パーティーへの招待
「どうやら俺が手を加えずとも、徐々にあの男は崩壊していってるようだな」
「はぁ……」
ティータイムの真っ只中、アルト義兄様の言葉を聞いて深くため息を吐く。
旦那のザーガルや、彼の幼馴染のベルベットがどうなろうと知ったことじゃない……と考えるくらいに悩まされていた。
だが、よく考えてみると新たな問題が発生していることに気がつく。
「早く離婚したいですね……」
旦那の失態は妻の私にまで影響してくる場合もある。
もちろん仲間内や知人は状況を理解した目で見てくれるかもしれないが、知らない人間からしてみたら『旦那はどうしようもない人間だ、だから妻もそうなんだろう』というような噂がたってもおかしくはない。
「焦る必要もないだろう?」
「でも、旦那の失態は私の責任にもなってしまうでしょう?」
「他国の場合はな。だが、この国では結婚しても共同責任という法はないだろ? 責任問題にはならない。あるとすれば印象くらいなものだが、考えてもみろ。ジュリアを責める者がいるとは思えない。そもそものザーガル氏の印象が激的に変わるだろう」
幸いこの国の王都はそこまで大きい都市ではないため、私とエイプリル家のことは誰もが知っているような環境になっている。
ただし、そのうちの殆どがお父様と義兄様の人脈だ。
だからといって私に全く過失がないというわけではないだろう。
街で変なことをしていなければ良いのだが……。
「義兄様はやたらと私を買ってくれるのですね」
「当たり前だろう。ジュリアの仕事っぷりも家事も炊事も規格外なのだから。それにジュリアが実家に帰ってきたことを伝えたら、陛下主催のパーティーに招待すると言っていたぞ?」
「私がですか!?」
驚いてしまって飲みかけの紅茶を吹きそうになってしまった。
お父様と義兄様は何度も陛下と対談することがあると聞いたことはある。
「いつですか!?」
「明日だが」
「……」
そういう大事なことは早く言ってほしい。
美容室にも行っていないし、服だって最低限の物しかない。
パーティーならば最低限の身だしなみが必要だろう。
「のんびりしている場合じゃありませんね!」
「待て待て! 急がなくとも良いではないか。ジュリアはそのままでも十分可愛いし、ちょっとブラッシングするだけで完璧だろう」
「でも陛下のパーティーならば貴族の方々もいるのでしょう!? ドレスやアクセも買わないと……」
「問題ない。俺の方からついさっき、家に届けるよう伝えたからな」
行動が早すぎるし、流石顔が広い。
しかし、サイズの調整や私の好みだってあるのだが……。
「もちろん、店の商品全て持ってくるように伝えてあるから安心するのだ」
「やり過ぎでしょう!?」
「それが俺だ」
頼りになるしイケメンなので、きっと誰が見ても惚れ惚れするような義兄様だ。
だが、行動が毎回極端なので時々心配になってしまうところはある。
夕方、店の商品全てを持ってきたと言えるくらいのドレスやアクセ、靴や小道具を乗せた馬車がやってきた。
全てを購入するわけではないが、ここまでやっていただいたお礼で、明日使うドレスや道具以外にもいくつか多めに購入させていただく。
「まいどー」
どうしてこんなに無茶苦茶なお願いをあっさり聞いてくれて、しかも笑顔で帰っていけるのだろう……。
義兄様の行動力と信頼から成り立つのだろうか。




