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僕の罰は神様のお手伝い  作者: Gel
僕らの国を作ろう

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11グレンとキリル 

11グレンとキリル 

【新暦586年11月10日】

昨日は結局全てを終えたのが、夜中の12時を回った頃。僕らは、ベロニカたちを起こすのも嫌だったので、世界樹の城の部屋に戻ってきた。一階の大浴場でまだ体が大きいままだと気づいたので、ピンクのキャンディを食べてゆっくりお風呂を堪能。部屋に戻ってそのままバタンと寝てしまった。


この世界に来てからお金を使わずに過ごしてきたんだけど、急に億単位のお金がバカバカ入ってきたのでちょっとビビったけど、これからビル建てたり色々したら、結構あっさりと亡くなりそうな予感もしてる。これからもしっかり稼がないと。


ジルベールを起こさないように、そーっとテラスに出て、世界樹におはようって挨拶する。


「九十九様、おはようございます。剣術の練習するので刀になってもらえますか?」

そう言いながらいつもの刀になってくれる。


「おう、おはよう。お前がわしを使うことがない方が平和でいいんじゃがのう。これからはそうも言っとられんだろうの。」


「そうですね。でも先がわからない僕には漠然とした不安に備えるしかありません。ここまでで大丈夫ってわからないからもっともっとと思うのは仕方ないことです。」


重心がブレないように、余計な力みが出ないように。流れるように、しなやかに。


「早いな、蒼」

まだ眠そうに目をこすりながら起きてきたジルベール。


「おはよう。ご飯の支度するね。」




「ああ、だけど、お前汗だくじゃないか。下に汗流しに行って、一旦向こうの家に戻ろう。ベロニカが食事用意してたら悪いし。」


「そっか。そだね。グレンのことも気にかかるし。」


そうして朝風呂を済ませた僕らは転移で豆の木の家に戻った。


「おはよう。」


「蒼様おはようございます。ジルベールも珍しくしゃんとしてるわね。」


「ああ、ちゃんと風呂入って汗ながしてきたからな。」


「朝ごはんできてます。食べますか?」


「うん、いただく。ありがとう。グレンは?」


「グレンさんはキリルちゃんをお風呂に入れています。あっもう出てきたかも」


「ほら、逃げるな。ちゃんと拭いて。」


「いやーーー。キャキャキャ」


嫌がりながら笑ってる子供の声と、怒ってない声で怒ってる声が聞こえる。


「ああ、蒼おはよう。昨日はありがとう。」


「全然構わないよ。お疲れ様。結局あいつらは全員捕縛、首謀者の大商人1名は殺したけど、それ以外は捕縛してる状態。オークションに参加していた貴族はまだ47階にいるよ。今日ランドサットに送る。あのジャクソン・ガートルードって男は最低のクズだったけど、関わりのある全ての貴族の悪事の証拠をご丁寧に確保してあったので、ずいぶんたくさんの貴族家を取り潰せそうだ。」


「じゃあ、あなたの助けにもなったってことならよかった。それで、この子が天翼族のキリル。この子のお母さんから託されたのに、私が騙されて少し目を離してるうちに誘拐されて。やっとあのオークションに出されるっていう情報を掴んで昨日乗り込んだってわけ。」


「そっか。おはようキリル。僕は蒼。仲良くしてね」


目線を少し下げて話しかけるが、怖いのか、グレンを掴んで離さない。


「おはよう、俺はジルベール。スライムだ。」


そういうと、ポーンとスライムの姿になって飛び跳ねる。緊張していたキリルの表情に笑みが浮かんだ。再びジルベールの姿になったスライムを見て、グレンの方が興奮状態だ。


「ちょっと普通じゃないのは、蒼だけじゃなくて、ジルベールもなん?」


「俺は、人間じゃなくてスライム型知的生物って違う種族だ。元人間だけどね。ジルベールも人間の時の名前だ」


「そんで、グレンはレディースの頭やってたんだって?」


「え?エレンからそんなことも聞いてるん?まあ、あんたらも日本からの転生者やとは思ってたけど。そう、私は元々尼崎で暮らしとった女子高生で、喧嘩ばっかりしとった。転生したら、なんか知らんけど光魔法と神聖魔法の才能があるとか言われて、教会に差し出されたんやけど、実際売られたようなもんや。あたしも毎日ご飯食べられるんやったらっていうて飛びついたんやし。でもなあ教会は腐り切っててん。ほんで教会飛び出して、野良聖女になったんよ。」

正義感の強い彼女にはとても我慢できない環境だったろうな。


「キリル、お腹すいた?」


「うん。」

と小さく返事するので、ベロニカと一緒に朝ごはんの配膳をしながら話を続ける。


「それでさ、グレンに言わないといけないことがあって。グレンは確かに、神聖魔法も光魔法も素質大だけど、グレンが特筆すべき能力は『スピリッツ・テイミング』つまり霊使いの能力。これは本当に希少なスキルで、絶対伸ばすべき能力だと思う。あとね、結構いろんなスキルも生えてるし、めちゃくちゃ珍しいんだけど闇魔法の一部も使えるんだ。いや、これさあ、すごいことで、今までの概念から言ったらありえないことなんだけど、闇魔法の鎮静系の魔法が凄く適正あるんだよ。」


そういうと、驚いて固まってたけど


「あー、あたし詳細鑑定受けたことなかった。簡易鑑定だけだった。教会からしたら、光魔法と神聖魔法が使えて、魔力タンクとして使えればいいと思ってたんだろうし、他に希少なスキルがあるなんて教える必要ないよね。」


