MESH TOWER hotel&residences 1
21MESH TOWER hotel&residence 1
【新暦586年11月14日】
エレンがエスカレーターとエレベーター用のモーターを開発してくれたので、今日は西の大門前の高層ビルの制作にかかることにした。名称は
『MESH TOWER hotel&residence』MESHは天に届く木という意味のシュメール語。響きが好きで採用。
地下2階地上20階。この時代の技術としては大変難しい部類に入るかと思われるので、そこは魔法を利用しながら。
地下に電車の駅とモール。ここは、イリディングルからオデッサ・オローラ・デボラータ・ランドサット・オリサルト・ミア・ベリスを結ぶ高速鉄道の駅。まだ計画段階だけど、これからひとつの国になる3国の主要都市をつなぐ計画。失敗できない重要プロジェクトだ。
1階から3階はテナントが入る、ショッピングモール。3階からは、路面電車の駅が入っている西駅の3階と繋いだ渡り廊下で繋ぐ。ここには、並びと向かいのビルからも渡り廊下が延ばされる。
4階から10階はオフィス、会議場が入り、11階から20階まではホテル&レジデンス。このビル全体のサービス部門セキュリティ部門の本部オフィスはこのビルの中に構える。19階20階はメゾネットタイプのレジデンスと蒼たちの第3の館も入居する。18階はホテルのスイートフロアーとなっている。17階は大浴場・レストラン・散歩用庭、ホテルの中枢機能を集めてある。そのフロアを抜けないと、18階以上のフロアーには行けない。
またレジデンスフロアーには居住者しか持てないカードでしか行けない。
このビルの建築を急いだのは、エステティシャンの養成講座と最初のサロンはこのビルに作ろうと考えているから。多分数日したらラシーヌ様のところもジョセフィン様のところも候補者のリストが上がってる。
どうせ研修するなら、サロンの雰囲気を感じながらやったほうが真剣になるだろうと思って。だから、徹底的にこだわって豪華にするよ。
「マジックブック、ビルの設計書を出して。」
ビルの外観、階層、各フロアの細かな仕様、家具の色や、材質まで細かく指示が入っている。僕のイメージ通りのビルの設計図ができた。部材加工マニュアルまでついている。今回は僕が魔法で作るからいいとして、そのあとはみんなで修理やメンテナンスをやってもらわないといけないので、魔法を使わなくてもできるやり方も考えておかないといけない。
僕は予定地にやってきた。
西門から750m離れていて、西中央駅ビルからは50mしか離れていない。このエリアは200m四方の区画を50メート幅の道路で碁盤の目のように区切られたエリアだけど、西門から500までの2ブロックは大規模イベント広場として整備。
ビルは幅50メートルの道路に取り囲まれた、200m✖️200mのブロック。ビル建設予定地だけは2区画ぶち抜きで利用するので、ビルの前には中央に石畳の私道を備えた庭園を作成。
『アーキテクト』
地下2階分掘り進める。排水、浄水の管を地下に埋める。すぐに開けられるように扉をつけて埋める。地面や側面を固める。硬さを調査すると、上のビルの重さにも耐えられそうだったので、そのまま、金属の柱と骨組みを組み出す。こちらでは魔法を使っているので、金属や木材の柱や板材の組み方貼り方が全く違う。非常に強い蔦が美しい模様をつけながら固定していく。エスカレーターをつける穴、エレベーターを通す穴、はめ込み窓をはめる穴、寸分の狂いもなく工事が進んでいく。それから、毛織物や毛皮、アラクネシルクなど様々な素材を出す。石灰石や、木材や、宝石、金属、どろ、なども追加。
『クラフト』
今度はビルの中で絨毯の設置や、家具や小物の製造が自動で行われていく。
ビルから漏れる光が消えたのを見て、エレンのところに転移する。
「エレン、エレベーターとエスカレーターを取り付けるよ。」
「キャ、もういきなり驚かさないでよ。」
「あ、ごめん。」
気がせいていたのか、いつもならドアの外に転移してノックするところ、作業場に直接転移してしまった。
「もう。動く仕組みはできてるけど、肝心のエスカレーターやエレベーターは作ってないわよ。」
「それは大丈夫。じゃあ一緒に行こう」
エレンの手を掴むと。返事も聞かずに転移。
目の前には、20階建ての新築のビルが聳え立っている。
「あんたこれ、さっき一瞬で建てたの?」
「うん、そうだよ。今は仕方ないけど、これからは人を使って真っ当なやり方でできるだけやってくよ。このビルはこれからの研修で使うからさ。」
「そうよね。どうやって、取り付けるの?」
「見てて。」
『クラフト』
エスカレーター、エレベーターを設置。そこに作ってもらったモーターを接続。コントロール装置を繋いで魔石をはめて。
「終わったみたい。ちょっとみんな呼んでくるから待ってて。」
