベリスでも1時間半ぐらいで着きます。」
「ちょうど、国も3国が一緒になって、新しい巨大な王国が出来上がる。領土が大きくなるだけではなく、国民の数も増え、マーケットも拡大する。あまり時間をあけないうちに建国祭を行い国内外の要人を招いて国のあり方を示さないといけない。それに、このプロジェクトは最適だと思う。
蒼もジルベールも大変だと思うが力を貸してもらいたい。そしてできれば同じタイミングでイリディングルも独立した宗教都市としての立場を明確に示した方がいいと思う。蒼はどう考える?」
「はい、全く同じ考えです。新年祝賀の儀が終わった、2月あたりを一つの目安としてやっていきませんか?クレリック様の魔道船と、イリディングルとオローラ間の列車の整備をそれまでに終わらせて、ランドサットからベリスへの魔道船での移動と、オローラからイリディングルへの列車移動を国内外の要人に見学させて、この国は投資対象として優れているということを示すのはどうでしょう?当然、奪いにくる、ばか対策は万全にしなければなりませんが。」
「そうだな。では、私たちは何をすればいい?」
「まずは、イリディングルとオローラ間の線路を建設する用地の取得をお願いしたいです。あと、オデッサとオローラに乗降のための駅を作らないといけません。そのための用地買収もお願いします。残念なことに、城壁の中には駅を作るスペースがなさそうなので、城壁外に駅は作らないといけないかもしれませんね。」
「確かに、城壁の中は建物で埋まっているな。では、城壁の外の近い場所に駅を作ることにしよう。」
「はい、あとは先日お取りつぶしが決まった貴族たちのうち、優秀な人材をどんどんこのプロジェクトに押し込んでください。やることは山のようにありますから。優秀な平民ももちろん歓迎です。それで使えそうな人材はそちらにレポートしますね。」
「それは助かる。では、蒼に指示された作業をこちらで割り振っておくので、その後の進捗状況などの管理は任せていいか。」
「はい、ジルベールが完璧にまとめてくれます。」
「おい、いきなりこっちに振るなよ。」
「ごめん、ごめん。でも助けてくれるでしょ?」
「もちろん。任せとけ」
「それで、最後の話。聖教国のおかしな現象です。」
「ああ、初めて聞いた話だから、心配していた。」
「それが、なんとなくこうじゃないかっていう想定はあるんですが、確証のない話です。ただ、あの国で近いうちに何か大きな問題が起こりそうな気がします。多分その時に全てわかるんじゃないかと思います。」
「確証がなくても構わない、想定でもいいので聞かせてもらえないか?」
「はい、あの国は破壊神様の加護を外されています。ゆえに、破壊と創造のサイクルが空回りし始めて、どちらにも属さない空間が増えていっているのではないかと思います。この国に飛び火しないことを願ってますが、そのためにも一刻も早く正しい過去をこの国の民が知らないといけません。」
「蒼に教えてもらって、私たちは本当に後悔したの。早く正さなければならないって。破壊神様は邪神ではなく、この世界の大神様の1柱で、大切なお役目を果たされていることを知ることから始めなければ。」
ラシーヌ様とジョセフィン様が僕を援護してくれる。
「蒼、教えてもらえるか?」
「はい。教会へ行きましょう。」
みんなを聖域の教会へ転移させた。




