26「友也と白い異形です」①
魔王遠藤友也の前の音もなく現れたのは、十二歳ほどの少女だった。
白いぼろ布を頭から被った、長い白髪と白い肌を持つ少女だった。
「――神々というのはなんと傲慢な」
魔力は友也よりも高い。
しかし、脅威に思えなかった。むしろ哀れに思う。
少女は焦点のあっていない目を遠くに向け、よだれを垂らしている。
「無力化はおそらくできないでしょう。少しでも力を抑えようものなら、殺されてしまう可能性が高い。困りましたね、中身はさておき外見が少女だと殺すのに罪悪感をおぼえてしまいます」
作られた存在であっても命は命だ。
戦わなければならないことはわかっているが、命を奪うことには気が滅入る。
せめて苦しむことなく一瞬で殺そうと友也が動こうとした時、少女の顔が友也に向いた。
次の瞬間、少女の瞳から魔力が放たれた。
「――――づっ!?」
肩に鋭い痛みが走り、服に血が滲む。
「……目から、攻撃とは流石に想定外でした」
少女の目から、針のように圧縮された魔力がノーモーションで放たれたのだ。
しかも、目に止まらぬ速度で、だ。
「…………ぁ」
少女が小さく口を開けると同時に、魔力の針が再び放たれた。
友也の身体中を襲う。
針は、友也の肉体を全て貫通している。
凄まじい威力だ。
障壁を張るも、魔力に大きな差があるせいか針を何度か受けることはできても、次第に障壁がひび割れ、砕かれ、また身体中を襲う。
「――くっ」
友也はたまらず転移をした。
そう遠くではない。
とにかく距離をとりたかった。
「これでなんとか、とにかく立て直し――――を?」
友也は己の目を疑った。
転移した先に、白い少女が立っていたからだ。
目だけで周囲を見渡すが、間違いなく転移は成功している。
――ならば、つまり。
「ぁぁぁ」
少女の瞳から数多の魔力針が放たれた。
転移も障壁も間に合わず友也は身体中を針に貫かれた。