「それでさしばらくキリルと一緒にここで暮らしたらどうかな?実は僕、真神教っていう宗教の教主でめっちゃ忙しくてさ。助けてもらえないかなあって。今返事しなくていいから後で協会に連れて行くから自分の目で見て決めてほしい。」


「グレン一緒?だったらいい。」


「じゃあよろしくね、キリル。さあ、みんなご飯食べよう」


「やっとかよ。腹へった。いただきます」


「いただきます。」


みんなで、わいわいご飯を食べながら、僕は心の中でマジックブックに天翼族のことを尋ねた。


天翼属



天翼属は、人間の姿に背中に大きな羽をつけた格好をしている。生まれて3ヶ月ぐらいで、人間の3歳くらいの格好になり、歩いたり、話したりできるようになるようだ。そこからの容姿変化は人間の約十倍遅いと言われている。ゆえに老齢の天翼属は千年近く生きているようだ。昔店翼族の一人が神の眷属として働いていた時期もあるようで、天翼族は種として神と関係が深いと思われており、その血液を禁呪に利用しようとするものが後を経たない。


現在、キリル達天翼属の多くは、人間支配領域外にある、魔物達の生息区域の中に町を作って暮らしているらしい。アダージオ王国北側の国境にある、テンシャン山脈を超えたところにあるらしい。人間達は、険しく、魔物ひしめくテンシャン山脈を越えられないため、人間からの迫害に遭遇した彼らはそこに移り住んだらしい。


今では、時々、辺境の街に数人で向かい、魔物肉や、素材、鉱石、薬を売って、食料品や日用品を購入しているようだ。


天翼属は昔は人間達と同じ街で暮らしており、薬草採集と薬作成と戦闘に秀でた一族だった。というより、天翼属が生活技術を持たず自分の身を守る術を持たない弱い人間を保護する為に、自分たちが築いた町に彼らの入植を認めたのだった。ゆえに、初期の人間にとっては神に近い存在。現人神として崇敬、信仰の対象となってしまった。そして実際、何人かの天翼属が神格を獲得し、下級神へと進化した。


それを見ていた当時の管理神アロンは、自らが創造した者達が本来の神を忘れ、他の対象に信仰の対象を移したことで、自らの神力の低下に直面する。その時、この神の中に妬みの感情が発芽した。これを放置することは自らの神格を落とすことにつながることを危惧した管理神は、神格を得ることができなかった天翼属や野心的な人間の妬みの感情を自分のリソースとして使うようになる。すると、以前よりも神力が上がり、上級神になってしまう。そこで、野心が生まれる。この世界を作った大神と同じ力を持つ存在になりたいと。自らの崇敬者の中から、地上でのリソース集めのための教会の設置運営を任せるものを作る。そして出来たのが、自らの名前を関した、アロン教。元々あった、創世教とは別に、妬み、野心の強いもの達に恩恵を与え、信者を獲得していった。神はアロンただ一柱。唯一神で全知全能の神であるとした。他の神を信仰することを一切許さない、厳格な一神教だ。野心的な人間や、妬み嫉みの強い人間が、信仰することで力を得ることができるということで、多くの信者を獲得し、多くの金を集めアロン教は急成長していく。

その中でも、特に国教として崇めている国が、ビンハンデル帝国である。この世界最大の領土を持ち、多くの国を攻め滅ぼし、国の中に取り込んでいった。この国が奴隷紋の開発に成功し、戦争奴隷、犯罪奴隷、借金奴隷、を大量に量産していく。


そのうち、アロンの使徒の天翼属の翼が黒く変色するようになり、元の天翼属とは別の黒翼族へと進化していった。黒翼族は戦闘力が天翼属を大きく上回るようになり、邪魔な天翼属を排除しようと人間の心を操作する。畏れと崇敬の感情から自制していた下心を刺激し、天翼属を襲ったり、奴隷にしたりと天翼属を迫害した。大切に保護してきた人間達から、攻撃されたことに悲しみ、嘆いた天翼属達は、人間の居住エリアから、彼らが来れない場所に町を作り移住した。そうして人間社会と最低限の接点のみ残して、別々に暮らし始めて二千年ほどたっているらしい。


他の世界の創造や管理に忙しくアリアーノの管理をアロンに任せていた大神たちもやっと異変に気づく。慌てて、アリアーノを元に戻そうとするが、すでにアロンにほぼ掌握されている状態。

人間の支配領域が増え、他の種族の生存が侵されている現実を見て、仕方なく、アロンをこの世界から放り出し、地上の一部を破壊することで、なんとか難を逃れる。


残された黒翼族の使徒達は人間に擬態し、世界各国へ散らばり活動を続けた。さすがの神々も全ての使徒の追跡と捕獲はできずにいた。使徒を片付けようとすると、どうしても周りの善良な生き物達も巻き込んでしまうことになる。しかし、背に腹は変えられず、神罰を下していったが、

残された善良な人間や命を守ろうと、体を張った天翼属から進化した下級神である、アリルとメリルを殺してしまう。そのせいで、創世教の教理から破壊神様が省かれるということが起こった。アロンを消滅させたかったのだが、そこまではできず、廃棄予定の世界に押し込めることしかできなかった。


人間との関係が拗れてるんなら、普通に里にキリルを連れていくのも考えものだし、住んでるところもここからかなり離れてる。あの子にとってどうすればいいのか、みんなで一度話さないといけないなあ。


とにかく、これはクレリックとも話し合わないといけないから、囚人を護送するついでに話してこよう。



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