47「綾音っちの再会です」④
できることならいつまでも子供たちのことを抱きしめていたい。
しかし、我慢しなければいけないのだ。
いずれこの世界に生まれてくる愛しい我が子のために、神々を殺すと固く決意していた。
名残惜しく、綾音はゆっくり子供たちを抱きしめる腕を離した。
「……会いにきてくれてありがとう」
「息子ですから」
「娘だもん」
我が子たちが笑顔を見せてくれた。
子供たちの笑顔は母親に力を与えてくれる。
「よしっ、ルーとモアイに力をもらったから、嘆きのヘルミーナを嘆かせてやんよ!」
「お母様! 頑張って!」
「がんば。お母様」
「うん! ――それで、この森からどうやって出るの?」
「その為の!」
「私たち」
むん、と兄妹は胸を張る。
「お母様、僕たちのママラブラブパワーで胸の傷は塞ぎます。――しかし、残念ですが、胸の大きさを盛ることはできません。不甲斐ない僕を許してください!」
「誰がいつそんな要求をした!? 普通に塞いでくれればいいから!」
べしんっ、とルーシェルの頭を引っ叩く。
「僕が尻派のばっかりに……」
「いや、そういうカミングアウトはいらないから」
「これだから男は……女は無ければ無いほど素敵。お母様、安心して。修復の際にちゃんと削っておくから」
「削らないで!? そのままでいいのよ? オプションをお願いしていないからね!?」
「――残念」
「あのね、私の身体で何をしようとしているの!?」
そんな言い合いをして、三人は笑った。
どうやらこの親子はしんみりするのが不得意らしい。
「最後に聞いておきたいんだけど、あんたたちはどうして私のところへ来れたの?」
「実は僕たちはすでに転生済みなんですよ」
「――っ、そうなの!? まさか!」
綾音は自身の下腹部に触れた。
サムとやることはやっているので、妊娠している可能性は十分にあるのだ。
「いえ、残念ですがそっちではありません」
「そっちってどっち? 他にもあるの!?」
「私たちは、サムお父様の精巣の中に」
「そっち!?」
「頑張って受精してみせますよ!」
「それ転生しているって言えるの!? え? 転生じゃないでしょう!?」
そんな転生聞いたことない。
まさか自分の体内ではなく、サムの中にいるとは思うまい。
「ははは、冗談ですよ」
「ナイスジョーク、いえーい」
「……あんたたちが言うと冗談に聞こえないのよ!」
見事に母を騙せた、とルーシェルとアイリーンがハイタッチをした。
この野郎、と拳を握っている綾音の姿がうっすら消えていく。
「時間ですね。もっと離していたかったんですが」
「――残念」
「お母様、あなたは万全な状況で戻ります。あとはお母様のお心次第です。全力で戦ってください! お母様らしく! 美しく! 気高く! 誇り高く!」
「――任せなさい!」
「がんばってお母様! 敵がちゅーしようとしているから気を付けてね」
「そんな危機的状況になってるの!? どうなったらそうなるの!? 噛みついてくれるわ! それじゃあ、またね!」
ルーシェルとアイリーンの頭を撫で、綾音は消えた。
残された兄妹が顔を見合わせて、頬を緩める。
「やっぱりお母様は素敵だ」
「うん。さすが私たちのお母様だね」
最愛の母との触れ合いに、ルーシェルとアイリーンは心から喜んだのだった。




