異世界転生の経緯の共有と勧誘
7異世界転生の経緯の共有と勧誘
僕たちのペントハウスの中を案内した後、テラスにテーブルを出して、お茶の支度をする。エレンはそこから見える世界樹の前でしゃがみ込み、なんで?とか言いながらオンオン泣き始めたかと思ったら、今度は興奮して何か訳のわからないことを叫んでる。きっと僕になんでとかどうしてとか聞いてるんだろうけど、僕はお菓子の準備で忙しいの。
そんな彼女のことは、ひとまずおいておいて、お茶の支度をしてくれてるベロニカに断りを入れる。
「まずは、ベロニカ、僕たちのことなんとなくわかってると思うけど、僕にもジルベールにも前世の記憶があります。ちゃんと話したわけじゃないけど、多分同じ世界の同じ国から来たんだと思う。それで、エレンも多分そうなんだって今日気づいたんだ。」
「私なんかに秘密を打ち明けてくださっていれしいのですが、そんな大切なお話に私なんかがご一緒していいんでしょうか?」
「いや、むしろいて欲しくて。僕たちは、今この世界、アリアーノに生きてるんだって実感したくて。」
「うん、そうだよ。俺は最初に蒼と会った時にスライム型で蒼から念話が飛んできたんだ。すると日本語が聞こえてすぐに日本からの転生者って気がついた。いつもは意味はわかるけど、小さくノイズが聞こえていたけど、蒼の言葉はすごくクリアーだったから。それで、その後は特に前世のこと語ることなかったな。」
「そうだね。じゃあ僕から前世のこと話すね。僕は相馬蒼、死んだのは20歳の時、自殺だった。この世界に来たのは、先月10の月の1日だから、まだ一月ちょっとだよ。」
「それで、今は何歳なの?」
エレンが時確認するように尋ねる。
「一応、10歳だよ」
「赤ちゃんからやり直しの転生ではなくて、そのまま転移でもなくて、若返って転生なのね。なんかいいわね。」
「そう?まあ、便利って言えば便利かな。」
「じゃあ、次は俺の番。俺は本宮佑。死んだ時は25歳の会社員だった。俺の場合は、死因が曖昧なんだけど、事故のような殺されたような。まあ俺はとにかく悲しいことがあって、酒浸りになって、なんか揉めて階段上から落ちたんだ。それで、赤ちゃんから転生して、10歳で記憶を取り戻した。13歳で誘拐されて、特殊個体のスライムに取り込まれて、25年間。つい先日蒼と出会って今の暮らしを手に入れたってわけ。」
「何それ。独特にも程があるでしょ。今38歳のはずなのに、子供の姿ってのはどういうこと?」
「俺自身が人間からスライム型知的生物に進化したので、吸収した生物の形は取れるんだ。」
「チートすぎるでしょ?」
「いやいや蒼の本当の姿を見たら、チートとは?と自分の常識を疑うことになるぞ。ちなみにこの城も蒼が30分ほどで作り上げたもんだ。その凄さがわかるか?」
「・・・・。まあ、いいわ。心の準備だけはしておく。何を見ても驚かない。大丈夫だてに何年も生きてないわ。」
「それでエレンはどんな人生を?」
「私は、三好灯。16歳で死んだわ。病院のベッドの上で。
13歳からずっと闘病してた。私の記憶が戻ったのは今から10年前。
私はハーフエルフなの。母は人間。母が亡くなるまではエルフの里にいたんだけど、10年前から世界樹に異変が出てきて。私や、母のせいにされて。父は庇ってくれたけど、それも限界があって。私は里を出てきたの。
魔道具を作って売ったり、修理したりしながら人間の街を渡り歩いて、おローラに来たのは1年ぐらい前ね。たまたま、入ったあの店のご飯があまりにまずいので、私が作って食べさせたら、それ以来オーナーがあたしに弟子入りしちゃって。それで、時々あの店に行って指導してるの。」
「毎日いるわけじゃないんだな。じゃあ俺たちタイミングよかったよな。」
「確かに。」
「皆さんは異なる世界からいらっしゃったということですけど、記憶だけが引き継がれているってことですか?」
黙って聞いていたベロニカが質問してきた。
「体はこの世界の体だね。でも、記憶だけでなく、感覚やスキルもある程度は残されてる気がするんだ。」
剣術の技術や体捌きなんかは教えられてなくてもできた。魔法はなかったから比べられないけど。
「私は感じないわ。」
「俺も特にはないかな」
「個人差があるんですね。」
「ああ、そうだ。向こうにいる時どこに住んでたの?」
「僕は、埼玉と東京」
「俺は、東京だな。」
「私は高知。二人は近かったんだね。」
「そうだね。でも都会だから可能性は上がるよね。高知って行ったことなかった。行ってみたかったな。」
「俺もないなあ。隣の松山までは行ったけどな。」
「まあ、なんもない田舎だからね。」
「ベロニカ、僕たちのいた世界って、200個ぐらいの国があるの。その中で同じ国出身者に会えるなんて、奇跡みたいな確率なんだよ。」
「皆さんのいた国の名前はなんですか?」
「日本だよ」
「日本ですか。どんな国ですか?」
「面積はそれほど大きくないけど、北から南に長くて、海に囲まれていて、平和で、便利なものや美味しいものがたくさんあって、誰も武器を持ってない。そんな国だよ」
「そんな夢のような国があるんですね。」
「まあ、説明すると大体は合ってるけど、どこにも悪い奴はいるし、犯罪は起こる。完璧では、決してない。」
「まあでも、いつも何かの脅威に怯える必要はなかったわね」
「・・・この世界もそうなれるでしょうか?いつも何処かで殺し合いが起こって、魔獣が襲ってきて、殺されないように気を張ってるこの世界が、変われるでしょうか?」
「難しいだろうね。でもだからこそ、チャレンジする意味があるんだよ。僕はこの街イリディングラからそれを始めるよ。王国連邦も足並みを揃えてくれそうだし。」
「そうだな。俺たちは、俺たちのできることをやろうぜ。」
「「それでな、エレンこの街に引っ越してこない?」」




