魔道具師エレン
6魔道具師エレン
「蒼様、どう言うことですか?」
僕たちの会話の意味がよくわからないベロニカが尋ねる。
「さっき、本屋で魔動モーターを守ってって言ってた女の子はただの悪戯の可能性が出てきたねって話。まだわかんないけどね。」
「ええ?私結構感動してたんですけど。」
「多分近い将来答えが出ると思う。」
お店の人が出てきて、テーブルに案内される。【とんかつ】が名物というなら、それにしようか。でも一応メニューを見る。
【ハンバーグ】
【ナポリタン】
【生姜焼き】
【ポークソテー】
【ステーキ】
【唐揚げ】
隠す気は全くないのね。むしろそれで金を取ろうと。店主も全く自主性のないメニューのラインナップ。
「違う。パン粉はそんなに細かく削っちゃダメ。そこ、筋切りはそうじゃない。それはまだつけて1時間経ってない」
何やら厨房から騒がしい声が聞こえる。
「全く、何回も教えてるのにどうして同じ間違いを繰り返すのよ。」
そう愚痴りながら、一人の少女がキッチンから出てくる。
ジルベールとアイコンタクトすると速攻彼女の元へ。二人で彼女を両側から挟むと「お話があります」というと、人から見えないところに引き摺り込んで『転移』。お店の上空にただいま浮いております。
「初めまして、蒼といいます」
「わいは。ジルベールや」
「「どうぞよろしゅう」」
「お姉さんお名前は?」
「ちょっとなんなのよ。いきなりこんなとこに連れてきて。人に名前を聞くなら、自分から名乗りなさいよ。あ、名乗ったわね」
「ジルベールさん、この子アホの子?」
「蒼はんそれはゆうたらあかんのちゃいます?」
「「ははははは。」」
「ちょっとおおおおお、なんなのよ。あんたら。」
「『中に記されている、魔動モーターの設計図をお願い守って。私のこの声を聞いた人は神が守れると認めた存在。この技術は人々の幸せのために、決して人殺しの道具に使わないで。私は、魔道具師エレン。みんなの幸せのために使ってくれると信じてあなたに託します。』って、なんやのん?ええ話やなって感動した純情を踏み躙りやがって」
ちょっと口真似したら、ジルベールはプププって笑ってる。
「ああああ、あれね。ちょっとレイア姫ごっこしたかっただけやん。お茶目なもんやん。」
「レイア姫って。演じてた女優死んだん知ってんの?ほんで、いつこっちの世界に来たん?」
「え?あんたらも転生者なん?」
「遅いわ。」
「え?今』
「まあ積もる話もありますから、僕らがとんかつ食べ終わるの待っててください。」
『転移』で店に戻ったら、席に戻って、彼女を見えないように拘束。
美味しくとんかつ定食をいただきました。
「ちょっとルークに伝言して。用事ができたから帰るけど、店の子達にちゃんと練習させなさいってエレンが言ってたって。」
お勘定の時に、エレンが店の子にメッセージを残して、僕たちは外に出た。
「転移で、うちに招待してもいいけど、エレンさんでいいのかな?貴方のうちに行く?どっちがいい?」
「うーん。うちに帰ったら、邪魔が入るかもしれんし、あんたんとこ行こか。」
「OK.じゃあみんな帰るよ。『転移』」
今回は豆の木の家じゃくて、世界樹の前のお城に転移した。
「何よこれ」
「何って、僕たちの家の一つだよ。まあ入ってよ。」
「ちょっと同じ転生者なのに、どうしてこんな差がつくのよ。もーーー」
騒いでるエレンはスルッと無視して、僕たちは、城の最上階の僕たちのプライベートルームへ、彼女を案内した。




