41「次の戦いです」
「……流石ウル。俺も強くなったと思うけどまだまだ勝てる気がしないよ」
ウルとグリムレンの炎が凄まじく、地面に伏して防御に徹することしかできなかったサムは焦げた髪を気にしながら、立ち上がった。
「あの、僕の服が半分焼けちゃったんですけど。再生能力なかったら大火傷でしたけど!」
同じく伏せて防御していた友也が悲しい顔をして立ち上がる。
「……服焼けてないじゃん?」
サムの目には、友也のいつもの詰め襟に変化はない。
すると、友也が背中を向けた。
「こっちですよ!」
「いや、尻見せるなよ」
「僕だって見せたくて見せているわけじゃ……え? お尻も出ちゃっているんですか!? どうりでスースーするかと!」
「地面に伏していたから服の背面が焼けちゃったわけね。……俺は大丈夫だ。セーフ!」
「ウルリーケくんの炎が凄まじいとは知っていましたが、まさかあれほどとは。勇者の力も実に素晴らしい」
「あのさ、真面目な顔をするのはいいんだけど、その前に尻を隠せよ」
「預けてある替えの服をください!」
「そういえば預かっていたよね」
友也は数着、着替えをサムに預けている。
今回のことは想定外であるが、ラッキースケベをすると衣服が破れることや、謎の粘液によってぬるぬるになってしまうこともあるからだ。
サムはアイテムボックスに腕を突っ込むと、着替えを取り出し渡した。
「ありがとうござ……これ、魔法少女の衣装ですけど!」
「大丈夫! 友也のサイズだから!」
「いや、そういう問題じゃねえよ!」
「わがままだな! はい、これ!」
「最初から渡してくださいよ!」
詰め襟を受け取った友也はその場で着替えを始めた。
「おい、一応さ隠れるなり何かしろって」
「ウルリーケくんたちの戦いで地面も砕け、何もないじゃないですか! それに、今更ですよ! あと、パンツもください!」
「……はい」
「どうもありがとうございます」
友也が着替えていると、カリアンとレプシー、マニオンも無事であり立ち上がって軽く手を上げてくれた。
サムも手を振るう。
「――――サムっっ!」
ウルの声が響いた。
「私はもう戦えない。残りのふたりは、お前たちでぶっ殺せ!」
「了解!」
「おう! んじゃ、私は寝る!」
「はーい、おやすみー!」
仰向けに倒れているウルが手を振るので、返事をした。
手を下げたウルが静かになったので、眠ったのだろう。
ウルは紅のグリムレンを見事に倒してくれた。
神はあと二人。
こっちは六人。
倒せないはずがない。
「さてと、全員でぼっこぼっこにしてやろうぜ! ――て、綾音さんは嘆きのヘルミーナと戦っているから、俺たちは激情のランドルフをやっちまおう!」
「悪役ですねぇ」
「数を合わせてこなかったのが悪い!」
「それもそうですね。では、――全力でみんなでラッキースケベしようじゃありませんか!」
「しないよ!?」
「…………」
「おい、悲しそうな顔をするんじゃねえよ! そんな顔をしたってラッキースケベを一緒にするわけじゃねえからな!?」
そんなやりとりをしているサムと友也のもとに、カリアン、レプシー、マニオンが集まった。
五人は激情のランドルフに視線を移し、にぃ、っと笑った。




