挿話:本屋主人ローナと秘密の紳士
挿話:本屋主人ローナと秘密の主人
(蒼たちが、緑の扉の中に入っている間)
ローナはカウンターの奥の扉を潜って中にはいる。両脇には無数の本がひしめいている本棚が天井まで埋まっている。廊下はあまりに長くてその終わりが見えない。
ローナは一冊の本の前で止まると、その本を開け呪文を唱える。
「現れたか?」
「ああ、多分間違いない。こっちに転生してくると予言された日からは随分経ってる。それに、一人じゃなかった。金髪の少年がついていたけど、人間の気配ではなかった。それにあの黒髪の小僧もなんだか得体の知れないもんをいっぱい抱えてる。この私が背筋を寒くするぐらいだ。相当の実力者がついてるね」
「ふふふ」
「何がおかしいんだい。」
「ずいぶん嬉しそうだな」
「バカを、おいいでないよ。面倒はごめんだよ」
「そういうことにしておいてやるよ。そう長くないガキだ。せいぜい優しくしてやんな。」
「ふん、余計なお世話さね。」
ぷんと緑のランプがついた。
「もう帰るみたいだ。結構せっかちだね。せいぜいふんだくってやるとするかね。」
「あのお方の形代も間もなく現れるだろう。引き続き頼むぞ」
「わかってるよ。」
パタンと本を閉じてカウンターに戻る。
「探していた本は見つかったかい?必要な本はすぐにわかっただろう?」
「本の妖精ですか?僕には見えなかったですけど、沢山いたのは感じましたよ。みんなにありがとうって伝えてください。」
見えないけど感じたと。あの光だけは見えたらしいね。嘘をついてる様子はないか。
「そうかい。そりゃよかった。ちゃんと思いは届いてるよ。今日の代金は大金貨3枚だ」
一緒に来た二人は驚いた顔をしてたけど、本人は至って涼しい顔。小憎らしいね。10歳のガキの外見だから余計にイラっとするよ。あのロリババアを思い出す。嫌なこと思い出しちまったよ。
「はい、これね」
となんてことない感じで金を渡してくる。
「毎度あり、またいつでもおいで。待ってるよ。」
愛想よく声をかける。
「はい、また来ますね。ありがとうございました」
にっこり。可愛いもんだ。人を疑うことを知らないバカなガキだね。
まあ彼の方に目をつけられたのは光栄だけど、お気の毒さね。まあせいぜい残り短い人生楽しんどくれ。