転移で全員を連れてくる。
「ジャーン。できました。僕たちの第3屋敷を含む、複合ビル
『MESH TOWER hotel &residences』」
みんなの驚く顔を見てるのも楽しいけど、さあ早速内部を紹介しよう。
「蒼、これ六本木ヒルズを参考にしたな?」
「デザインは全く違うけど、コンセプトは似てるかもね。じゃあ、地下2階から案内するよ」
そう言って、ビルの入り口にある大きな階段を降りて、地下一階に降りていった。ガラスでできた両開きの扉を開いて中に入ると、真っ暗だったので、
『エネルギー供給』
と魔法を発動させる。このビル全体のエネルギーの供給元となるメインの魔石に魔力を充填していく。30秒ほどで完了し、暗かったフロアに灯りがついた。
「今、ビルの管理に必要なエネルギー供給の要になる魔石にエネルギーを充填した。これからからこのビルのシステム全てを司る核となるAIの《ロッソ》を立ち上げる。」
《ロッソ》に魔石からエネルギーを流す。
「初めまして、蒼様、皆様。私はこのビルを管理します《ロッソ》と申します。以後お見知り置きを。」
「え?誰が喋ってるの?」
エレンが驚いて、聞いてくる。
「以前、ダンジョン核の《アビス》を51階に動かした時に内部の鑑定を行い、機能の一部を再現することに成功したんだ。それをこのビルの管理、セキュリティシステムとして利用することにしたんだ。今回は僕が魔力を供給させたけど、今後はこの大地の魔力、ビル利用者の魔力、太陽光の光合成によるエネルギーを使って維持されていくよ。あとでメインコントロールルームに連れていくから、その時また紹介するね。」
じゃあ、いくよと言ってみんなを案内する。
「今、みんなが通っている通路は、両側に店舗が入る予定。この下に高速鉄道の駅があるので、お土産物売り場、食事処、本屋、銭湯、マッサージ屋、仮眠所、あとは、服や靴、旅行に必要なものが買える店舗が入居予定だよ。
このビルは回廊型をとっていて、上下への導線や広場などは中央部にまとめてあるんだ。」
外から入ってきて、中央へ向かう通路を歩くと、2回左右に長く伸びる別の通路にぶつかる。その度に一度立ち止まってイメージが湧くように説明する。中央部分は広場になっており、その中心には高速エレベーターが4基設置されている。エレベーターダクトはガラスで覆われ、中は外から見えるようになっており、エレベーターの周りには、螺旋状にエスカレーターが配置されている。1フロア上がるごとに90度づつ位置を変えていく。
我々はエスカレーターで1フロア下に降りる。
「エレン、思いの外問題なく動いてるでしょ?素敵なモーターをありがとう」
「どういたしましてだけど、凄すぎてまだ頭がついていかないわ」
「蒼、階段が動くなんて初めて見たよ。すごいね。」
キリルはさっきから興奮状態で、グレンが抑えるのに苦労している。
地下2階に降りてきた。券売機や案内所などのカウンターが整備され、改札の向こうにはプラットホームが6つ用意され、全長は450メートルほど。
当面は6両編成150m程で運用するがいずれ利用者が増えれば長くできるように対応している。
「ここが、改札と言って列車に乗るチケットを確認するところで、向こうに見えているのがプラットホーム。だいたい450mあるよ。」
「蒼様、列車とはなんですか?」
口で説明するより見せた方が早いか。ちょっとスペース開けてもらって、原寸大模型を出す。
「これは街中を走らせる予定のものだから、ここのものとは違うけど、金属でできたレールの上を縦に何台も繋がって走っていく乗り物だよ。」
みんながどよめいている。
「こんなに大きなものが動くんですか?」
ベロニカが驚いてる。転生組は前世で見てるからそれほどでもないけど、初めて見たら驚くよね。小さい時の自分を思い出しても納得だ。
「うん、馬車の何倍もはやいスピードで走っていくよ。だから人や物の移動が早くなって便利になるよ」
「えー、乗りたい乗りたい」
「キリルごめんね、まだ動く仕組みを杖てないから動かせないけど、できたら最初に招待するからね」
ブーブー言言いながらも納得してくれたみたい。グレンごめん。
「蒼、これだと、この地下の広さはビルのサイズに収まってないよな。」
「そうなんだ、それにどっちみち線路もつくないといけないから、このビルと門の間の区画は販売せず庭園や広場として利用するつもり。それに、他のビルオーナーたちには地下利用の権利は認めない方向で考えてる。配管が通っているからという理由で通すけど、地下に何か作らないといけなくなるかもしれないしね。」
「そっか、そう言うことも考えないといけないな。この街の法律も作らないといけないよな。都市国家とはいえ、どこの国にも属さないわけだからさ」
「そうだね、まあおいおい。それじゃあ、上に上がって行こうか」




