1イリディングル 1
ここから第3章始まります。
1イリディングル 1
豆の木の家があまりにも居心地がいいので、必要性を感じていなかったけど、街の中に自分の屋敷を作らないわけにはいかないよね。一応緑の谷のトップなわけだし。
住人たちの家はその時々に作るとして、都市計画はしておくべきで。世界樹と大聖堂のあるこの地区は最北端に置くから、この周辺は聖域として保護して、建物は建てない。精霊や精霊獣、眷属などが自由に暮らせることが大切。教会に向かう道だけ作ってあとは自然のままの姿で。
高いセキュリティが求められる建物は同一地区に集めることで能率よく守り運用することができる。最初は空き地が多くなることになっても、この考え方は変えない。
街の中央を南北に走らせる中央大通りは道幅50Mあり、片道4車線プラス歩道、中央に路面電車が走る。歩道も広く取られており、このエリアは大型ショッピングセンター、娯楽施設、競技場、大病院、など街のインフラで対応できないニーズや観光客向けの施設が立ち並ぶエリアとなる。
東側には運河も兼ねた川が流れているので、それに沿って公園機能を持たせたエリアを作り、遊歩道沿いにショップを並べてみるのもいいかもしれない。川の堤防自体が、店舗の入る建物にしてみるのも面白いかも。
西大門はマロン街道と接続し、いずれはここにベリスまでの鉄道を引きたいと思っている。イリディングル、オデッサ、オローラ、デボラータ、ランドサット、オリサット、ミア、ベリス。この8つの都市が結ばれれば、人の移動は加速度的にまし、ゆくゆくはベリスまで繋げれば、首都級都市5つに、冒険者ギルドが強いオデッサ、大森林の資源を扱うデボラータ、ミノラ王国最大の港街ミアが入ることで、人と物の流れが爆発的に加速し、3つの国の統一も進むと思われる。
故に、中央駅の設置、物流センターの設置、イリディングラ最大のショッピングモールを建設する。
南西エリアは工場や研究所などの集中エリアと働く人たちのための住居、生活必需品ショップゾーン、南東エリアは農作物生産ゾーンと住居、生活必需品ショップゾーン。農地は、南外壁の外にも広がっているので、この地区に住んでいる住人たちで、作業をしにいくことになる。
南大門近くは南から入ってくる商人たちのためのホテル、宿泊ゾーン、飲食、歓楽ゾーン。海産物をはじめとする食料品や貿易品が多く入ってくることから、それらのものをうるサウスマーケットを作る。外国人が多く入ってくることも想定されることから、様々な食べ物の店や屋台が立ち並ぶことになるだろう。そうなると商業ギルドの登録が必要になることから、商業ギルドの支店を作る必要がある。また、いくつかの国の領事館を建てるエリアと、イリディングラを移動するための路面電車のターミナルも作る必要がある。
しばらく考えに沈んでいたら、ベロニカに呼ばれる。
「蒼さま、蒼さま」
「あ、ごめん。ちょっとどんな街にするか色々考えてるとキリがなくなってた。まずは大雑把に土地の把握ができたら、外壁を全部作って街を囲んで、メインになる道路の幅を地面にラインを入れていこう。」
そう言って、空に上がる。
するとジルベールも上がってきた。
「どんな街にするの?」
「そうだね、長方形の街にするつもり。南北20km東西10kmで条里制の街だよ。世界樹と教会のあるあたりは北の端にして、っと。よっしそれじゃあ始めるよ。まずは北の壁から。『アースウォール』」
世界樹と後ろの山の間に10メートルほどの壁を立てていく。最初にデザインをしっかり頭のなかに思い浮かべて魔法を発動しているので、壁の上には見張り台、手すり、階段がついた厚みもしっかり3メートル以上あるものが完成した。約8kmの壁ができた。一部川を跨いでいるので、そこには切れ込みを入れ、魔法で上げ下げできる鉄格子の柵をつけておく。
「えーーー、」
ベロニカの驚く姿に笑いながら、地上に降りていく。
「御使だってわかった?」
ブンブンと首を振るベロニカ。
「ご主人様すごい。」
「ありがとう。じゃああと3面やってしまうからさ、うちに戻って休んでてもいいよ。」
「いいえ、ここで見させていただいてよろしいでしょうか?」
「構わないけど、東西10KM南北20KMで作るから見えないかもよ。
まあいいやこの辺りにいてくれる?ちょこっと行ってくる。ジルベール、ベロニカの護衛よろしくね。」
「うん、わかった。」
さっさと済ませようと再び上空に上がる。東の大壁を作るための魔法を発動して、南、西と同様に済ませる。
全ての壁の中央に大きなアーチ型の出入り口を設けた。
各門の装飾は後日やってもらうとして、扉はつけておかないと。街の外に空堀を掘り、水を満たしておく。東西南北全ての門に、跳ね上げ式の橋を作って全て閉じておく。
この堀は、上流からの水の流入量の多い時は、街の中を通る川には通常量のみ流し、堀に併設し地下に掘ってある地下湖に水を流す水路の働きも兼ねる。普段は弁を閉めておき、緊急時のみ開くことになる。溜めた水は、川の水量がもとに戻ってから、地上に戻せる仕組みをつけておく。
街の真ん中に50メートル幅の大通りを区切っていく。一番外側に遊歩道。次に馬車道路、貴族用専用道路、真ん中は3階の高さに造られた路面電車のレールが二本走っている。そして反対側も同じ形の道路が続く。街の中央を南北と東西に貫く二本の大通りには高架線路が中央に造られ、1kmごとに停車場が作られている。一部隣接するビルの三階の入り口と繋がっていたりもするが、基本は歩道に降りる階段がついている。南中央駅、北中央駅、東中央駅、西中央駅には、5階建ての駅舎が建てられ、ホームは3階に作られている。
それから、住んでいる人の利便性を高めるために、コンパクトタウン構想のもと、日常生活に必須のインフラ設備を家から20分以内にまとめることをコンセプトにする。具体的にいうと、縦横それぞれ2キロメートルのエリアを1区画とし、その中心地域に商店、役所出張所、駅、駐車場、小教会、初等教育機関、郵便局を作る。
その周りは住宅街、公園などになっている。先程、道路を引いたので、中央の500メートル四方の空間をわかるように区切っていく。
専門教育を受ける学園や学院、デパート、娯楽施設、ワールドマーケット、風俗街、飲食街など特別な日のための施設は、メインストリート沿いに集まっている。広い土地が必要になることから、大通り沿いの奥500メートルは、わかるように印をつけていく。
道路の下には、下水道、上水道、が完備され、街の外壁の外の川のそばに、下水処理場と浄水場が作られた。
下水処理場は、外の大雑把な建物だけ作っておいて、中身は後で作る。上水道も同様だ。
「ベロニカ、下からみててどうだった?」
「壁や門はなんとか見えたんですけど、地面に何か印みたいなのをつけていたのと、大きなパイプが埋め込まれていく様はすごかったですが、何をしてるかさっぱりわかりませんでした。」
「ふふふ、蒼仕方ないよ。下にいたら見えないんだから。それよりも、配管だけど土魔法だけで強引によく作ったね。魔力相当使ってると思うよ。今日はご飯食べてお風呂入ってゆっくり休もう。明日は僕たちも作業手伝うからさ。」
「前科があるから、そうします。明日、よろしくね」




