1魔導バイクでオデッサまで
今日から第4章です。
1日1話の投稿ペースに戻します。
よろしくお願いします。
第4章 外の世界との接触
1魔導バイクでオデッサまで
【新暦586年11月16日】
アレジ王国の首都であるオローラにいく途中にあるオデッサは、イリディングルから一番近い街となる。それほど大きな街ではないが、以前は死の谷からたまに溢れる魔物の対処のための最前線の町だった。以前は上位の冒険者の稼ぎ場所だったようだが、近頃は王都に立場を譲っているようだ。
まずは冒険者ギルドで冒険者登録をして、魔物素材や、鉱石、薬草などを換金してもらおう。だから、転移はできない。門から入る必要がある。まあ、門のそばに転移して歩いて入るのもいいけど、高速移動手段を持っておくのも必要かも。
「オデッサまで歩いていくのはちょっと辛いから、魔動バイク(トゥクトゥク)を作るからそれに乗っていこう。」
「なんで、転移で行かないんだ?」
当然ジルベールは聞く。
「今回は冒険者ギルドでギルド登録するから門から入らないといろいろややこしくなるからだよ。」
「ああ、そう言うことか」
まずは横幅のあるバイクのような躯体を作成する。先頭は運転ハンドルがついた大きなシートとその横に小さな補助椅子。後ろに2人がけの座席が2列。5人乗りのバイクにしては大きな乗り物を作る。バイクの細かい内部構造は理解していないので、車輪のない木馬のような躯体を作り、そこにアンチグラビティの魔法を付与して車体を浮かせ、前面と後面には風魔法のウインドを付与した。進んだり、逆噴射で止まったり。ただそれだとストップアンドゴーがキビキビできないので、急ブレーキをかける時には地面に降りて地面との摩擦を利用しながら止まる機構も取り付けた。
「よし、まずは試し乗り」
アンチグラビティを発動させ、地面から30センチほど浮かび上がらせておいて、運転席にまたがる。後ろのウインドを解放し前に進んでいく。風のコントロールもそれほど難しくはなさそうだ。そして前面のウインドを解放し、スピードを落としていく。ディスクブレーキほど早くは止まれないけど、きちんとブレーキは効くようだ。あと、高さの調節がどれぐらいできるか試してみると、30センチぐらい浮いた状態から最大3メートルまで可能だった。舗装されていない道路をいくので、タイヤよりこっちの方が乗り心地は良さそうだ。
「OK,特に問題なさそうだ。ジルベール出かけよう。」
「うん、楽しみ。だけどさ、最初トゥクトゥクって言ったのに、全然イメージ違うじゃん。」
「まあ、何というか。ちょっと趣味に走ったというか。とにかく僕の後ろに乗ったら、前にあるハンドルをしっかり握ってね。シートベルトも忘れずに。」
「はーい。大丈夫だよ」
初めて乗った魔道バイクだが、思ったよりもずいぶん快適で、馬車のスピードが大体時速10KMだとして、今はその四倍ぐらいのスピードで走ってることになる。
「ジルベール大丈夫?」
「最初はちょっと安定しなかったけど、今は楽しいぞ。もっと早くてもいいぐらいだ。ゆれないからお尻いたくないし、風が気持ちいいし最高。」
「よかった。でもジルベールは前世のバイク知ってるし、身体能力高いからなあ。一般人の感想もどっかで聞かないとダメかあ。でも喜んでもらえて作った甲斐があるよ。人がまばらなところは認識阻害で走るけど、人が密集してるところは降りて歩くよ。」
「そうだな。余計なトラブルはいらない。」
「あ、オデッサの門が見えてきた。一旦森の中に入るよ。」
そう言って、道路から横の森の中に少し入って魔道バイクから降りると、バイクを収納してから認識阻害を解除する。
「街道に戻って街に入ろう。」
街道に復帰してしばらく門を目指して歩いていると衛兵と何か言い合ってる声が聞こえてきた。
『地獄耳』
風魔法で声を大きめに増幅して運んできてもらう。
「だから、さっきから何度も言ってるじゃないですか。俺は冒険者で、ギルドのクエストで魔物討伐に行ったら、フォレストウルフの群れに囲まれていて、援軍が必要だから俺だけ帰ってきたって。仲間たちが戦ってるんです。今すぐ救援に向かわないと命が危ないんです。ギルドカードはこっちに戻ってくる時にバックをおいてきてしまったからないって。本当に急がないといけないんです。お願いですからここを通してください。」
「そんなこと言ったって、身分証のないものは入れられないって決まりだからな。今確認に行ってるから待て。」
「だから」
「お前うるさいぞ。何度も同じことを言わせるな。こっちも忙しいのに、わざわざギルドまで人をやってやってるんだ」
門番はそういうと他の人間の相手をし始めた。涙目でプルプル震えながら列から離れて項垂れている。
ちっ、ルールより命が優先だろうが。




