第二話
結局、彼とのやりとりは何だったのかは、わからない…
その後は、お互いに絡むこともなく、僕より後に入ってきた彼は、その後すぐ、時計の時間を確認しながら、あっという間に自分の荷物を抱えて、再び僕の隣の席は空っぽになった。
人の出会いなんてそんなもの。
ただ何かきっかけがあったら、ちょっとお話しして、何もなければ、すぐに別れが来る。
そして僕は、いつも一人だと実感する。
ずっと一緒にいてくれる人なんて、どこにいるんだろう…
みんな、どうやって知り合ってるんだろう…
そんな疑問を、常に頭に抱えながら、それでも自分には関係ない話かな…なんて思いながら、僕は寝る前に最近の日課になっている動画サイトをチラリと開いた。
見る内容は、特に決まってないけど…ゲーム実況だったり、芸人さんの動画だったり、関連動画に上がってくる動画をとりあえずタップしていた。
けど、今回はその中に…なんとなく、今まで見たこともないような動画のサムネイルが表示されていた。
え…なにこれ…
顔を近づける途中の男の人たちが少し暗めの画像で表示されている。所謂BLドラマだということは、さすがにすぐにわかったけど…どうして自分の関連動画に上がってきたのかはわからなかった。
関連動画は、見たこともないような動画でも無作為に表示されることもあるとは、聞いたことがあるけど…あまりにも無作為すぎるだろ…
そう思いながらも、その画像が気になって、僕は思わずその動画を再生していた。
「………え、待って…」
思わずつぶやいた独り言。
自室には一人しかいないのに、自分は一体…誰に待ってとお願いしたんだろう。そう思う疑問より先に、流れてきているドラマの俳優さんの一人に自分の視線は釘付けにされていた。
「見た事ある…この顔…」
絶対、赤の他人だとはわかっているけど…そう思い込んだら、そうとしか見えなくなるのが、人体の不思議なのか…
内容も上手く頭に入ってないけど、流れてくる動画の俳優さんが、今日やりとりをした男の人にどことなく雰囲気が似ている気がした。
本人じゃないとわかっているけど、似ている人を見ると…どうしても、今日のことが思い出されるし、このドラマの俳優さんの動きも、気になってきてしまう。
僕は思わず一気見をして、一つのドラマを完走してしまっていた。
ハッピーエンド。良いドラマでした。
男同士がどうとか…女の人相手にも恋愛感情を抱いたことがない自分には、何とも縁遠い話だったなぁと思いながらも、男だろうと女だろうと…こうやって、ずっと一緒にいてくれる人がいたらいいのにな。
そう思いながら、僕は…なんとなく、見たドラマのタイトルを検索条件に入力していた。
その検索結果の中に出てきて気になったのが、少し前に配信されたらしいライブ配信の動画。
今時は本人じゃなくても、ファンの人が動画を残してたりするもんなぁ…
そう思いながら、その過去のライブ配信を見てみると、昼間に会った彼…じゃないけど、彼に似た彼は…笑いながら「次のドラマ決定したんですけど、またBLです!」という告知をしていた。
またBLです…という事は、やっぱりBLじゃないドラマを望んでたりするのかな…?なんて、ふと…思ったりした。
でも、笑ってるから…仕事としてはやっぱりうれしいのかな?
本当のところはどっちかわからない、だから自分は気になるのかなぁ…なんて、いつも考えては仕方がないことに思考を巡らせてしまうのは、多分きっと…自分の癖みたいなもので、今はまた…つい、自分一人では絶対答えが出ないことを考えてしまっていた。
でも、なんとなく…いつもと違うのは、考えても楽しい…という感覚が僕の中に湧いてきていた。
この気持ちは何なんだろう…
その答えに辿り着ける気もしないけど、気がついたら僕は…
今日会った人と、この気になる若手俳優を重ねてイメージしながら、頭の片隅では別人だよね?と、冷静な自分が声をかけながらも、頭の中では勝手にどんどんと繰り広げれていくストーリーを、僕は感じるままにスマホのメモ帳に書き留めていくことにした。
そうして、始まった僕の妄想話を…誰に読んでもらうわけでもないけど、なんとなく…投稿サイトに載せるようになっていった。




